まるで蝶のような耳を持つパピヨンはとても可愛い小型犬であり、人気の高い犬種であります。
しかし、「綺麗なバラには棘がある」とはよく言ったもので、パピヨンは時として性格が悪いと思われるようです。
実際のところはどうなんでしょうか?今回はその美しきパピヨンの性格や特徴飼う際の注意点やしつけに関して詳しく検証します。
パピヨンの歴史
パピヨンという単語をどこかで耳にした方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そう、少年ジャンプ漫画「武装錬金」に出てくる主人公のライバル役・パピヨンです。
どちらかといえばこちらで覚えている方も多いでしょう。フランス語で「蝶」を意味し、蝶が羽根を広げたような耳の形をしています。
実はパピヨンは牧羊犬のような性質も持ちあわせており、立ち姿はとても気品溢れる、優雅なものです。
歴史から見ていくと、パピヨンは中性ヨーロッパの貴族の間では「富の象徴」とされてきました。
有名なフランスのルイ14世もパピヨンを寵愛していたと記録されており、マリー・アントワネットもパピヨンを愛していたとされています。
宮廷では自分の肖像画と一緒にパピヨンを描かせることによって、華やかさを演出していたともいわれているほどです。
平均の体高が20~28cm、体重は3~4kgと小柄で華奢な小型犬です。オスとメスではほとんど変わりませんが、若干オスのほうが大きいでしょう。
ここだけを見ると、性格が悪いと思しき要素はどうも見当たらないようです。
パピヨンの表の性格
まずはパピヨンの顕在意識である表の性格について見ていきましょう。
ここだけを見ていくとそんなに悪いイメージはありません。
犬種随一のIQの高さ
パピヨンは何と言ってもIQの高さであり、実は犬のIQテストで全犬種のうち第8位であり小型犬の中で第1位という特徴があります。
だから同じ「賢い」犬種と比べても理解力に長けており、人の話している言葉をよく理解し、感情の読み取りにも長けているのです。
元々パピヨンは牧羊犬としての性質が濃く、リーダーの統率に従い、命令を聞いて動くことができます。
非常に賢い犬なので、子犬期からのしつけにはそんなに苦労しません。きちんとしつければ、楽に育てられるでしょう。
ただ、出来が良すぎるので飼い主によっては「可愛げがない」と思うかも知れませんね。
健康かつ丈夫である
パピヨンは他の犬と比べても身体が丈夫な犬でであり、遺伝的な病気も少なく気温の変化にも順応しやすい性質を持っています。
飼い主が一番手間がかからず楽な点は何よりもここであり、健康面の心配が然程なく安全に育てられるのです。
勿論それにかまけて衛生面の管理や食事などの健康管理を怠ってしまうのは絶対にやってはいけません。
そんなことをすればたちまち病気にかかりやすくなるので、あくまで「相対的」なものでしかないのです。
しかし、きちんと面倒さえ見ていれば病気のリスクが少ない犬種であることは間違いないでしょう。
友好的である
もともとパピヨンはフランスの貴族に飼われ、愛されていた犬種ということもあり、とても社交的で友好的です。
飼い主さんとのスキンシップが大好きで、触られたり撫でられるととても喜びます。
特に、顎の下をなでられるのが大好きで、気持ち良さそうな幸せそうな顔をするものです。
飼い主があぐらをかいていると、いつの間にかそのなかにパピヨンが入っていることもあります。
ちょっとあざとい感じはありますが、決して悪印象ではなく掛け値なしの可愛さではないでしょうか。
パピヨンの裏の性格
それでは今度は翻ってパピヨンの潜在意識である裏の性格を見ていきましょう。
一部で「性格悪い」と言われてしまう根拠は恐らくここにある筈です。
故意犯のような悪戯好き
パピヨンは家の中でもぴょんぴょん跳ねまわり運動量も多いという特徴がありますが、決して甘く見てはいけません。
頭の賢さもあって「怒られるのを分かっていること」でもやってしまうというたちの悪いいたずら好きなのです。
「怒られる=やってはいけないこと」と分かりつつもやってしまうやんちゃなところが性格が悪いと言われる理由なのかもしれません。
正に「綺麗なバラには棘がある」ということわざはパピヨンの為にあるのではないかと思えるのです。
こういう時迂闊に反応してはいけません、パピヨンの思うつぼですし、虐待はもってのほかなのでやめてください。
プライドが高い
人一倍プライドが高いパピヨンは自分の思い通りにならないことがあると、急に吠えたり唸ったりと普段見せる可愛さとは違い攻撃的になります。
自己主張が強いこともあり、頭の良さが関係しているとはいえ、我が儘になってしまわないようにきちんとしつける必要があるでしょう。
パピヨンの厄介な部分は正にここにあり、単なる可愛らしい奴だと思って見た目に騙されると、こういう毒を食らわされます。
とてもプライドが高いために舐めてかかると痛い目に遭うので、あまりプライドの高さを刺激しない方が身のためです。
絶対にプライドの高さを尊重し、褒めて伸ばすことを中心に考えてしつけてくださいね。
警戒心が強い
またパピヨンは警戒心が強く、少し怖がりです。パトカーや救急車の音が苦手で怖くなると遠吠えをすることもあります。
音には少し敏感なので、マンションで買う場合には吠えた場合に声が外に漏れないか注意が必要でしょう。
また、ナイーブな一面もあって、飼い主に怒られたり相手にされないことが重なると、精神的に病んでしまうことがあります。
そのため、1日に1回は遊んだり褒めたりしてあげることが大切です。
こうして見ると、今まで見てきた犬種の中でも面倒くさいといえる複雑な性格ではないでしょうか。
この辺りは飼い主のしつけがきちんとなっていないと表面化するので、気をつけて育ててください。
飼う際の注意点
パピヨンはとても賢い犬なので、比較的しつけや訓練は行いやすいでしょう。
ここでは実際にパピヨンを飼うとなった場合の注意点をご紹介します。
必ず室内飼い
パピヨンは室内飼いに向いている犬種であり、室内飼いができない場合は飼うのを控えたほうがいいでしょう。
活発で運動量の多いパピヨンは廊下など直線の場所では猛ダッシュするので、フローリングだと滑って怪我をしてしまうことがあるかもしれません。
滑りを防ぐために、細長い絨毯を敷くなど工夫してください。
またトイレトレーニングが重要です。まず、トイレトレーは大きいサイズのものを用意して、分かりやすい場所に置いておきます。
パピヨンがトイレを覚えるまで、トイレの場所は変えないようにしましょう。ほとんどのパピヨンは2週間もあればトイレを覚えるようになります。
適切な食事と運動を
パピヨンは太りやすい犬種なので、健康面の心配はないといっても絶対に適切な食事と運動による健康管理を徹底してください。
まず食事ですが、食事も通常のドッグフードとキャベツやニンジンなどの野菜も一緒にあげましょう。
もしくは、カロリーが低いタイプのドッグフードに変えてもみるのも大事です。
しかし、多すぎるとすぐに太ってしまうため、食事の量には十分に注意し、こまめに体重を測ってあげる習慣を付けましょう。
次に運動ですが、パピヨンはよく動き回るので室内でも十分運動量はありますが、毎日外で散歩や運動させる習慣をつけましょう。
外で散歩を行うことは、他の犬や人と触れ合う機会となりますし、ストレス発散にもなります。
甘やかしすぎてはダメ
パピヨンは賢さゆえに甘やかしてばかりだと、どんどん我が儘になってしまいます。
子犬の頃から飼っていると、とても可愛らしくついつい甘やかしてしまうでしょう。
そうなると、家族の中で一番自分が偉いと勘違いし、攻撃的で吠えまくる犬となってしまいます。
何事も、最初のしつけが肝心です。例え子犬であろうと、甘やかすことなくしつけを行うようにしましょう。
適度に無視することも大切
パピヨンは賢い犬のため、他の犬種よりもすんなりとしつけを覚えますすが、決して良いことばかりではなく、悪いこともすぐに覚えてしまうため注意が必要です。
たとえば、吠えるパピヨンを静かにさせるためにエサをあげると、それを逆手に利用して吠えるとエサをくれると勘違いします。
また、活発で吠えてうるさいパピヨンを静かにさせるために散歩に行くと、「騒いだら散歩に連れていってくれる」と思い込むのです。
これはただのパピヨンのワガママと捉えて、吠えたり噛んだりと悪いことをした時には、無視するようにしましょう。
犬にとっての罰は叩くことではなく「無視」することなので覚えておいてください。
「好き」の反対は「嫌い」ではなく「無関心」なので、甘えん坊なパピヨンからすれば適度に無視してあげるのが大切です。
パピヨンの面倒くさい性格を理解すること
パピヨンはとても賢く飼いやすい犬種であり、犬を飼うのが初めてな人や1人暮らしの人に取っても飼いやすいため、若い女性を中心に人気があります。
しかし、上記してきたように「綺麗なバラには棘がある」を忘れず、絶対に裏があることを念頭に置いておきましょう。
賢く友好的なためついつい甘やかしがちですが、そこはきちんとしつけを行うようにしてくださいね。
パピヨンの性格を理解した上で飼うことは家族の中での関係性を作る上でも大変重要なことです。
ぜひパピヨンのことを詳しく理解してから家族に迎え入れてあげることが大切でしょう。