犬を飼っている方なら誰もが考えたこと、聞いたこと、見たことがある「多頭飼い」。
犬は群れて徒党を組みたがる生き物ですから多頭飼いを考えたとしても無理はありません。
とはいえ、ただでさえ一匹でも維持費のかかる犬の多頭飼いとなるとハードルが尚更高いでしょう。
今回は多頭飼いに関する様々な豆知識を解説していきます。
多頭飼いの現実
まず多頭飼いについて考える際は実態をしっかり把握しておく必要があります。一体どのような現実があるのでしょうか?
維持費の倍増
まず一番に挙げられるのは犬の維持費が多頭飼いによって倍増することです。
ただでさえ犬1匹でも食費・医療費・トリミング代・道具代など様々な費用が嵩むのに、二匹以上になると維持費がとんでもなく嵩みます。
余程売れてるペット系YouTuberかお金持ちでない限り多頭飼いで経済が圧迫され、下手すれば自己破産寸前まで行きかねません。
実際に多頭飼いにしたことで維持費が賄えずに放置してしまう飼い主も多いという現実があります。
スペースの確保が大変
多頭飼いの場合、先住犬と新しく入ってきた犬の双方のスペースを確保するのが大変です。
犬だって群生の生き物とはいえ、基本的にはプライベートの時間と空間を欲しています。
まず賃貸マンションの1人暮らしなどの一室しかない所では不可能です。
プライベートの時間が少なくなる
多頭飼いになるということは犬に構う時間も倍増してプライベートの時間が少なくなるということです。
只でさえ現代人は仕事で忙しくプライベートの時間を確保するのも大変ですから、この問題は欠かせません。
犬1匹でも1日の内4時間は面倒を見るのに必要と言われますから、2匹となると8時間も必要となるのです。
それだけ時間が拘束されますから、在宅勤務が可能な人か専業主婦でもいない限りは難しくなります。
犬同士の相性
そしてこれが最も大事ですが、先住犬と新しく入ってきた犬同士の相性の問題が挙げられます。
これが大型犬同士或いは小型犬同士のように体格が近い犬種であれば問題ないのですが、大型犬と小型犬の場合小型犬が大型犬にやられてしまいがちです。
また、必要な運動量も違ったり、散歩の歩幅やペースも違ったりしますし、性格の違いなどからいざこざが起こるケースもあります。
何よりも先住犬は一匹でいるからこそ安心出来るので、新しく入ってきた犬が来ることで知らず知らずの内にストレスが溜まりがちです。
引き合わせてみるまで分からないとはいえ、犬同士の相性で多頭飼いの難易度は決まります。
多頭飼い崩壊と殺処分
そして多頭飼いの最も残酷な現実は多頭飼いによる飼育崩壊とその末に起こる殺処分です。
ニュースなどでも度々取り上げられる、多頭飼い最大の暗黒面ではないでしょうか。
面倒を見切れなくなった飼い主が犬だけを残して引っ越し、家は完全にゴミ屋敷と化す場合が殆どです。
そうした犬は保健所に連れて行かれ、引き取る人がいなかった場合容赦なく殺処分されます。
今現在社会問題にも発展している多頭飼い崩壊は一番なってはならない最悪の事態でしょう。
多頭飼いの注意点
数々の大変な現実がある多頭飼いですが、逆にいえば条件さえしっかり揃って対策を打てば不可能ではないということです。
改めて多頭飼いを行う際に大切なことを改めて説明していきましょう。
ワクチン接種が終わるまで会わせない
まず新しい犬のワクチン接種が終わるまでは先住犬との接触は避けるようにして下さい。
特に生後2~3ヶ月の子犬は免疫が失われ感染症にかかりやすい状態にあります。
ここで直接に接触させると先住犬に感染する可能性も少なくありません。
なので、家に迎え入れた当初はケージで引き離すなどして一匹の状態を保ちましょう。
去勢手術もしっかり行っておく
上記した多頭飼い崩壊は飼い主が去勢手術を怠ったばかりにネズミ講のように増えてしまうケースが殆どです。
その為に初期費用はかかったとしても去勢手術はしっかり行い、必要以上に犬を増やさないようにしましょう。
初期投資をどれだけ徹底したかが後々に大きく生きてくるのです。
先住犬をしっかり自立させてから迎え入れる
新しく入ってきた犬は先住犬の癖を親のように真似して育つと言われています。
つまり、先住犬のしつけをどれだけしっかり出来たかということは多頭飼いにおいても影響があるのです。
なのでまず先住犬はしっかりしつけて自立させてから新しく迎え入れるようにしましょう。
ここで手を抜くと痛い目に遭うのは誰よりも飼い主であることを忘れないで下さい。
双方が慣れるまで飼い主が見守る
先住犬のいる場所へいきなり新しい犬を放し飼いにするのはやめましょう。大抵の場合喧嘩になります。
最初は軽い挨拶程度に済ませ、遊ぶときにもケージ越しにコミュニケーションを取らせるようにしましょう。
その方が先住犬にとっても精神的負担が少なく、余裕を持って受け入れる時間を確保できます。
時間はかかりますが、ここで我慢強く双方を見守っていくことがよりよい関係の構築に繋がるのです。
慣れてきたら犬同士の自由にさせる
慣れてきたら、飼い主は散歩や食事の時などを除いては基本犬の自由にさせましょう。
犬同士のコミュニティにおける上下関係はお互いが関わっていく中で決めていくものです。
ここで仲良くして欲しいからと必要以上に干渉するのはかえって喧嘩の原因になります。
人間の家族の中でも親は親同士、子供には子供同士のコミュニティがあるものです。
扱いを差別しない
そしてこれが一番大事ですが、犬の扱いを差別しないで平等に愛情を注いで下さい。
特に新しく入ってきた犬は最初の方だとそちらにばかりかまけて、先住犬を蔑ろにするケースも少なからずあります。
犬は人間が思う以上に嫉妬深い一面があり、特に先住犬は飼い主のことを誰よりも特別に思っているものです。
その飼い主をいきなり新しく入ってきた犬に横取りされたら嫌な気分になるのが当たり前ではないでしょうか。
表情には出さなくとも無意識の内にそういうストレスを抱えさせていることに気付きましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
多頭飼いは確かに出来たら嬉しいですが、飼い主の思っている以上にリスクやデメリットが多い飼い方です。
1匹飼い以上にかかる経済・場所・時間の負担や犬の相性、多頭飼い崩壊など制約の方が多くなります。
注意すべきこれらの地雷を踏まないようにするためにも、より一層の慎重さと冷静沈着さが必要です。
それぞれの犬の個性や相性を見極めつつ、飼い主と犬の双方が幸せになれる多頭飼いを目指しましょう。