前回の記事では初心者向けに飼いやすい犬種とそうでない犬種を理由つきで解説してきました。
それを踏まえて、今回は一人暮らしでも飼いやすい犬種について触れていこうかなと。
昔に比べると今ではペットOKの賃貸マンションも増えてきて、だいぶペット飼育も楽になりました。
しかし、初めてのペット飼育を一人暮らしで始めるのは幾分ハードルが高いでしょう。
そこで今回はひとり暮らし向きの犬種をその注意点や理由と共に解説していきます。
これからひとり暮らしの方でペットを飼いたいという方は参考にしてみてください。
一人暮らしのペット飼育はなるべくしない方が良い
のっけからきついことを言わせて頂きますが、まず一人暮らしのペット飼育は今の時代なるべく避けた方がいいです。
理由は色々ありますが、一番の問題はほとんどの場合においてサンクコスト(埋没費用)にしかならないことでしょう。
以前にも何度かお伝えしていますが、一人暮らしのペット飼育なんてはっきり言って得られるメリットがありません。
よく、「ペットを飼うと人は幸せになる」と言いますが、それはあくまでも時間とお金に余裕がある人だけです。
まずここで最初に釘を刺しておかないと、下手におすすめして煽って飼ってみたら物凄く大変で後悔したということになります。
そうならないためにも、ひとり暮らしでこれから犬や猫などペットを飼おうという方は是非一度考え直して頂きたい所です。
勢いだけでペットを飼っていいことなんて何一つありません。
ココがキツイよ!一人暮らしのペット飼育
さて、まずは一人暮らしのペット飼育の何がきついのかを具体的な理由と共におすすめしていきましょう。
ほとんどの場合においてサンクコストにならない理由について述べていきます。
育犬ノイローゼ
みなさんは育犬ノイローゼという言葉をご存知でしょうか?
今回初めてこの言葉を出しますが、子供を育てる時に育児ノイローゼになってしまう親がいますが犬の飼育にもそれはあります。
犬も人間の子供のようなものですから、ノイローゼの状態に陥り辛い現実に立たされてしまうことがあるのです。
育犬ノイローゼの症状は様々あって摂食障害・嘔吐・動悸・下痢・不眠・鬱病など時には健康を大きく害してしまう症状に見舞われてしまいます。
それらが溜まるとストレスが大きくなり時には愛犬に水やエサを与えない、暴力を振るってしまうなどの虐待行為にまで発展することがあるのです。
飼い主にとっても犬にとっても良くない状況ですが、育犬ノイローゼにかかるケースは決して珍しいものではありません。
一人暮らしだと全ての面倒を自分一人で見ないといけませんから、尚更かかるリスクが多くなるのです。
維持費がかかる
これが1番大きな理由ですが、とにかく維持費がバカ高くなってしまうということです。
ペットを飼う人にとって一番悩ましい問題は何よりもそこにあるのではないでしょうか。
只でさえ月の生活費だけでも稼ぐのが大変なのに、その上でペットとなると下手すればそれで首が回らなくなります。
それでは相場がどれくらいなのかという話ですが、一般社団法人ペットフード協会による平成30年の全国犬猫飼育実態調査では以下の結果が出ています。
毎月のランニングコスト:1万1480円
生涯かかる養育費:179万3005円(平均寿命を14.29歳として算出)
もちろん、体の大きさや健康状態によってもかかるコストは変わってきますが、少なく見積もっても毎月1万、生涯で150万以上はかかると見ていいでしょう。
トリミングなどのお手入れが定期的に必要な小型犬であれば美容の出費が多くなりますし、大型犬であれば食費が余計多くなります。
はっきり言ってこれだけのお金があるなら、その150万を仕事の投資に回した方がよっぽどマシです。
これだけのコストを払っても得られるリターンが少ないのですから、正にサンクコストとしか言いようがありません。
行動が制限される
3つ目にペットとずっと寄り添わないといけない為に、行動が制限されてしまうということも門サイトなります。
旅行など家を空ける用事はほぼ無理で、寂しがりやな性格だと日帰り旅行で留守にするだけでも相当なストレスです。
ペットホテルに預けたり一緒に連れて行くなどの対策もありますが、犬は環境の変化に弱いのでどれも犬に負担をかけます。
在宅勤務やペット系YouTuberなど常にペットといられる環境であれば話は別ですが、そうでない限りペットがいると自由に行動出来ません。
そういう理由からも一人暮らしで犬を飼うのはおすすめできないと言われているのです。
一人暮らしで犬を飼う際の注意点
一人暮らしで犬を飼うということは上記してきたリスクがあり、何の考えもなしに行うとろくなことになりません。
しかし、それでもペットを飼いたいという方はいらっしゃるでしょうから、そんな方への注意点を書きます。
十分な経済力がある
まず上にも書きましたとおり、ペット飼育は単なる慈善事業ではありませんので、養育費が必要となります。
200万程度の資金は元手としてしっかり用意しておいてください。
よくペットは「お金じゃない」と言いますが、それはあくまでも十分な経済力があるから通用する理屈です。
十分な経済力がない人が「お金じゃない」と言ったところで単なる負け犬の遠吠えでしかありません。
世の中確かにお金が全てではありませんが、しかし生きていく上でお金は絶対に必要です。
ペット飼育は経済力に余裕のある人だからこそ出来ることだというのを肝に銘じておきましょう。
犬の面倒を見られる仕事環境である
犬を飼うことになると、当然自由時間がなくなることも覚悟しておくことです。
自由を求めることとペットとの暮らしを求めることは決して相容れない二律背反であることを自覚しましょう。
結婚は人生の墓場と言いますが、ペット飼育もまたある意味では人生の墓場なのです。
ましてや一人暮らしでのペット飼育となれば、悠々自適の生活を楽しむどころではありません。
そこで犬の面倒をしっかり見られる仕事環境、具体的には上に挙げた在宅勤務やペット系YouTuberなどでしょう。
とにかく、犬と一緒に過ごせる環境を作っておくことが大事です。
後見人やペットシッターを用意しておく
そしてこれが一番大切ですが、自分が面倒を見られなくなった時の後見人やペットシッターを用意してください。
飼い主だってあくまでも一人の人間ですから、最悪の場合体調不良や病気で面倒を見られなくなることもあるでしょう。
そうならないようにするためにも、後見人やペットシッターなどの後詰めはしっかり準備しておきましょう。
とにかくネガティブシミュレーションによる徹底した事前準備がどれだけ出来るかが大事なのです。
想定しうる最悪の状況に対する対応策を備えた上で一人暮らしのペット飼育を行いましょう。
一人暮らしでも飼いやすい犬種5選
これまで述べてきたことを踏まえて、それでは一人暮らしの方におすすめの犬種を紹介します。
かなりしっかり厳選した犬種なので、一人暮らしでこれから犬を飼おうという方は参考にしてください。
トイプードル
不動の人気を誇るトイプードルはとにかく総合的なコストパフォーマンスが素晴らしいのです。
小型犬の中で最もにおいは少なく毛が抜けにくいので、一人暮らしの家で飼いやすい犬種と言えるでしょう。
体は小さく太りにくい体質なので、頻繁に散歩に出なくても大丈夫です。
ただし、ストレスも溜まってしまうので週3回ほどは連れて行ってあげてください。
月のランニングコストも大体相場が6000~7000程度なので、犬種の中ではかなり安く済みます。
生涯かかるお金は100万~150万の範囲内に収まるのではないでしょうか。
チワワ
世界最小なだけあって平均体重もおよそ1kg~3kgととても小さく、こちらも総合的なコストパフォーマンスに優れます。
チワワはロングコート(長毛)と、スムースコート(短毛)二種類に分かれますが、性格にちがいはあまりありません。
好奇心旺盛で無邪気な性格ですが、縄張り意識がとても強いので番犬にもなれます。
お手入れも簡単で1ヶ月に1回程度シャンプーをしてあげれば大丈夫ですが、換毛期の抜け毛には注意してください。
月のランニングコストは最低で約3,000円程度なので、経済的観点からすれば一番安く済みます。
国内外を問わずチワワが大人気である理由は維持費の安さにあるので、一人暮らしにはおあつらえ向きでしょう。
ヨークシャーテリア
もともとは人間のためにネズミ退治をしていた優秀な犬であり、性格はとても勇敢で負けん気が強くて育て甲斐があります。
お手入れはそんなにトリミングにも連れて行かなくてはいけないのですが、トリミングは2ヶ月に1度程度で大丈夫です。
ヨーキーを飼って、実際にかかる1ヶ月のお金は最低で約3,500円、2ヶ月に1度は大体9,000円前後かかると見てください。
シャンプーは自宅でできるようにしないと出費が増えてしまうので要注意です。
これでも相当にランニングコストとしては安い方なので一人暮らしのペット飼育にはおすすめでしょう。
しかし、自宅でもシャンプーをしなくてはいけないので、忙しくて毎日時間がないは飼うのが難しいかもしれません。
在宅勤務でいつでも面倒が見られるように臨戦態勢でいてください。
シーズー
ここ何年も飼いやすい犬種にランクインしているシーズーは基本的に温厚な子が多く、表情も豊かでとてもおとなしい犬種です。
他の小型犬に比べて無駄吠えが少ない方なので、一人暮らしで飼うことに適していると言えます。
お手入れは毛が抜けにくいのですが、被毛はずっと伸びるため2ヶ月に1度のトリミングが必要です。
正直に言うと、他の犬種に比べて管理が大変ですので、一人暮らしでも飼育の経験値が高い方がおすすめでしょう。
月のランニングコストが若干高く約4,800円で、トリミングも含めると2ヶ月に1度は10,000円前後かかると見てください。
飼いやすい犬種ではありますが、お手入れ用品は欠かせないので少し月々の出費が多くなることを覚悟しましょう。
ミニチュアダックスフンド
ミニチュアダックスフンドの平均体重は約4kg~5kgと一人暮らしでも飼いやすい大きさです。
何よりお手入れがかなり楽で、1ヶ月に1度シャンプーすればトリミングに行かなくても大丈夫となります。
お腹の毛や足裏はカットをしなくてはいけないので、そこだけ自宅でできるようにしておきましょう。
気をつけてほしいのはヘルニアにかかるリスクで、しっかり注意して育ててください。
月のランニングコストは最低で約4,600円と高めですが、トリミングに連れて行かなくていいのでコストパフォーマンスではチワワの次に安いです。
おすすめの入手先
最後に一人暮らしでこれからペット飼育を行いたい方に向けておすすめの入手先を教えておきましょう。
特に注意したいのは迎え入れる子犬の健康状態であり、ここは初期費用含めても大事な所です。
一人暮らしの場合子犬の通院にかかる時間や費用は自分自身で工面しなければならず、負担は決して軽いものではありません。
したがって、一人暮らしの場合は比較的健康状態が安定した子犬が手に入る可能性が高く飼育について詳しいブリーダーから迎え入れることをおすすめします。
専門家なので仲良くなれればメンターにもなり、困ったと時にはアドバイスまでいただけるので仲良くなっておきましょう。
しかし、その方と後見人はしっかり別で用意して、万全の態勢で犬の飼育を始めるようにしてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
一人暮らしでも犬を飼うことは可能ですが、愛犬のストレスにならないようにしなくてはなりません。
また、犬は本来人間が大好きで一匹でいることを得意としない愛情深い動物です。
外出先から帰ってきたら、たっぷりかわいがってあげることを忘れないでください。
くれぐれも安易な衝動買いだけは絶対に避け、面倒はしっかり見るようにしましょう。
一事が万事ですから、とにかく徹底した事前準備と対策をどれだけ打てるかが鍵となります。