イギリス原産のコーギーは複数種類があり、日本で見かけるのはほとんどがウェルシュ・コーギー・ペンブロークです。
もう一種のウェルシュ・コーギー・カーディガンは世界では人気なものの日本では希少種で、サモエドレベルの希少価値があるでしょう。
しかし、これまで紹介してきた犬種の中には性格が悪いと評される犬がいたのも事実です。
コーギーも一部でそう言われているみたいですが、本当にそうなのか、今回はコーギーの性格を種類と共に画像つきで解説しましょう。
ウェルシュ・コーギーの種類と歴史
冒頭でも書きました通り、ウェルシュ・コーギーはペンブロークとカーディガンの2種類があります。
まずはそれぞれの種類をその歴史や体型的特徴と共に紹介しましょう。
ウェルシュ・コーギー・ペンブロークの特徴と歴史
- 体高:25~30cm
- 体重:9~12kg
- 被毛:ダブルコート
- 毛色:白と茶色のミックス
ウェルシュ・コーギー・ペンブロークはしっぽが短く耳が丸みを帯びているのが見た目の特徴です。
体高は25~30cm、体重9~12kgほどで、被毛はダブルコートという形になっています。
毛色は白と茶色のミックスが一般的ですが、レッド・セーブル・フォーン・ブラック&タンなども認められています。
日本でもテレビ番組やCMにたびたび登場し、知名度の高いのがウェルシュコーギー・ペンブロークです。
歴史については実はその起源が不明なのですが、有力な説は1107年頃当時のヘンリー1世が招致したチャネル諸島の職人が連れて来たとされています。
初期のペンブロークは牛追いの牧畜犬として、土着のスピッツなどと交配して改良されていました。
その後、ヘンリー2世のペットとなってからは繁殖家の手によって改良が進み、現在のペンブロークに近い形になったようです。
女王陛下の愛犬としてイギリスほか世界で人気を博したペンブロークですが、現在のイギリス国内では絶滅の危機にあるとされています。
コーギーはもともと尻尾がある犬でペンブロークは生後間もなく断尾をしていました。
しかし、動物愛護精神の高いイギリス国民は近年これを受け入れられず、ペンブロークの繁殖をやめてしまった繁殖者が増えているとのことです。
ウェルシュ・コーギー・カーディガンの特徴と歴史
- 体高:30cm
- 体重:8~18kg
- 被毛:ダブルコート
- 毛色:多様
ウェルシュ・コーギー・カーディガンは尻尾がキツネのようにフサフサと長く、耳はピンととがっているのが特徴的です。
体高30cm、体重8~18kgほどで被毛はダブルコート、毛色は赤、黒、サーブルなどのバリエーションがあります。
ペンブロークよりも骨太でがっちりした体型をしており、顔も少し大きめな印象です。
カーディガン種の歴史はペンブロークと同じく牧畜犬として働いていましたが、断尾の習慣がなく尻尾のあることが普通とされてきました。
こちらは起源がはっきりとあり、ペンブロークよりずっと早く紀元前1200年頃と伝えられています。
ペンブロークと同じウェールズ州の山間のカーディガンシャー地方で飼われていたものが1933年にジョージ6世がペットとして飼っていました。
この当時はまだペンブロークもカーディガンも同じ犬種と考えられており、同じウェールズ地方の犬ということもあり、両方を交配することもあったようです。
しかし、体の大きさや毛色・尻尾の違いなどで同一の犬種標準で計ることが難しくなり、原産国であるイギリスのケネルクラブは1943年別々の種類のコーギーとして登録することになりました。
以降、日本も含め海外の多くの国でペンブロークとカーディガンは別々のコーギーとされています。
ウェルシュ・コーギー・ペンブロークの性格
まずは日本で多く飼われ好まれているウェルシュ・コーギー・ペンブロークの性格を見ていきましょう。
ここから性格の良し悪しが見えてくる筈です。
活発
カーディガンとも共通するのが活発で好奇心旺盛な性格で、これが最大の人気の秘訣ではないでしょうか。
きちんとしつければ、アジリティーやフリスビーで好成績を残している子も多く居るのです。
体を動かすことが大好きな性格なので、とにかく毎日室内の運動や散歩は積極的に連れて行きましょう。
まず基本的に部屋の中でゴロゴロすることがあまりない忙しない性格であると思ってください。
その分の成長が後々に大きく影響してくるはずです。
社交的
社交的な性格をしていて他の犬や動物とも仲良くなれるので、小さい子供のいる家庭や多頭飼いでも安心して飼うことができます。
犬の中には飼い主への忠誠心はあるものの、よそ者に対しては厳しいという側面があるものも中には居るのです。
そういう犬種に比べれば、ペンブロークはまだ他者と交流を持とうとするので、取っつきにくさは少ないでしょう。
勿論いきなり距離を詰めてはいけませんが、徐々に慣していく形であれば、受け入れるようになります。
ただし、あくまでもこの社交的な性格は本来のものではなく後天的なものであることを忘れないでください。
警戒心が強い
元々は牛追いの牧畜犬だったのもありますが、飼い主以外の命令には懐かない傾向があります。
しつけがきちんとしていれば無駄吠えなどをしませんが、簡単に他者に靡く性格でもありません。
社交的と言いつつ、実はその人や犬の性格を強かに峻別する強者で侮れないでしょう。
可愛いからと迂闊に近寄るとすげなくされて自信喪失に陥りかねませんので近寄らないのが無難です。
何事も触らぬ神に祟りなしというものですから、飼い主でない限り近づかないのが賢明でしょう。
ウェルシュ・コーギー・カーディガンの性格
こうしてみると、確かに性格悪いと一部で言われるのもその理由が何となく分かっていただけるでしょう。
それでは今度はカーディガンの性格について、一部で悪いと噂されている理由も含めて見ていきます。
活発
まずペンブロークと共通するのがとにかく活発で遊び好きな性格であるということです。
飼い主に忠実で明るい性格なので家庭犬にも向いています。
意識すべきポイントはその活発さを押さえつけないようにして、外で遊ばせることでしょう。
散歩やフリスビーなどの遊びは徹底して行い、ストレスを発散させてくださいね。
とにかく元気に動き回る姿こそカーディガンの最大の売りなのですから。
聡明
ペンブロークと比べてより際立つのが聡明であり、判断力に優れているということです。
ペンブロークも聡明なのですが、そのペンブローク以上に賢いのがこのカーディガンとなります。
その賢さを処世術として使うので、実はペンブローク以上に厳しく相手のことを見ているのです。
なので、カーディガンに相手されなかったら、それはもう縁がなかったと思うしかありません。
こういうところがきっと「性格が悪い」と一部で言われてしまう所以なのでしょう。
攻撃性が強い
オスは特にそうですが、攻撃性が強く相手次第では無駄吠えや噛み癖なども平気で行います。
牧畜犬としての本能からか飼い主に近づこうとする輩は平気で撃退しにかかるでしょう。
しつけを放置しておくと特にこの面が強く出てしまうので注意してください。
メスはそういった攻撃性がなくおっとりしているので、オスほど手はかかりません。
日本ではあまりカーディガン種を見かけませんが、飼うのならばメスをおすすめします。
愛嬌いっぱいのコーギーは、しっかりしつけて運動の時間も取れる人にぴったりの犬種。
ここで、コーギーの飼い方について見ていきましょう。
コーギーの育成方法
ペンブロークとカーディガン、2種類の性格を細かく見ていきましたが、育成方法は基本共通です。
そんなコーギーをどう育成していけばいいのかを解説しましょう。
完全室内飼い
コーギーはイギリス原産の犬種であるため、日本の高温多湿の気候には向きません。
できれば完全室内飼いで、温度・湿度管理を徹底しましょう。
特に夏は熱中症に気をつけてください。冬は特に心配ありません。
また、見た目によらず運動量のある犬なので、室内もある程度自由に動けるスペースが必要です。
運動をしっかり
コーギーは元々羊や牛たちを追う牧羊犬なので、体高は低くてもかなりのスポーツマンです。
散歩の時間を毎日しっかり取り、週に1回はドッグランなど自由に走り回れる環境で遊ばせましょう。
また、頭を使う遊びも好きなので、ドッグスポーツなどを取り入れて遊んでください。
運動量が足りなければ問題行動を起こす原因となりますので、運動時間をしっかり取りましょう。
同時に飼い主とのコミュニケーションを増やすことにも繋がります。
舐められないしつけを
良好な信頼関係を築き、頼れるリーダーとして飼い主が認められていれば、しつけはさほど難しいものではありません。
しかし、逆にいうと賢いがゆえに相手を良く見て、信頼に値するかどうか見極めることに優れています。
信頼に足らない飼い主だと判断された途端、しつけが難しくなりますので注意してください。
したがって、コーギーはしつけに慣れていないビギナーではしつけしきれず手こずることも多くなるかもしれません。
牧羊犬時代に牛の脚を咬んで動きをコントロールしていたため、人の足が気になり咬んでしまう個体もいますのでしつけは必須です。
しっかりしつけができ、さらに運動でストレス解消の時間を取ってあげられる飼い主が望まれます。
トリミング
家庭犬として多いコーギーは北方スピッツ系の犬種なので寒地域に適した被毛が生えています。
しかし、日本の室内では一年中気温が大きく変動しないため、毛を蓄えておく必要がなく抜けやすくなるようです。
コーギーの抜け毛の量はとにかく多いため、驚く飼い主も多いもので、こまめなブラッシングで被毛を衛生的に保ちましょう。
少なくとも週に2~3回は行い、更に月1でトリミングに連れて行くようにしてくださいね。
気をつけたい病気
コーギーの気をつけたい病気は短足胴長の犬に多い椎間板ヘルニアと変性脊髄症です。
両者とも歩き方に違和感が出るというのが初期症状なので、しっかりサインを見極めてください。
特に後者は老犬によく見られる病気で、10才くらいから後ろ足をすり足のように地面にこすりながら歩くようになり、次第に動かなくなります。
変性脊髄症の原因はまだ不明ですが、発症すると3年以内に死に至るとされています。
ヘルニアも変性性脊髄症も初期症状として歩き方の変化が目視できる病気ですので、少しでも異常を感じたら動物病院を受診するようにしましょう。
まとめ
コンパニオンドッグとして飼われることも多い犬種ですが、一緒に暮らすためにはしつけとトレーニングをしっかり行うことが大切です。
性格が悪いとの噂もあながち間違いではなく、きちんと管理を徹底するようにしてください。
少なくとも初心者向けの犬ではないということだけは確実です。
愛犬が安心して生活できるよう、十分準備をした上で迎え入れてあげましょう。