単なる基礎知識や理由だけではなく、三種類の比較・検討なども交えて解説していきましょう。
大型犬の基礎知識
小型犬・中型犬に比べて大変だと言われる大型犬ですが、果たしてその実態はどうでしょうか?
どのあたりがどう大変だと言われるのかも含めて、一度基礎知識をまとめてみましょう。
大型犬の定義
小型犬・中型犬の記事でも述べたように、大型犬も明確な定義は決まっていません。
一般的には体重が25kg以上・体高が60cm以上で大型犬とされていますが、大きい分制限も多くなります。
大型犬を飼える場所や住まいは一戸建てが基本で、施設利用の際もそれが可能な場所は限られるのです。
大型犬の種類
国内外を含め大型犬として分類されているのは以下の犬たちです。
- アイリッシュウルフハウンド
- アイリッシュセッター
- 秋田犬
- ゴールデンレトリバー
- サモエド
- サルーキ
- シベリアンハスキー
- チャウ
- 土佐犬
- ドーベルマン
- ニューファンドランド
- ビアデッドコリー
大型犬は日本だと秋田犬・土佐犬、海外原産であればゴールデンレトリバーやチャウ、ドーベルマンが代表的でしょう。
特にドーベルマンは細いながらも筋肉質かつ繊細で警戒心の強い性格から警察犬などにも用いられています。
兎に角大きく迫力があるというインパクトが大型犬の特徴です。
大型犬が人気である理由
大型犬は小型犬・中型犬に比べて飼う時のハードルが高く取っつきにくいと言われます。
しかし、決して不人気というわけではなく、一定数飼う人が居るのにはそれ相応の魅力があるからです。
大型犬の魅力・人気の理由として以下のことが挙げられます。
- 迫力のある存在感
- 大きいからこそ穏やかで優しい
- 抱きしめた時に安心できる
- 知性が発達していて賢い
- 叫び声に迫力があって頼もしい
大体この辺りでしょうか。見てもらえると分かりますが、大型犬の人気は何よりも「大きさ」にあります。
大きいからこそ頼ることができますし、抱きしめた時も中型犬・小型犬にはない安心感が得られるのです。
また、知性が発達していて賢いのと体の大きさを加えれば不審者や犯人などを撃退するのにも役立ちます。
動物病院などでも聞き分けがよく、あまり暴れたりしないので安心して飼うことが出来るのが人気の理由でしょう。
大型犬を飼うデメリット
次に大型犬を飼うデメリットを挙げてみましょう。大型犬が大変だと言われる理由は大体以下の通りです。
- 維持費(特に食費)が高い
- 賃貸暮らしには不向き
- 運動量が大きいので時間を食う
- 飼育グッズにも特大サイズが必要
- 緊急の時に受け付けてもらえず難航する
- 寿命が小型犬・中型犬に比べて短い
大体この辺りでしょうか。大型犬最大のデメリットは兎に角全てにおいて維持費がかかるということです。
食費は小型犬・中型犬の倍かそれ以上、住める場所もまず賃貸のマンションなどは基本不向きになります。
また、体が大きいので散歩や遊びなどの運動量が莫大で最低30分~1時間はかかるなどプライベートの時間が取れません。
しかもこれだけ飼育費が大変なのに、寿命が小型犬・中型犬と凄まじい金食い虫の象徴でありましょう。
正にハイリスク・ローリターンの厳しい育成となることを覚悟の上で飼う決意をしてください。
老化が兎に角早い
中型犬との違いは子ども時代が長い上に老化が異様なまでに早いということが挙げられます。
中型犬は子犬期が短い分成犬期が長く老化が遅いためにコストパフォーマンスはいいと言えるでしょう。
一方大型犬は7歳を過ぎたらもう老年期に差し掛かり、足腰が弱って自力で立ち上がるのも大変です。
また、散歩や排泄・食事なども難しくなり、もはやここまで来ると人間の介護と変わらない手間と労力がかかります。
とペットというよりは一人の人間と見なして飼った方がいい、ギャンブルの領域です。
デジタルカメラに例えると
小型犬・中型犬との違いで比べるとピンと来ない方も多いと思われますので、それぞれをデジタルカメラに例えてみましょう。
小型犬はコンパクトデジカメで、携帯カメラよりも性能が上ながらも綺麗な画質で撮りたいというお手軽感が似ています。
中型犬はいわゆるミラーレスカメラでコンデジの小ささで一眼レフに近い画質の写真を撮ることができる、コンデジと一眼レフのいいとこどりです。
そして大型犬は一眼レフカメラ、完全にプロ意識で性能が非常に高い分カメラ自体も重たくレンズの取り換えなど兎に角コストが高い。
こうして見ると、大型犬は一眼レフカメラと同じで完全に犬が飼い主を選ぶピーキーな仕様の犬であると言えるでしょう。
どれを取るかは飼い主次第ですが、お手軽さを取るなら小型犬、性能の高さを取るなら大型犬、お手軽さと性能の高さを取るなら中型犬でしょうか。
いずれにしても経済的に余裕のある人やペット系YouTuber、プロトレーナーでもない限りあまりお勧めがされないのも納得です。
注意すべき病気
大型犬において特に注意すべき病気は「股関節形成不全」「心筋症」「胃捻転」の3つです。
まず「股関節形成不全」は大型犬に多く見られる大腿骨頭の部分が変形して骨同士が噛み合わずに歩行に支障をきたす病気です。
早い段階だと生後半年程度で出ることもある上に年齢が進むと共に悪化するので、激しい運動は避けて獣医に診てもらいましょう。
次に「心筋症」は人間にも見られる、伸縮を繰り返す心臓が収縮運動を低下させることで起こりうる病気です。
食欲がなかったり呼吸が早くなったりしたらサインであり、予防法も見つかっておらずオスの方が発症しやすいと言われています。
心臓病は特に厄介な病気の一つなので徹底した早期発見と予防を行うに越したことはありません。
三つ目の「胃捻転」ですが、これは胃にガスが溜まることでお腹が異常に膨らみ、呼吸が苦しくなります。
一刻を争う程の深刻な病気であり、開腹手術で捻じれた胃を元に戻し、安静させてください。
体が大きい分かかる病気のリスクと深刻さも大きいので、これらに注意しながら育てていきましょう。
まとめ
さて、今回で大型犬まで含めて一通り見てきましたが、大型犬はどちらかといえば大変さの多い犬です。
とはいえ、あくまでもそれは小型犬・中型犬と比較した上でのことで、しつけの労力と費用がかかる点は何も変わりません。
大事なのは一度飼ったからには最後まで面倒をしっかり見る根気強さと経済力、そして何よりも愛情です。
どの種類がいいというよりはご自身の経済力や時間の余裕など諸要素を総合して飼うのが一番いいでしょう。