キャバリアは愛情豊かな性格の持ち主え、飼い主や家族を楽しませてくれる正真正銘の愛玩犬です。
そのことから非常に飼いやすい犬種とのことですが、果たしてそれは本当なのでしょうか?
犬は見かけによらず、意外な裏があることをシーズーの記事で書きました。
今回もまた、その性格から歴史・育成の仕方までひっくるめて総合的に見ていきましょう。
キャバリアの歴史
イギリスを原産とするキャバリアはあらゆる犬種の中でも特に深い歴史があります。
正式名称は「キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル」であり、アメリカンコッカースパニエルが属するスパニエル種の一つです。
キャバリアのルーツは小型のスパニエで、犬に深い愛情を持つイギリス王室にて長い間愛されてきました。
特にチャールズ2世(1630~1685)は公私混同に陥ってしまうほどにトイ・スパニエルを溺愛していたとのことですが、歴史上の偉人が何をやっているんでしょうね?
その後パグ・狆などのマズルが短い犬種(短吻種)がヨーロッパにて流行し、キャバリアも交配を重ねるごとに長いマズルが短くされていきました。
やがて「キング・チャールズ・スパニエル」として、呼ばれ現在の「キャバリア」になるという、複雑な歴史があります。
キャバリアの性格
イギリス王室で愛されてきたキャバリアにはどんな性格の傾向が見られるでしょうか?
飼いやすさにも繋がってくる大事なポイントなのでじっくり掘り下げてみます。
平和的で優しい
キャバリアはあらゆる犬種の中でもとにかく優しく穏やかな性格で、愛情深く物静かです。
攻撃性もなく他の犬やその他の動物、見知らぬ人に対しても友好的に振る舞います。
シーズーとは違って、その表の性格を狡賢く利用するあざとさなども当然ありません。
人懐っこく膝の上に乗るなどのスキンシップが大好きで、人との触れ合いを大事にします。
遊び好き
室内では大人しいのですが、実は結構遊び好き・悪戯好きな性格でもあります。
このような性格なので、番犬としては不向きであり、はしゃぐことが大好きです。
そのため、外に出ると様々なものに興味を示すなど、室内とはまた違った好奇心旺盛な一面を見せてくれるでしょう。
その為積極的に散歩に連れて行くと、どんどん明るい面を見せてくれて可愛く思えてきます。
他の犬との交流も積極的に行うので、外の世界に連れ出してあげて下さい。
さみしがり屋
かように愛情深いですが、その反面さみしがり屋なので、家を留守にすることが多い方は注意です。
接する時間を1日に出来るだけ確保してあげるようにしましょう。
余りにも長すぎると分離不安症から様々な症状を催すようになり、問題に発展します。
ここが面倒くさいところで、愛情深い反面構う時間がどうしても多くなってしまうのです。
なので、家を留守にすることが多い方には向かない犬種となり、安易に飼いやすいと言えません。
飼う際の注意点
さて、そんな愛情深いキャバリアの性格を把握した上で、飼う際の注意点を書いていきましょう。
散歩は合計1時間以上
散歩は、最低でも毎日朝夕30分の合計1時間以上は行ってください。
加えて、キャバリアはとても遊び好きなので、家でもよく遊んであげましょう。
すると生活の質があがり、運動量が自然と増え問題行動も減っていきます。
逆にここで遊ぶ時間をケチっていると絶対に問題のある性格に育ってしまうのです。
そのようなことだけは避け、しっかり向き合って遊んであげましょう。
食事は腹八分目
食事は1日2~3回にわけて与え、太らせないように間食は控えてください。
食欲旺盛なのでついつい与えたくなりそうですが、絶対に必要以上を与えてはいけません。
また、台所には絶対に入らせないように隔離することをおすすめします。
ケージやクレートに隔離する癖をつけておくと、無用な外出を減らすことが出来るでしょう。
毎日のブラッシング
ブラッシングはできるだけ毎日行いましょう。被毛はダブルコートなので換毛期にはたくさんの毛が抜けます。
毛の絡まりが最小限に抑えられ、換毛期のブラッシングが楽になり、その上皮膚疾患の予防にもつながるのです。
飾り毛が豊富で巻き毛やくせ毛の個体も多いため、月に1度はトリミングサロンでしっかりとしたグルーミンを行いましょう。
他にも、定期的な肛門腺絞りや爪切りも必要なので、衛生面の管理はしっかりすることです。
清潔感が大事になってくるので、ここで衛生面の管理を怠ってしまうのは絶対にいけません。
キャバリアのかかりやすい病気
キャバリアは果たしてどんな病気にかかりやすいのでしょうか?
この点もまた非常に大事なのでしっかり見ていきましょう。
僧帽弁閉鎖不全
キャバリアが一番かかりやすい病気がこの僧帽弁閉鎖不全ではないでしょうか。
左心房と左心室の間にある僧帽弁の異常で老年期に後天的に発症しやすい遺伝子疾患です。
犬の心臓病では最も多いこの病気、小型犬の心不全の95%が僧帽弁閉鎖不全によるものと言われます。
発症率は年齢と共に増加し、16歳になると75%がこの病気を持つのです。
キャバリアの場合は1歳ですでに33%がこの病気を持ち、4歳以上では60%になるでしょう。
絶対に定期的な動物病院での検査を忘れないでください。
脊髄空洞症
キャバリアの発症率がとても高い遺伝子疾患です。
品種改良を繰り返されたキャバリアは頭蓋骨が脳の大きさに対して小さくなっています。
そのため、脳脊髄液の流れが阻害され圧力が高くなりすぎることが原因で発症しやすいのです。
他の犬種では珍しい病気ですが、キャバリアは90%以上の割合で問題があります。
しかし、実際に症状として現れることは少ないので、中々気付きにくいでしょう。
後頭部を触られるのを嫌がったり、しきりに足で頭の後ろをかく場合は発症している可能性があります。
その時は真っ先にこの病気を疑い、動物病院での検査をしてもらってください。
外耳炎
耳に汚れが溜まり、炎症を起こしてしまう病気であり、かゆみや痛みなどの症状が出てきます。
垂れ耳の犬種は必然的に汚れが溜まりやすいため、耳の病気にかかりやすいのです。
人間でもかかると厄介な病気なので、常に犬の健康面は見てあげて下さいね。
ブラッシングの際に耳かきとセットで見るようにする癖をつけるといいでしょう。
わずかな早期発見が事態の改善に繋がっていきます。
キャバリアの購入費と維持費
キャバリアの子犬の相場は10万円から25万円ほどであり、個体差によって値段の幅が広くなっております。
その要因としては「血統」「大きさ」「毛色」「性別」の4つが挙げられるでしょう。
まず「毛色」ですが、親犬がドッグショーで活躍していた場合は高額になる傾向にあります。
特に親犬のどちらか、あるいは両方がチャンピオンの場合には50万円とサモエドレベルの値段にもなるのです。
「大きさ」に関しては理想体重に近いほど、値段が高くなる傾向にあり、「毛色」は定番である「ブレンハイム」の毛色を持つ子が特に高くなります。
性別は「出産ができる」という理由で、オスよりもメスの方が高値になるでしょう。
維持費に関しては大体月3~5万程度はかかります。ドッグフードだけならまだしもトリミングその他諸々も含めるとそれだけします。
なので、経済的余裕がない人は決して手を出すべきではありません。
幸福度を上げてくれるキャバリア
キャバリアは優雅な動きで初心者でも比較的育てやすい犬種と言えます。
被毛等のケアに関しては少し時間を取る必要がありますが、愛犬のお世話をしっかりすることで犬との信頼関係構築にも繋がります。
また、そのお陰で幸せな時間を過ごすことができるので、飼い主も含めて幸福度が上がることに間違いありません。
しかし、育てやすい犬種とはいえ事前の準備や心構えは必須ですから、下調べは入念に行って下さい。