2011年の東日本大震災を皮切りにしてこの5年ほど日本では毎年何かしらの異常気象や災害が発生しています。
熊本地震・西日本豪雨・過去最大級の台風・北海道地震・今年の九州豪雨等々…その中で愛犬が最も怖がるものがあるのです。
それが何かというと「雷」であり、特に雷が鳴り響く時は怖がったり、問題行動を起こしたりする犬もいるでしょう。
今回は犬が雷を恐れる理由とその対策について詳細に解説していきます。
犬が雷を恐れる理由
犬が雷を怖がるのは幾つかの理由がありますが、未だに解明されていない部分も多くあるので仮説の域を出ません。
しかし、過去の具体例などから幾つかの例を挙げられます。それが以下の通りです。
野生時代の名残
犬が野生で暮らしていたとき、大きな気象の変化は命に関わることでした。その名残から激しい雨や雷をともなうのが怖いということが挙げられます。
慣れない音・光
普段の生活では聞きなれない大きな音や、雷光による強い光に驚いているパターンであり、これが最有力の説です。
とくに犬は人よりも聴覚が優れているため、雷鳴がより強い音で響いているのかもしれません。
静電気の刺激
雷のもとは静電気なので、敏感な犬はこの静電気を感じ取って不快感を抱いている可能性があります。
毛がフサフサした犬に多く、その痺れるような衝撃こそが怖いのだとされているのです。
気圧の変化
気圧の変化で体調を崩す人がいますが、それは人間だけではなく犬も低気圧が苦手であると言われています。
特にてんかん発作の持病を持っている犬やハイシニア犬は気圧の変化によって体調が変化することもあるようです。
オゾン臭
雷によって発生するオゾンには独特のにおいがあり、人の何万倍も鼻が利くといわれている犬にとってこのオゾン臭が耐え難いという説です。
雷を怖がる犬は実際に多くパニックに陥った犬が散歩中に飼い主を振り切って逃げてしまったり家を飛び出したりしてしまうことがあったりします。
犬を落ち着かせるための対策
上記の原因のいずれかだったとしても、犬が怖がってしまうことにはかわりないので対策は取っておくのがベストです。
では現実的に飼い主に出来る対策はというと、大体以下が挙げられます。
安心できる場所をつくる
犬が恐怖を感じている時は犬自身が安心できるよう自由に逃げ込める環境を作っあげましょう。
ベッドの隙間や普段から使っているケージにブランケットをかけておくなど工夫してあげると犬も安心して身を隠すことができます。
ただ、雷が鳴って犬がケージをなどに逃げ込んだ時はケージの扉を閉めずにいつでも移動できるようにしておいてください。
扉を閉められ行動が制限されてしまうと、パニックが増してしまう恐れがあります。
飼い主は冷静沈着でいる
犬は飼い主の様子をしっかり見ているので、ここで飼い主さんが雷に怖がっていると余計に犬の雷に対する恐怖心をあおってしまいます。
しかし安心させようと必死に抱っこしたり、かまったりするのも「いつもと違う!」と思わせてしまうようです。
飼い主さんはなるべく平然とし、優しく声をかけるようにしてあげてください。
サンダーシャツやストームディフェンダーケープ
雷の発生による静電気の不快感が強い場合、体に溜まった静電気を放電するために水場に逃げたがる犬もます。
なので犬用に開発されたストームディフェンダーケープを使うと、静電気の不快感を軽減してくれるのです。
またサンダーシャツというものもあり、これは犬の行動学に基づいて設計されたもので、犬の体に適度な圧力をかけることで安心感を持たせるのだそうです。
不安解消に効果的なため、雷だけではなくドライブや分離不安症状の対策にも役立ちます。
防音対策を行う
一番現実的に出来る対策としては防音対策を完璧にしておくことではないでしょうか。
雷の何が怖いかというとやはり音にあるので、防音対策を完璧な家に設計しておくと大丈夫です。
近年では本当に外に音が漏れない防音シートやルームなどの建築設計も出来るようになっています。
初期投資はかなりかかりますが、外の音が一切聞こえないようにすることが雷の恐怖から愛犬を守る最高の方法です。
雷雨の日は普段よりも迷子の犬が増える
考えておくべきは犬が恐怖心のあまり嘔吐や痙攣、失神といったひどい身体な異変が出た場合です。
このような場合は放置せず、早急にかかりつけの動物病院に連れていってください。
また恐怖行動がエスカレートした結果極度のパニック状態に陥ってしまう犬もいます。
こうなると飼い主の言葉やジェスチャーでは制御ができず、犬はパニックになって家を飛び出してしまう場合もあるのです。
実際、雷雨の日は普段よりも迷子の犬が増えるという報告もあり、豪雨の日は予め犬が外に出られないよう玄関や窓は全部閉めておきましょう。
雷恐怖症の場合はドッグトレーナー・獣医に相談を
雷に対する恐怖行動があまりにもひどいようなら「雷恐怖症」の可能性があると見ていいでしょう。
恐怖心の緩和をめざして、獣医行動診療科認定医がいる動物病院に相談するのもひとつの方法です。
カウンセリングを通じて原因を突き止めた後、認定医の指導のもと日常生活の見直しやトレーニングを行って下さい。
ときにはサプリメントなども使用しながら、恐怖心に負けない心を育んでいくようにすることが大事です。
何事においてもネガティブシミュレーションは大事ですので、最悪の場合を想定して事前に手は打っておきましょう。
まとめ
雷は局地的な雷雨や台風が発生しやすい8月~9月に多いというデータがあります。
まだ雷を見たことがない子犬の場合雷が起きたときにどんな反応を示すかが分かりません。
なので上記した理由を対策を頭に叩き込んで、事前の対策を行ってください。
そして何より飼い主自身が決して不安にならず冷静沈着さを保つことです。
それが愛犬にとっても飼い主にとっても最良の方法であることを忘れないようにしましょう。