前回の記事では盲導犬について細かく解説してきました。普段接する機会の少ない盲導犬ですが、どんな犬種が多いのかご存知でしょうか?
意外な犬種が盲導犬には選ばれているので、今回は盲導犬の真実について犬の種類から解説しています。
貴方の飼っている犬は果たして盲導犬の才能はあるでしょうか?
改めて、適した犬種、不向きな犬種を歴史と共に解説していきます。
盲導犬に適した犬種とは?
盲導犬に適した犬種の性格や特徴は大きく分けて3つあると言われています。
- 環境に適応する能力が高く、人と一緒に作業をするのを好む性格
- 人を引っ張る力が強く、それでいて周囲に恐怖感や威圧感を与えない犬種であること
- 繁殖しやすく、誰でも飼いやすいこと
こうしてみると盲導犬に不向きな犬種は闘犬・小型犬・愛玩犬・洋犬でも高価な希少犬種などがあげられます。
ペットに関しては人との相性面では性格が適したものですが、人を引っ張り公共交通機関で人と乗ったり人混みの中交通のある中を歩かせるには不向きといえます。
つまり、盲導犬に適した犬種は中型犬以上の大型犬に限るというのが一般的です。
日本に限って話すならば、活躍する盲導犬の種類は非常に限られます。
適した種類が少ないというより、一般的に多くのブリーダーは「大型犬は日本の一般家庭では不向き」と見る動きが強いためです。
中型犬以下のサイズが、一般のご家庭では飼うのに適した感じというのは、よくわかりますね。
ではその盲導犬に適した犬種をご紹介します。
ラブラドールレトリーバー
性格がおっとりして元は水中回収犬として活躍した使役犬だったので、とても人の指示に従順です。
その中でも、カラーはブラックではなくイエローのタイプは外見的にも非常に愛嬌のある顔つきと親しみやすいカラーで街に溶け込みやすいのが特徴でしょう。
寿命は12年~14年で盲導犬として活躍出来る期間も長いです。加えて被毛のお手入れが楽なので目の不自由な方も面倒を見る意味では非常に適した犬種ですよ。
ゴールデンレトリーバー
性格の特徴はラブラドールよりも好奇心が強く、育成訓練には向いている犬種です。
非常に明るく陽気な側面があり、日本では少ないですが海外では盲導犬に適した犬種として活躍しています。
警察犬には全く不向きですが、社交的でフレンドリーである為盲導犬ユーザーに寄り添える性格が大きいでしょう。
ジャーマンシェパード
第一次世界大戦の時に失明軍人が急増した時には、盲導犬として社会復帰に大きな役割を果たしました。
性格は忠誠心が強く知的なので訓練しやすい犬種であり、警察犬としてのみならず盲導犬としても実は優秀です。
ただし、海外ではそうでも見た目が精悍すぎて威圧感を与えるので日本国内の盲導犬の犬種としては今ではほとんど使われていません。
ダルメシアン
日本では盲導犬としては見かけませんが、世界ではダルメシアンは盲導犬として活躍しています。
猟犬・牧羊犬として活躍していた犬種なので、体力や持久力にとても優れた犬種です。
きちんと育てることが出来れば盲導犬ユーザーに愛情をもって接してくれます。
ドーベルマン
こちらもジャーマンシェパードと並び、警察犬と盲導犬の双方をこなせます。すらりとした体は全体的に筋肉質です。
とがった耳と短い尻尾がとてもシャープな印象を与える犬種であり、厳しい訓練にも耐えられるとても頭の良い犬です。
世界では盲導犬として活躍しているほかにも、軍用犬・警察犬・麻薬捜査犬・番犬として訓練されてそれぞれの場で活躍している犬種です。
スタンダード・プードル
毛が抜けない体質を持っているため、犬アレルギーユーザーに向いている犬種だといわれています。
ただし、毛がからみやすいので、トリミングやブラッシングといった手入れが欠かせません。
今では世界で盲導犬として活躍する小さめの犬種の盲導犬です。
日本では活躍の場が限られているゴールデンレトリーバー
尚ゴールデンレトリーバーに関しては何と日本だと活躍の場が限られており、極めて少ないそうです。
その原因として、一般家庭では一軒家だけではなく近年はマンションなども多いため、やはり被毛のお手入れの点でトリミングなど費用がかかるためです。
それが原因で犬の性格は適していますが、飼育面では不向きとする判断がよくあります。
最近ではラブラドールとゴールデンのミックスで”F1″と呼ばれる犬種は盲導犬に適した種類として日本でも採用されています。
盲導犬に不向きな犬とは?
では逆に盲導犬に不向きな犬とは一体どんな犬種を刺すのでしょうか?
盲導犬に不向きな犬種は簡単にいえば小型犬であり、被毛のお手入れや番犬のような性格を備えている犬種と言われます。
それでは以下具体的に述べていきましょう。
盲導犬に不向きな犬は和犬のほとんど
皆さんがよく知ってる犬種として柴犬、秋田犬、甲斐犬といった和犬はまず盲導犬には不向きです。
和犬は一様に野外で飼育され、番犬の役割が多かったので、盲導犬には不向きと考えてよいでしょう。
また、和犬は飼い主への忠誠心が強い一方で独立精神や警戒心も非常に強い種類の生き物です。
心強い犬種ではありますが「なんで俺がこんな障害者を助けなきゃいけないんだ」と内心思っています。
その癖の強さ故に和犬はまず盲導犬候補としてはNGです。
小型犬はすべて不向き
ここが警察犬との決定的な違いですが、「ミニチュア」とか「トイ」とかが名前に付く小型犬はまず盲導犬としては不向きです。
体格ももちろんですが、原種が狩猟犬から交配された事も多いので性格も不向きと判断されています。
体格が小さくても成犬の場合は大型犬の若い犬にも吠えたりしますから、訓練も大変ではないでしょうか。
また盲導犬は常に目の不自由な方の足元にいることになるため、小型犬では飼い主さんを体で押し戻して、交通事故などの危険を回避することができません。
ガイド役だと小柄なのが向いていると思われがちですが、盲導犬に関してはこの限りではないことを覚えておいてください。
スペックではなく性格が不向きな場合が非常に多い
盲導犬に適した犬種としてラブラドールレトリーバーとゴールデンレトリーバーがありますが、性格が盲導犬として合格でなければ盲導犬には不向きな犬となります。
盲導犬になれる犬種は子犬の時に一般公募で選ばれた「パピーウォーカー」と呼ばれる飼育専門のご家庭で、愛情たっぷりに寝食を共にして暮らした愛犬から選ばれるのです。
人の生活と人間に慣れた犬だけの中から、盲導犬訓練所で初期の訓練で性格と行動・癖を精査されます。
そこで不合格となるのがやはり盲導犬として不向きな注意散漫な性格やわがままな性格などその犬が持つ素養の問題となるのです。
この段階で盲導犬になることができる犬は10%未満だと言われており、盲導犬に適した、あるいは不向きなのは実は最終的にはその犬が持つ「性格」にあります。
つまり盲導犬に適した犬種というのはあくまでも最初の条件に合格しただけだということですね。
逆に言うと、障害者に寄り添うことの出来ない犬は失格だということでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回までで一通り盲導犬についての記事を書いてきましたが、こうして見ると警察犬に比べてマイナーな仕事と言えます。
元々障害者向けの仕事ですし、世間からは忌避されるか理解を余り得られない職業だと言えるでしょう。
しかし、どんな仕事にも役割があって存在しているわけであり、無駄な仕事は一つもないのです。
盲導犬はまだまだ誤解の多い仕事ではありますが、今後徐々に日の目を見て欲しいと切に願っています。