前回の記事では犬のドッグフードに関する豆知識について、やや否定的なアプローチから述べました。
今回はもう一つ、世間一般のイメージと実際とで乖離のある「犬の性格」について見ていきましょう。
犬の性格の一般的イメージ
犬というと、どうしても「大人しい」「従順」「社交的」「飼い主になつく」というイメージが強いようです。
特に「社交的」というイメージは群生という本来の特徴があるから余計に強いのではないでしょうか。
とはいえ、こうした一般的イメージは必ずしも犬全体の特徴として共通するわけではありません。
それはあくまでも猫やハムスターといった他の動物と比較してのことであって、絶対的な特徴ではないのです。
人間で言うなら「アメリカ人は陽気で積極的」「日本人は勤勉でまじめ」というのと同じ無根拠なレッテル貼りでしょう。
猫だって飼い主と一緒に居るのが好きな猫もいるように、犬だって一人でいるのが好きな犬もいます。
決して表面だけで判断せずにどういう性格の犬がいるかを一匹一匹見極めて育ててください。
犬の性格を決める4つの要素
では犬の性格が具体的にどう決まるのかを、大まかに4つの要素に分けて説明します。
「犬の種別」「性別」「親からの遺伝子」「環境」ですが、以下これらの要素を掘り下げていきましょう。
犬の種別
小型犬・中型犬・大型犬や個体別で性格が異なりましす。代表的な種類を挙げてみましょう。
トイ・プードル
明るく活発で社交性が高いタイプが多い。
学習能力が非常に高く(賢い)、しつけがしやすい。
チワワ
飼い主さんに対して忠実なタイプが多い。好奇心旺盛で活発だが、少し気が強い部分もある。
柴犬
飼い主に対して忠実で勇敢なタイプが多いが、その分警戒心が強いのできちんとしつけをしないと無駄吠えや攻撃的な性格になる。
ゴールデンレトリバー
飼い主さんに対して忠実ながらも他人に対しても人見知りする子が少なく、とても人懐こい。
ミニチュアダックスフンド
陽気で好奇心が強く活発で遊び好きだが、猟犬故に自立心が強く警戒心が強いことに困る飼い主も多い。
性別
二つ目が雄か雌かで性格が異なるというものであり、同じ個体でもこの違いを押さえておくといいでしょう。
雄個体
勇敢で責任感が強く、やんちゃなタイプが多い。イケイケドンドンな性格が目立ちます。気が強く飼い主への忠誠心も強いので、飼い主に危害を加えようとする者には容赦なく立ち向かうでしょう。頼りになる分反骨精神も強いのでしつけには注意が必要です。
雌個体
一般的には包容力があって優しく、慎重派な性格の個体が多いと言われています。母性本能が強いおかげか、自分の子供ではない犬や猫など他の動物に対しても面倒見がよい子も多い。雄に比べると育てやすそうですが、内面が複雑でわかりにくい子もいます。
親からの遺伝子
性格面も含めて親からの遺伝子はとても強く影響します。特に中型犬の項目で述べた遺伝子の病気がそうです。一般的に勇敢なイメージのある種や性別の犬でも親の遺伝子が強く出る為に実際は違うことも多くあります。あくまでもその子その子の性格をきちんと見て判断していきましょう。
環境
そして犬のしつけにおいて一番強く影響するのが環境によってできた後天的な性格で、結局8割はここで決まります。しつけの記事その3でも述べたように、子犬の社会化期でのしつけをどれだけしっかり行ったかで決まるのです。
また、「犬は飼い主に似る」という諺があるように、写し鏡で知らず知らずのうちに飼い主の人格が影響します。穏やかで優しい飼い主であれば優しく育ちますし、その逆も然りで厳しく育てれば厳しい子に育つものです。
犬の気質テスト
スウェーデンでは一般公開としてだれでも受験が可能な犬の気質テストがあり、ケネルクラブに登録した上で1歳以上の犬の飼い主なら誰でも受験可能です。
この気質テストはいわゆるアンケートや性格診断のようなものではなく、テスト会場で様々なテストを行い、飼い主と犬とのコミュニケーション力や愛称を判断します。
言ってみれば人間ドッグと同じで、飼い主と犬の性格の愛称を客観的に分析し、普段の生活に生かすことができるのでとても利用価値の高いテストです。
日本では実施こそされていないもののセミナーを受けることはできるので、興味のある方は受講なさってはいかがでしょうか。
結局は家族との関わり合いが全て
犬の性格形成は結局のところ飼い主も含む家族との関わり合いが全てで、そこで犬の性格が総合的に決定されるのです。
家族と一緒に過ごす上で大切なことは家族との信頼関係であり、特に赤ん坊が居る家庭は犬から危害を加えられないよう注意せねばなりません。
どこまで行こうと結局は基礎基本のしつけに戻るわけであり、飼い主との信頼関係が根っこにあり、それが家族との関係においても影響するのです。
そのため沢山のコミュニケーションやふれあいの時間を増やし、子犬期から手間暇かけて育てる以外真っ当な性格の子に育てる道はありません。
上記してきた個体差や性別の差など微々たるものでしかないことを忘れずにしつけを行ってください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
犬の性格はそのイメージと実際においてはかなり乖離があること、そして様々な要素が複合的に絡み合って決定されるものだとお伝えしてきました。
どこまで行こうと基礎基本に忠実なのが一番であり、守りを徹底することに勝るものはなく、応用技はあくまでもその延長線上です。
理論上の知識やイメージよりもあくまでも個体に触れ実践していく中で犬を育てていくことを忘れないでください。