今回の記事は久々に犬のしつけの基礎「おすわり」について解説していきましょう。
子犬を家に迎え入れてしばらくしたら、誰しもがしつけを自然と行っていくようになります。
再三口を酸っぱくして言っているように、しつけは飼い主とのコミュニケーションを図る最高の手段です。
「おすわり」というしつけが何の為にあるのか、そのメリットやしつけのコツを解説していきましょう。
おすわりの重要性
「おすわり」とは飼い主の指示を受けた犬がいつでもどこでも後ろ足を畳腰を下ろした状態になることです。
おすわりの役割を一言で言えば「ブレーキ」、即ち犬の突発的な動きを抑制する役割があります。
例えば歩道を散歩中、向こうから歩いてきた初対面の犬に興奮し、駆け寄ってマウンティングをしかけてしまうかもしれません。
あるいは公園を散歩中に目の前を横切った猫に興奮し、飼い主の制止を振り切って走り出してしまうこともあるでしょう。
そんな時、お座りのしつけができていれば後ろ足がしっかりと畳まれ、突発的な動きが取れなくなります。
おすわりは今まで紹介してきたしつけの中でも実は物凄い重要性のあるしつけなのです。
おすわりのメリット
おすわりを犬に覚えさせることで、以下のメリットがあります。
散歩中のリードがしやすくなる
おすわりを覚えさせると散歩中のリードが格段にやりやすくなるというメリットがあります。
散歩中の犬は外部の刺激に常に晒されているので、いつ興奮してもおかしくありません。
場合によってはマーキングや威嚇・攻撃などを始めてもおかしくない程の臨戦態勢に入るのです。
そう、犬は家だと大人しい分そのストレス発散を外で行ってバランスを取っています。
そんな時におすわりを覚えておくと外部の刺激に興奮させず、リードがしやすくなるでしょう。
感情をニュートラルに戻すことが出来る
2つ目に興奮状態に陥った犬の感情をニュートラルに戻すことが出来るのです。
特に子犬期は理性が発達していないこともあり、外部の刺激に即座に一喜一憂します。
そんな時に「おすわり」さえあればそんな子犬の感情でさえも一発で抑えることが出来るのです。
「ケンカする気はない」という他の犬に対しての意思表示にもなり、余計な争いの防止に繋がります。
そうしていく中で犬も徐々に理性的な存在に成長していくことを覚えておいてください。
無用な事故・トラブルを回避出来る
3つ目に無用な事故・トラブルを回避することで犬も飼い主も安全かつ平和に過ごせるのです。
子犬は危険を察知する能力が未熟なため、急に走り出したり道路に飛び出したりしてしまいます。
事故や大惨事になるおそれがありますから、危険な行動はさせたくないのが飼い主の心情でしょう。
また、愛犬がお散歩中急にすれ違った他の犬に飛びかかってしまうことがありますが、他の犬とのトラブルはなるべく避けたいものです。
そうした時におすわりでじっと待たせることで、危険な行動を防ぐことができます。
「おすわり」しつけのコツ
メリットを理解していただいたところで、今度は「おすわり」のしつけのコツを基本に忠実に解説していきます。
集中できる環境を作る
一つのことを覚えるには集中力が大切ですので、しつけの前には窓を閉じて外からの音を遮断し、静かな環境で行いましょう。
気が散るようなおもちゃなどは全て片付け、犬の意識が否応なく飼い主の方に向くようにしてください。
また犬の足が滑ってしまわないよう、床にはカーペットやマットなどを敷いておくことも大事です。
以前にも解説しましたように、犬の集中力はもって10分~15分ほどです。
集中力がなくなってきたらいさぎよく練習を中断してその日の夜や翌日に改めて再開しましょう。
ごほうびを用意するor褒める
犬をある特定の行動に対して積極的にさせるためには当然ご褒美が大事です。
おやつをごほうびとして使う場合はカロリーの低いものを選ぶようにし、与えるときも犬が満腹にならないよう少量にします。
気をつけるのは決してこのご褒美を習慣化せず、たまに挙げる程度に押さえて有難味を持たせておくことです。
ご褒美を毎回与えて貰えると、「海老で鯛を釣る」みたいなことになりかねませんので「我慢」を忘れさせないようにしましょう。
ほめる時は高い声で「よーし」や「いいこ」や「グッド」などの声をかけてあげます。
ただし、あまり激しくなで回してしまうと犬が興奮しすぎて集中力がなくなってしまうため、軽くにとどめてください。
指示語を統一する
以前の記事でも書いてますが、犬が腰を落とした状態に仕向ける際には指示語を絶対統一してください。指示語を統一しないと犬は混乱します。
一家の中でお父さんは「スワレ!」、お母さんは「座りなさい!」、息子は「オスワリ!」、娘は「シットダウン!」だったら犬は大混乱で何をしてよいか分からなくなります。
指示する際に掛ける言葉は一つに絞ること、つまり「指示語を統一すること」は非常に重要なのです。
コツとしては英語で「Sit」(シット)にするのが一番いいでしょう。
また、実際のしつけに入る前に必ず家族会議を開き、どの指示語を用いるのか決めておいてください。
何度も繰り返し行う
マスターするまでは兎に角おすわりだけを何度も繰り返し行ってください。
どんなしつけもそうですが、結局基礎基本を徹底的に反復する以外に上達への近道はありません。
何度も何度も飽きるほど繰り返し行ってこそやっと実践でも役立つものとなるのです。
野球の素振りだって何だって何度も繰り返し行うことで実践レベルへと昇華されるでしょう。
逆に一回覚えたからといって、それで油断していると上手く行かなくなります。
してはいけないNGのしつけ
逆に今度は犬の「おすわり」のしつけで絶対にしてはいけないことを紹介しましょう。
集中できない環境で行う
まず飼い主と愛犬が集中できない環境で行うのは絶対にしてはいけません。
オモチャや食べ物その他犬が注意を向けるものがあると集中力が散ります。
人間だって周りに色んなものが散らばったり余計なものが置いてあったりすると、思考が散るのです。
それと同じように犬も周囲の刺激で集中力を左右されるので、何もない環境がいいでしょう。
複数の号令を使う
複数の号令を用いてのしつけは犬に混乱を招くので絶対にしないでください。
犬は基本的に言葉の意味ではなく音声で理解しており、尚且つ誰の言うことを聞くのか決めています。
なので違う飼い主が違う号令を発すると犬は誰のどの号令を聞くべきか分かりません。
そうなると逆にしつけが阻害されて上手く行かなくなるので絶対に避けましょう。
基本的には一子相伝という形の徒弟制で教えるのが一番いいです。
ご褒美を習慣化する
ご褒美を与える際にオモチャやおやつは絶対に習慣化しないでください。
それが癖になると犬の目的がおすわりを覚えることではなくご褒美を貰うことになってしまいます。
そうなると、何の為にしつけを行っているのかすら分からなくなり本末転倒です。
褒める回数も最初の数回で留めておいて、後は基本褒めないようにしていきましょう。
若干突き放す位の距離感が犬と飼い主にとってはベストの関係です。
覚えさせたらそれでお終いにする
一度出来たからといって決して糠喜びせず、しっかり反復して定着させましょう。
人間の行っているものだって何度も何度も繰り返し行う内に練り鍛えられ改善されていくものです。
犬のしつけもこれと同じで、繰り返し鍛えて実践で使っていく内に技が洗練されていきます。
だからこそ覚えさせたら終わりではなく何度も何度も繰り返し覚えさせてください。
徹底した反復練習こそ一番の上達への近道なのです。
まとめ
「おすわり」は犬のしつけの中でも特にマストで覚えさせたいしつけです。
ブレーキの役割を果たしているのが兎に角犬にも飼い主にも大きいでしょう。
「待て」「ふせ」と並んで絶対に覚えさせておきたいしつけの筆頭です。
是非とも覚えさせて無用なトラブル・事故を防ぎ最高のペットライフにしてください。
おすわりが出来るとそれだけで格好いい真面目な犬という印象を与えられますよ。