その1では小型犬についての基礎知識を中心に解説しました。それを踏まえて今回は中型犬について見ていきます。
中型犬の基礎知識
日本では小型犬が非常に人気が高く魅力的ですが、中型犬も飼い主に忠実であるという理由から人気を博しています。
小型犬にはない中型犬ならではの魅力なども併せて見ていきましょう。
中型犬の定義
前回の記事でも述べたように、中型犬自体の明確な定義は決まっていません。
大体の場合10~25kg程度の大きさの犬ですが、個体によって体重や体高は異なるので小型犬に近い中型犬と大型犬に近い中型犬が居ます。
ややこしいのはペット賃貸などの場合において犬の種類で区別する施設と体重で区別する施設に分かれていることです。
施設を利用する際は事前の問い合わせや規約や注意書き等々をくまなくチェックするようにしましょう。
中型犬の種類
国内外を含め中型犬として分類されているのは以下の犬たちです。
- 柴犬
- アメリカンコッカースパニエル
- イングリッシュコッカースパニエル
- ウェルシュ・コーギー・ペンブローク
- シェットランド・シープドッグ
- ビーグル
- パセット・ハウンド
- フレンチブルドッグ
- 北海道犬
- 甲斐犬
柴犬も含めて大体中型犬というとこの辺りが代表的でしょうか。
柴犬だけではなく北海道犬や甲斐犬などもあるように、日本原産の犬種や雑種も多く存在します。
海外原産の犬ではビーグルやコッカースパニエル、コーギー辺りが人気です。
中型犬が人気である理由
小型犬は小ささ故の愛らしさに人気の理由・魅力がありました。
ここでは中型犬にあって小型犬にはない人気の理由・秘密を挙げてみましょう。
- 飼い主への忠誠心が強い
- 骨格と筋肉のバランスに優れている
- 室内と室外の両方で飼える
- 成犬の時期が長い(老化が緩やか)
- 洞察力・判断力に優れている
- 社交的で他者とも打ち解けやすい
大体この辺りでしょうか。見てもらえると分かりますが、小型犬と大型犬のハイブリッドという感じの特徴です。
特に骨格と筋肉のバランスに優れていて体が丈夫という点は小型犬にはない特徴なので安心できます。
これから犬を飼おうとしている方にもこういった観点からお勧めしやすいことは間違いありません。
また、元々猟犬として飼われていた為に成犬の時期が長く老化が遅いのも特徴的です。
そして何よりも飼い主に忠実かつ種類によっては社交的で人見知りをしないことも人気の秘訣でしょう。
中型犬を飼うデメリット
一見良いこと尽くめの中型犬ですが、完全無欠な存在などなく中型犬ならではのデメリットもあります。
- 維持費(特に食費)が高い
- 賃貸暮らしの場合十分なスペースが必要
- 噛み癖や無駄吠えが多い
- 運動量が多くなるため散歩に時間がかかる
- もう量が増える為毛の手入れに時間がかかる
- 寿命が小型犬より短い
大体この辺りでしょうか。小型犬と大型犬のハイブリッドは長所だけではなく短所もそうです。
特に一番悩ましいのは賃貸暮らしの場合、小型犬と違ってスペースが広くないとできないということでしょう。
小型犬は狭い部屋でも体が小さいため困りませんが、中型犬の場合1K~1LDKでは飼えません。
また、元々猟犬だったがゆえに攻撃本能が強く、無駄吠えや噛み癖がひどいこともままあります。
最大の長所は最大の短所ともなるので、これらのリスクは事前に心得ておきましょう。
飼い主以外に迷惑をかけないように
中型犬は飼い主との主従関係を大切にしますが、その分飼い主以外の相手には冷たいこともままあります。
特に中型犬は猟犬として人間に仕えてきたという歴史故に命令を聞く相手を適切に見極めているのです。
だから飼い主以外の家族が相手であっても吠えたり噛んだりすることは珍しくありません。
一人暮らしの場合この問題は生じませんが、子どもや年配者など住居人が複数の場合より性格の穏やかな犬種を選ぶ必要があります。
取っつきやすいからといってうかつに懐に入ろうとすると攻撃されてしまうので注意しましょう。
土地柄による気候変動にも注意
中型犬の場合は種類によって暑さに弱かったり寒さに弱かったりするので土地柄による気候変動にも注意です。
例えばコッカースパニエル・北海道犬・ボーダーコリーなどは寒さに強い分暑さに弱いので寒い土地柄の場所に住ませましょう。
また逆にウィペット・フレンチブルドッグなどのように暑さに強い分寒さに弱い犬は暑い土地柄の場所が最適です。
もし気候変動が気になる場合はボーダーコリーなどのようにどの天候にも強い中型犬をお勧めします。
中型犬は小型犬に比べると気候変動の影響を受けやすい種類が多いので、飼うなら事前の予備知識を勉強して飼ってください。
注意すべき病気
小型犬同様、中型犬の病気についてもしっかり触れておきましょう。
中型犬の場合は目と脊髄に病気が出やすいことが多く、中でも特徴的なのは「コリー眼異常」「変性性脊髄症」です。
「コリー眼異常」とは名前の通りコリー種に多く見られる遺伝性の眼疾患で、稀に北海道犬も遺伝子変異でかかることがあります。
症状は「眼底の血管の異常なうねり」「脈絡膜や網膜の低形成」「眼球内で出血が起こる」といった辺りです。
しかも今現在もなお明確な治療法は確立されていないので、コリー種を飼った場合は眼科医に専門で診てもらいましょう。
「変性性脊髄症」は麻痺が徐々に進行していく慢性の神経疾患として人間で言う筋萎縮性側索硬化症(ALS)に酷似した病気です。
ジャーマンシェパード・ボクサー・ウェルシュコーギー辺りに見られるもので、最悪の場合呼吸困難で死に至ることもあります。
こちらも現在では明確な治療法が確立されていない遺伝子の疾患である為、定期的な健診を心掛けましょう。
小型犬に比べると遺伝子故の難病といった対策のしようがないものが多くなるので、飼う時はその辺りを覚悟してください。
まとめ
今回は中型犬について見てきましたが、小型犬に比べるとややハードルが上がったかと思われます。
特に病気に関しては遺伝性の難病などがあるために、飼ってから苦労をなさる方も多いことでしょう。
しかし、小型犬にはない魅力も沢山あり、決して悪い点ばかりではなく魅力やメリットも多いです。
小型犬と大型犬の中間であるが故の特徴をしっかり見極めた上で素敵な中型犬ライフをお楽しみください。