前回の記事では基本の「基」に相当する最初の心構えとトイレトレーニングについて解説しました。
今回はその次に大事な散歩におけるしつけについて掘り下げていきましょう。
散歩の意義
他のどのペットとも異なる犬のしつけの特徴でもある「散歩」ですが、意外とその意義については知られていません。
何のために犬と飼い主はわざわざ外を歩き回る時間を持つ必要があるのかをお話していきます。
運動による健康維持
一つ目が運動による健康維持であり、これは人間のウォーキングやジョギングと同じで体を動かさないと訛ってしまいます。
猫は体が小さいので猫じゃらしなどを用いれば室内飼いであっても十分な運動となりますが、犬の場合はそうもいきません。
年齢と共に体も大きくなり室内だけじゃ満足できなくなるので、外を歩いたり走ったりすることで筋肉を使い新陳代謝を活性化させます。
折角愛情をもって育てるのですから、できれば健康に長生きしてほしいのはペットを飼っている人が共通して思うことでしょう。
「健全な精神は健全な肉体に宿る」の言葉通り、散歩をすることで犬の精神も常にフレッシュでいられるのです。
気分転換(ストレス発散)
健康維持とも関連しますが、散歩は犬にとって気分転換(ストレス発散)という精神面の衛生上非常に重要な役割を果たしています。
広い庭がある場合は別として、ずっと一日中室内に籠りっぱなしというのは外からの刺激がまるでなくストレスの原因となるのです。
人間が新しい情報や刺激を得るために外に出るのと同じように、犬も外の世界へ出て新しい獲物や刺激を追いかけたい本能が強くあります。
その動物としての本能を満たす為にも、散歩には新しいアスファルトや自然の匂いを聞いて脳の様々な部分を刺激する役割があるのです。
常に外からの刺激を吸収させて犬の精神面を若々しくフレッシュに保つようにしていきましょう。
飼い主とのコミュニケーション
三つ目に散歩は犬にとって飼い主とのコミュニケーションの時間であり、室内に居る時には得られない様々な反応を得ることができます。
例えば電柱にマーキングされた犬のおしっこの匂いであったり、何か目新しいものに反応してつい走ってしまう脊髄反射ぶりであったり。
そういった要素は刺激の極めて少ない室内に居るとわからない部分であり、犬の様々な面を引き出す効果があるのです。
また犬は群生の傾向がある生き物なので一人ではなく仲間や飼い主と一緒に何かをやることに喜びを感じ、飼い主も沢山のことを学べます。
人間だって本当に大事な話がある時や好きな人との関係を深めたい時は外に出て新しい場所へ出かけたりデートしたりして理解を深めますよね。
そういう風に室内よりも質が高く理解を深めるコミュニケーションを図ることができるのが散歩をする最大の意義です。
犬の散歩のコツ
散歩の意義を述べてきましたが、一口に散歩といってもただ行えばいいのではなく正しい知識が必要となります。
ここからは犬との関係をより深く濃いものにしていく散歩の実践的なコツ・ノウハウについて見ていきましょう。
犬の散歩に必要な道具
まず犬の散歩に必要な道具をトイレトレーニング同様一式買いそろえておきましょう。具体的に書くと以下の道具が必要です。
- リード、首輪orハーネス
- 散歩用バッグ
- 排泄処理用のスコップと袋
- 水入りのペットボトル
- 足ふき用のタオル
- 遊び用の玩具(ボールやフリスビーなど)
リストアップすると大体この辺りでしょうか。優先順位で言えば、リード、首輪orハーネスと排泄処理用のスコップと袋は軽い散歩でも必須です。
特に排泄処理用のスコップと袋は飼い犬がどのタイミングにどの場所で排泄するかが分からないので近くまでであっても油断は禁物。
他の道具は散歩の距離の長さや内容などによっては必要ない場合もありますが、備えあれば患いなしで準備はしておいた方がいいでしょう。
リーダーウォーク
散歩における一番の原則はリーダーウォーク、すなわち飼い主と犬を繋ぐリードの距離感が不即不離で寄り添うように歩くことです。
これは「動物愛護法」及び環境省の「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」で義務として定められていますので絶対に守りましょう。
このルールが守られていないと、犬の事故・怪我に繋がるのは勿論他の犬や通行人、最悪の場合は飼い主に襲い掛かったりすることもあり得ます。
そのようなトラブルを避けるためにも一定の距離感を保ちつつ飼い主のリードに犬がついていく形のリーダーウォークを徹底させましょう。
無言で急に止まる
リーダーウォークの初期段階では犬が飼い主のリードを無視して歩こうとするので、その時には犬を凝視せず無言で急に止まってみましょう。
そうすると犬は飼い主の変化を敏感に感じ取り自分勝手な散歩をしなくなり、次第に飼い主の歩く方向へとついていくようになります。
また、歩く際には犬の名前を呼んだり声をかけたりして注目させ傍に来させるという感覚を徹底して植えつけさせることも大事です。
これが出来ていないと、上記したように飼い主が犬に「引っ張られている」という主従関係の逆転が起こり上記したトラブルへ発展します。
トイレトレーニング同様リーダーウォークも初期段階の基礎を叩き込むことで後々に大きく影響してくるのです。
褒める
リーダーウォークが出来て、飼い主の歩く方向にきちんとついてくるようになったら一言褒めてあげてください。
褒めるという行為はトイレトレーニングやリーダーウォークを含め全てのしつけに共通する大事なポイントです。
また、犬が他の犬や人に意識が向いている時はおやつを用意して意識を向けさせるといいでしょう。
とはいえ、おやつに関しては習慣化せずあくまでもいざという時の切り札として留めておくことが大切です。
この匙加減を間違えてしまうとご褒美としての価値がなくなるので乱用を避けるようにしましょう。
遊びを入れる
そしてもう一つがただ散歩させるだけではなく、途中で「遊び」を入れるようにしてマンネリ化やルーティン化を防ぎましょう。
毎回同じコースで散歩をしているとかえって刺激がなくなり、犬にとっても同じことの繰り返しで面白味がありません。
よく公園や空地などで飼い主が犬にボールや犬を取ってこさせる遊びを見かけますが、あれがまさにその「遊び」です。
これは室内だと不可能とは言わないまでも制限された遊びになるので、外の広々とした所でやると気持ちのいいストレス発散になります。
特に大型犬の場合は人間と同じ速度で歩くだけでは大した運動にならないのでこの方法が極めて有効です。
勿論その遊びがきちんとできた時にも褒めて犬に新鮮な空気や刺激を取り入れることを心掛けましょう。
まとめ
散歩は犬のしつけの中でも工夫次第で毒にも薬にもなる大きなコミュニケーションの手段です。
季節や犬の体調なども考慮しながら最適の時間と内容を工夫してマナーを遵守した散歩を行いましょう。
飼い主と犬、そして周囲の人たちや犬が快適に過ごせるようにしていくことで充実したペットライフを過ごすことができます。