犬が土を掘る理由を徹底解説!行動学から見える犬の面白い習性とは?

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土を掘る

前回の記事では犬の異嗜(異食症)を中心に土を食べる(舐める)理由について、その行動原理や対処法を説明してきました。

それを踏まえて、今回は昔の漫画などでよく見かけた「土を掘る」という行為について見て行きましょう。

室内飼育が一般的になった昨今では犬土を掘って穴を作る姿を外で見かけることは少なくなってきているかもしれません。

しかし、室内では毛布やクッションを前足で擦り(堀り)、くるくるっと回ったらストンと落ち着くという行動を取ることがあるのです。

このような行動であれば見たことがあるという飼い主さんは多いのではないでしょうか。

なぜ犬が土を掘るのか、行動学の観点から見える犬の面白い習性について紹介していくことにします。

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犬の土堀りは習性の1つ

犬はそもそも土を掘る習性がある動物なので、土掘りをすること自体は行動学的に何ら不思議なことではありません

そもそも野生下の犬は敵に見つからないように体がちょうど納まるくらいの巣穴を掘って暮らしていました。

気温に応じて地中に穴を掘り、暖を取ったり涼んだりすることもあり、ねずみなど獲物を捕らえるために土を掘り続けるのは、ハンティングとしての名残です。

またお腹がいっぱいで食べられないときは、食料を備えておくため掘って埋めていました。

犬にはこれらの習性が残っており、時におやつを埋めようとする姿をご覧になったことがあるかもしれませんが、これも習性によるものです。

また、好奇心旺盛な犬は穴を掘って遊んでいる場合もあり、はしゃぎながら土を掘っている場合や退屈なときも犬は土を掘って遊ぶことがあります。

土堀りの意味

犬の土堀りは元来あった習性の1つであることが窺えますが、現在では具体的にどのような意味を持つのでしょうか?

その意味を改めてまとめてみると、大体以下の通りに分類されます。

昔の習性

上記したように、犬が土掘りをする理由は犬の祖先であるオオカミの習性が受け継がれ、先天性の行動として残っているからです。

オオカミは外敵から身を守るため、あるいは出産・子育てをするために土を掘って巣穴を作る習性があ理、更に捕まえた獲物を巣穴の中に隠す習性も持っています。

犬が穴を掘る仕草をしてからその場に寝たり、おやつやおもちゃを埋めて隠そうとしたりする行動はまさにこのようなオオカミの持つ習性に起因しているのでしょう。

飼い犬の中ではあまり見かけませんが、いわゆる山師が引き連れている猟犬や警察犬・野良犬など野性味の強い犬はこのような行動を取りがちです。

この場合は決して異常な行動ではなく、あくまでも日常的な行動なので、とくに注意する必要はなく何も干渉しないのがベストではないでしょうか。

本能による行動

1つ目とやや被りますが、かつて巣穴に潜り込んで獲物を捕まえる猟犬として活躍していた犬は「土を掘る」という本能を持っていることから、土掘りを好む場合が多くあります。

犬にとっては単に遊んでいるという感覚で楽しい気分や興奮ぎみのときに穴掘りの行動が見られてるといわれています。

すなわち、かつては生き延びるための防衛本能の表象としての行動が無意識のうちに潜在意識として出ているのではないでしょうか。

この場合は判断がつきにくいのので、グレーゾーンと言ったところであり判断には冷静さを要するので安易に決めてはいけません。

頻度や性格なども考慮して判断するのが吉であり、とにかく焦らないようにすることがベストでありましょう。

ストレス・サイン

そして3つ目が以前にも述べたことがありますが、犬自身のストレス・サインとし表象されている場合が考えられます。

この場合は完全なレッドゾーンであり、土堀り以外にも様々な問題行動を併発していることが考えられるのではないでしょうか。

ストレスを発散するために土掘りの仕草をすることもあり、犬はストレスや不安を抱えているときにカーミングシグナルを出すことがあるのです。

カーミングシグナルとは犬にとってのボディランゲージのことをいいます。気持ちを落ちつかせたいときに見せる行動で、このカーミングシグナルの1つが土掘りの仕草です。

執拗に穴掘りをしていたりする場合、もっとかまって欲しいという不安の表れや退屈して溜まったエネルギーを発散したいというストレスの意思表示の可能性があります。

この場合は明らかな異常のサインとして出ているので、とにかく発見次第早急に動物病院へ連れていって診てもらいましょう。

土堀りの原因の見分け方

こうして見ていくと、犬の土掘りが必ずしも異常な行動だとはいえないものであることが理解できたのではないでしょうか。

しかし、実際に土堀りの原因の見分け方となると難しいので、ここではその見分け方の基準をいくつか紹介します。

掘っていい場所かどうか

まず1つ目に土堀りを行なっている場所がきちんと掘っても大丈夫な場所かどうかということが判断基準になります。

いわゆるドッグウォークや公園・道路など多くの人や他の犬が利用する公共の場所で行っていたら問題視してください。

その場合わざと飼い主の注目を引くため、あるいは他の犬や人に対する牽制の意味でやっている可能性もあるのです。

山の中など明らかに人の迷惑がかからない場所ならまだしも、それ以外の場所で行なっていたら明らかな問題行動となります。

そのサインをきちんと見逃さないことが重要ではないでしょうか。

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十分な散歩・運動を行なっているかどうか

2つ目に、ストレス発散としての十分な散歩・運動をきちんと行なっているかどうかも立派な判断基準となります。

結局1日に必要なエネルギーを発散出来ていないから、それがストレスとなって溜まってしまうのです。

特に大型犬はその辺がきちんと出来ていないと、物凄いストレスとして溜まってしまうでしょう。

小型犬であっても1日に最低30分〜1時間はそういう時間があるかどうをきちんと確認すべきです。

それから、散歩や運動はきちんとマンネリ化しないような工夫も凝らして、犬のストレス発散をきちんと行なってください。

まず飼い主のこうした心がけが何よりも犬を健全に育てていくための最適な手段となります。

室内でその行動を取っているかどうか

そして3つ目に、愛犬がその土堀りの行動を室内で行なっているかどうかであり、これが最もわかりやすいでしょう。

もし室内で無意味にそういう行動を取っていたら、明らかなストレス・サインなのですぐ動物病院に連れて行ってください。

室内飼いの場合、特に畳の部屋などは土掘りを行われる可能性が十分にあるので、見たら注意が必要です。

室内に掘っていい場所など基本はないので、もしそれを行なっていたら明らかに飼い主のしつけ不足が原因となります。

室内飼いの方は常に監視の目を光らせて、犬がそういう異常行動を取らないようにすることも大切ではないでしょうか。

土掘りへの対処法

犬の土掘り行動には対処法があり、少し生活環境を見直すだけで改善されることもあるので試してみてください。

具体的には以下の行動が挙げられますので、飼い主の方は是非実践してみましょう。

クレートを巣穴に見立てる

老犬が普段ケージやサークルで過ごしているのなら、身体の大きさに合ったクレートを用意してあげましょう

犬が中で立って天井に頭が当たらない、かつその中で向きを変えられる大きさが適切であり、巣穴を思わせる広さで落ち着くことが期待できます。

初めてクレートに入れる場合は無理強いしないことが大切であり、クレートの中で好きなおやつを食べさせるなどして少しずつ慣れさせてください

お気に入りの敷物を敷くのもグッドであり、老犬になると入院の機会も増えるかもしれませんが、クレートに慣れておくと病院でも落ち着いて過ごせます。

クレートが大きすぎるとかえって不安感が増すので、その辺はきちんと考慮しつつ適度なサイズのものを使用しましょう。

叱らない

老犬が穴を掘り続けていてもむやみやたらに叱らないことがとても重要であり、決して怒鳴ったり叩いたりしないでください

土を掘っている間は知らんぷりをして穴掘りをやめた瞬間に声をかけたり褒めたりしてあげて自己肯定感を高めてあげることが大事です。

土掘りは犬の習性なので無理に押さえつけないことも大切であり、家に庭がある飼い主は老犬のために穴掘り場を提供してあげるのもいいかもしれません

犬の本能的な行動の一つを人間の都合で勝手に押さえ込んでしまうことこそよろしくない原因の一つとなるのではないでしょうか。

叱らないことがとにかく大切であり、褒めて伸ばすことが基本にあることを教えてあげましょう。

ストレスの緩和を図る

老犬が穴掘りを始めたら、ストレスがないか生活環境やライフスタイルを見直してみましょう

犬は本来群れで過ごす動物ですので、犬の過ごす場所をなるべく家族の近くにするのがオススメであり、特にリビングの一角にクレートを置いてみてください。

散歩の時間も少し増やしコースもこまめに変え、匂いはゆっくり嗅がせてあげてください。

歩けない老犬はカートに乗せて外に出るだけでもストレス解消になりますので、老犬にもできるゲームで一緒に遊んだり、おもちゃで遊ばせたりと刺激を与えましょう。

おもちゃはいくつか用意してローテーションすると、飽きずに遊べますので実践してみることがとても重要です

まrた、マッサージやブラッシングなどでスキンシップを取ることもストレス解消になりますので、やさしく声をかけながらマッサージしてあげましょう。

不安な場合はとにかく専門家に相談

土掘りが犬の習性とはいえ、犬がいつまでも繰り返す場合は何らかの病気である可能性も否定できません。

とくに急に始めたときは早めに獣医師に相談し、診察の参考になるためあらかじめ穴掘り行動を動画に記録しておくことがおすすめです。

そしてそれを上記した判断基準に当てはめて、どう考えても問題行動と考えられる場合は専門家に相談してみましょう。

特に獣医やブリーダーはその辺りをきちんと見てくれるので、何か困ることがあったら専門家に頼るのが解決への近道です。

生真面目な飼い主になると、こういうとを一人で抱え込んでしまうケースも珍しくないので、きちんと相談していけばいいのではないでしょうか。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

犬が土を掘るしぐさは本能でもあり、ある程度は好きにさせることも大切でしょう。

しかし、掘っていい場所や悪い場所をしっかり教え込むことが大切であり、それを決して抱え込まないことが大事です。

また犬が土を掘る原因を的確に見極め、犬の気持ちを分かってあげられる飼い主になりましょう。

好きに土掘りができる場所に連れて行ってあげると、ストレスも解消されて穏やかな気質の犬になります。

困った場合は専門家に相談し、ペットライフを快適なものにしていってください。

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