盲導犬訓練士の仕事を解説!資格や学歴、ドッグトレーナーとの違いは?

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犬のしつけ応用編

警察犬に続きまして、今度は盲導犬に関する記事を今回から3回に渡って解説していきます。

今回ご紹介するのは盲導犬訓練士であり、警察犬訓練士と似て非なる職業です。

警察犬とは違い、こちらは視覚障害者がご使用になる犬を訓練していきます。

仕事内容は勿論のこと資格や学歴、ドッグトレーナーとの違いも見ていきましょう。

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盲導犬訓練士のお仕事とは?

盲導犬訓練士とは文字通り視覚障害者が使用する犬を訓練するお仕事です。

盲導犬と視覚障害者の方に関わる業務には次のようなものがあります。

  • 視覚障害者と歩くための盲導犬の訓練
  • 盲導犬の世話
  • 犬舎の掃除
  • 視覚障害者と盲導犬に歩き方を指導
  • 盲導犬が引退するまで盲導犬ユーザーへのフォローアップ
  • 視覚障害者からの問い合わせ対応
  • 体験歩行会や説明会の実施

など、幅広い業務があり、警察犬訓練士に比べると業務の幅が多岐にわたるので、盲導犬を訓練するだけが訓練士の仕事ではありません。

盲導犬ユーザーは視覚障害者の方なので、障害者の心理学や科学など目の病気についての勉強も必要となります。

訓練では目に見える情報に頼らずに、言葉だけで伝わるような創意工夫をしながら、視覚障害者の方が盲導犬と一緒に安全に暮らせるようにサポートしていきます。

仕事の流れ

盲導犬訓練士の仕事は施設によっても異なりますが、朝番と夜番に分かれています。

朝番の職員は朝礼前の6:30頃から犬の食事と排泄の世話を行い、他のスタッフが出勤したら朝礼や申し送りで情報共有をして業務開始です。

午前中は盲導犬の訓練をし、昼休憩を挟んでからさらに訓練を再開するのが通例の流れでしょう。

訓練の合間に盲導犬ユーザーの視覚障害者の方やボランティアへの電話連絡や問い合わせ対応・報告書作成・訓練報告や繁殖の共有会議などを行います。

朝番スタッフは18:00頃業務終了となりますが、夜番スタッフはさらに残って20:00頃に犬のごはん、排泄、犬舎の清掃を行い仕事を終える形です。

とはいえ盲導犬訓練士には国家資格があるわけではなく、盲導犬育成団体で研修を受けた職員が審査を受けて認定された場合に「盲導犬訓練士」になることができます。

盲導犬訓練士の資格・難易度

盲導犬訓練士は警察犬訓練士とは違って民間の資格なので、必須の資格は国家・民間を問わず特にありません。

学歴も特別問われないですが、一応高校までは出ておいた方が宜しいかと思われます。

ただし、難易度は高く施設に入所し研修を受けた職員が必要な能力や素質があると判断された場合に「盲導犬訓練士」になれるのです。

「NPO法人全国盲導犬施設連合会」に加盟している8団体では資格審査員が審査をし、合格した人だけが「盲導犬訓練士」と認定されます。

しかし、難易度は物凄く高く日本全国にいる盲導犬訓練士は70名ほどしかいないのが現状です。

決して簡単になれるものではない狭き門であることが分かって頂けるでしょう。

盲導犬訓練士になるまでのプロセス

それでは盲導犬訓練士になるにはどうすればいいのか、そのプロセスを具体的に見ていきましょう。

盲導犬育成訓練施設の職員になる

まず第一段階として、全国に14ある盲導犬育成施設の職員になることが必須条件です。

学歴や性別は不問でどなたでも目指すことができますが、不定期採用かつ希望者も多いため入所自体が簡単なことではありません。

職員になるための条件は施設別で異なりますので、詳しくは団体に問い合わせるか公式サイトを確認してください。

知識と技術の習得

入所を済ませて次に待ち受けているのが知識と技術の習得であり、これが中々厳しいのです。

「犬の訓練技術及び犬に関する知識」「視覚障害および法律に関する知識」「視覚障害者の歩行に関する技術及び知識」「盲導犬の歩行指導に関する技術及び知識」など幅広い知識を身につける必要があります。

また知識だけではなく、訓練や指導技術を身につけながら過ごしていきますが、ここで多くの方が挫折すると言われています。

盲導犬訓練士か盲導犬歩行指導員か

養成期間は職種別で異なり、盲導犬訓練士になるまでが3年間盲導犬歩行指導員はその後2年間の養成期間を過ごします。

ここでは盲導犬訓練士なので3年はかかり、3年間は凄まじく厳しい修行の日々だと思ってください。

養成期間の総合判定で決まる

最終的に養成期間を人格や能力がふさわしいと判断された人だけが「盲導犬訓練士」や「盲導犬歩行指導員」として認定され、晴れて盲導犬訓練士となれます。

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しかし、上記したようにこの基準は相当高く、全国14もの施設がありながら70名しかなっている人がいないのがその厳しさを表わしているのです。

なので、一度入ったら落第して別の所で就職口を見つけるか、見事に突破して立派な盲導犬訓練士となるかで二極化することを覚悟してください。

事前準備として高卒か大卒

盲導犬訓練士になるための専門学校などはありませんが、専門的知識は必要なので高卒以上は必要かなと思われます。

大学や短大。専門学校に進む場合は「福祉学」「社会福祉学」「言語聴覚学」などを専攻するとよいでしょう。

視覚障害者の気持ちを理解するための知識が身につき、盲導犬訓練士として活躍する時の基礎知識として役立つはずです。

また施設の入所に有利になるかはわかりませんが、学校の長期休暇などを利用して施設でボランティアをすることもおすすめします。

犬舎の掃除などをしながら訓練士の働きぶりを間近に見ることができる貴重なチャンスといえるでしょう。

盲導犬訓練士に向いている人

犬が好き

まず盲導犬訓練士に向く人は大前提として「犬が好き」ということを忘れないでください。

根気強さ・忍耐力

一人前の盲導犬を育てるにはトレーニングに時間がかかるので、結果が出るまで根気よく取り組める人が向いているでしょう。

視覚障害者への思いやり

盲導犬ユーザーは視覚障害者なので、思いやりや愛情を持ち高いコミュニケーション能力で接する人が望ましいでしょう。

雑務が嫌いじゃない人

警察犬訓練士と違い講習会などその他トレーニング以外の雑務が多くなるので、それが嫌いではないという人であれば大丈夫でしょう。

盲導犬訓練士に向かない人

犬が嫌い

犬が嫌いな人、愛着が持てない人は盲導犬訓練士には向かないので、やめたほうがいいでしょう。

成果を早く出したい人

根気強く出来ず短期で成果を出したい人には向かない仕事なので一般就職をお勧めします。

障害者に対する偏見・差別のある人

障害者差別を平気で行うような人も絶対に向いていないので、今すぐ辞めてください。そんな人になられても迷惑なだけです。

雑務を嫌がる人

トレーニング以外の雑務も多くなるので、プライベートを重視する人にはこの仕事は向きません。

ドッグトレーナーと犬訓練士の違い

ドッグトレーナーと犬訓練士ですが、両者は全く似て非なるものです。

ドックトレーナーはいわゆるペットとして家庭で飼育される犬のしつけを行うのが主な目的です。

人と犬が一緒に生活するマナーを覚えさせ、飼い主のいうことを守れる事が主目的なので、そこまで厳しいしつけは必要ありません。

一方犬訓練士は命令に従わせ仕事を覚えさせるには適しており、盲導犬、介助犬、警察犬、麻薬探知犬などの「使役犬」と呼ばれる犬の訓練を主な目的とします。

使役犬は仕事をする必要があり、訓練士はマナーではなく犬への命令に対して行動が身につくまで練習させ、覚えさせるのです。

だからドッグトレーナーはどんな犬でも大丈夫ですが、盲導犬や警察犬などになれる犬種は限られていることを覚えておいてください。

年収・月収

盲導犬訓練士の場合は年功序列で、年齢が上がればそれによりお給料が上がる傾向になります。

  • 20代…16万円~17万円
  • 30代…20万円~24万円
  • 40代…25万円~30万円

これには理由があり、盲導犬訓練士は経験を積まなければわからないことが多いためです。

視覚障害者の人への理解力やその人それぞれの不便さなども考慮できるようにならなければなりません。

また、犬の扱いも経験を積んでその上で犬を立派な盲導犬へと育成できるようにならなければなりませんので、経験が物を言う仕事です。

そのため、基本的には年齢が上がるに連れてお給料が上がるシステムとなっています。

ただ、あんまり大きく稼げる仕事ではないので、副業と並行してやるのがいいのではないでしょうか。

それから警察犬訓練士と違って独立は許可されていないので、はっきり言ってニッチな仕事です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

盲導犬訓練士は狭き門ではありますが、年齢と経験年数により年収・月収が上がっていきます。

つまり一度団体や協会に入ればあとは経験を積んで働き続ければ、お給料を多くもらえるようになるということです。

視覚障害者の人々を助け人と犬を繋ぐ素晴らしいお仕事ですが、大きな稼ぎは期待しない方がいいでしょう。

それでもやっていける方のみ経験を積んで立派な盲導犬訓練士になってください。

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