柴犬といえば日本原産の愛犬として親しまれている中型犬の代表格です。
小型犬のチワワ、大型犬のゴールデンレトリバーと並ぶ大人気種ではないでしょうか。
よく「飼い主に忠実」とか「人懐っこい」と言われることもある柴犬ですが、実態は分かりません。
そこで今回は柴犬の性格・特徴をじっくり解説していきます。
柴犬の性格と特徴
柴犬の外見的特徴
理想とされる柴犬の特徴は、保存会によって多少の違いがあります。顕著なのは顔の形です。
ストップと呼ばれる頭から鼻の付け根の骨格が深くて鼻の短いのは「たぬき顔」、その反対でストップが浅く鼻が長い顔つきは「きつね顔」と呼ばれます。
現在主流の柴犬には「たぬき顔」の方が多く見られ、サイズ・大きさはオスが体高38~41cmの体重9~11kg、メスが体高35~38cmの体重7~9kgです。
分類では小型犬ですが、限りなく中型犬に近いサイズであり、中型犬と分類する所も多いです。
理想とされる標準よりも大きく成長することも多くあるので、実質中型犬ではないでしょうか。
柴犬の性格
武士道精神
一語にまとめると、柴犬の性格は「武士道精神」に尽きます。主従関係を特に意識しているのが柴犬の特徴でしょう。
「ONE PIECE」で言うところのロロノア・ゾロ、歴史上の人物で言うなら土方歳三だと思って下さい。
兎に角「飼い主を立てる」ことを強く意識しており、飼い主の言うことは徹底的に遵守します。
それだけ自尊心が高く、自分が惚れ込んだ飼い主以外の人は認めない性格です。
だから、世間で言われている「親しみやすい」というイメージとは正反対の犬でしょう。
内面は非常に繊細
そうした武士道精神に満ち溢れているので、攻撃的な行動に出ることも多く非常に豪胆でワイルドな性格だと思われがちです。
しかし実は内面は非常に繊細で、滅多に人のことを懐に入れません。攻撃的行動は恐怖心の裏返しだったりします。
飼い主にはとことん甘い反面飼い主以外の人にはとことんまで排他的で厳しいので近寄りがたいオーラがあるのです。
フィジカルコンタクトが苦手
社交的で人懐っこいと言われる犬の中でも非常に珍しい柴犬の性格はフィジカルコンタクトが苦手だということです。
ゴールデンレトリーバーなら飼い主の膝に乗って喜ぶところですが、柴犬は足先にあごを乗せる程度で満足してしまいます。
しつこく撫でられたり束縛されたりするのを嫌い、爪きりなどのケアも苦手としているのも特徴でしょう。
犬は社交的で親しみやすいなどというイメージで近づくと痛い目に遭わされることも少なくありません。
環境の変化に弱い
部屋に知らないものが置かれていたり、新しいオヤツが導入されたりすると好奇心よりも警戒心が先に立ちます。
知らない人を受け入れなかったり、慣れない環境下では普段できることができなくなったりするのです。
なので引っ越しをする場合は特に注意してしつけて下さい、環境に慣れるまでは中々言うことを聞きません。
犬同士の輪に交わらない
ヨーロッパらしい騎士道精神の持ち主であるゴールデンレトリバーとの最大の違いは何よりもここにあります。
ゴールデンレトリバーは社交的な性格故犬同士の輪の中心にいて、積極的に他の犬と交流する馴染みやすい性格です。
一方柴犬は基本飼い主以外には懐かないので犬同士の輪には決して交わらず、コミュニティに属しても群れません。
基本少数精鋭で動くことを是としているので、どちらかといえば1人の時間を好み大切にします。
オスとメスの性格の違い
柴犬のオスは攻撃的でけんかっ早く、縄張り意識・警戒心が強いという傾向があります。
そのため、知らない人から食べ物を差し出されても簡単に受け入れません。
メスはオスに比べて性格的におとなしいので、ペット初心者であればメスを選んだ方が飼いやすいかもしれません。
しかしメスはメスで自立心が強く頑固な性格で「性格が悪い」「キツイ」と言われるのはメスの方でしょう。
柴犬の歴史
柴犬の祖先は縄文時代からずっと人と生活を共にしてきましたので、改めて特筆する歴史も然程ありませんが説明しておきましょう。
近代は市街地では家庭犬、山間部では小動物を狩る猟犬として働いていました。
しかし明治から大正にかけてイギリスから狩猟用に輸入された洋犬が流行となって交雑化が始まり、昭和のはじめには純粋な日本犬は僅かとなったのです
これを危惧した人たちから日本犬を絶滅から守ろうとする動きが始まって1928年に日本犬保存会が発足、36年に柴犬は国の天然記念物に指定されています。
第二次世界大戦中には食糧難や毛皮として召し出されるなどして保護もままならず、戦後にはジステンバーの大流行で種そのものの存続すら危うくなりました。
長年にわたる地道な計画繁殖の結果、犬種の標準値も安定し現在よく見る姿の柴犬へと発展したのです。
しつけ上の注意点
過剰なフィジカルコンタクトはNG
ベタベタしたいタイプが多い洋犬とは違い、柴犬は飼い主をしっかり立てつつも一定の距離感を置きます。
故に過剰なフィジカルコンタクトやずっと一緒にいるなどということは苦痛でしかありません。
社会化期から日常的に触れ合って慣らすことで受け入れてくれるようになるケースもありますが基本稀です。
柴犬から近づいてきたときは別として、余程靡いているとかでない限りは過剰な接触は控えましょう。
見知らぬ人や犬に近づけない
柴犬は人見知りが激しく容易に他者を自身の懐に入れないので、なるべく他者との触れ合いは避けましょう。
環境の変化に弱く、初対面の人には攻撃的な面を出して噛みつくので注意が必要です。
人と対面ですれ違ったりするとその人に噛みつくこともあるので、散歩する時に人とすれ違わないようにしてください。
一人の時間を尊重してあげる
柴犬は基本的に自分から飼い主へ近づくことは飯や遊びの時などを除いて余りありません。
社交的な性格に育ったとしても老犬期に入ると基本だんまりなことが多くなります。
そういう時むやみやたらに話しかけるのではなく、一人の時間を尊重してあげてください。
適度に放っておく位が柴犬は心地よい距離感であり、ややドライな関係性がベストです。
食事は基本的に同じものを
柴犬は犬種の中でも基本的に同じドッグフードを好み違うものは避ける傾向にあります。
なので、最初のドッグフード選びはかなり重要となり、ここで与えるフードを間違えてしまうと大失敗です。
新しいオヤツは与えるタイミングや環境を変えながら繰り返し与えることが必要でしょう。
新しいオモチャは柴犬の目のつくところに置いておき、しっかり受け入れ態勢を整えて下さい。
遊ぶ時は回数を小分けにする
柴犬がまだ子犬の頃は1日20分程度の散歩を体力に合わせ回数を分けて行いましょう。
体力がついてくると短い散歩では満足してくれないので、成長に合わせて少しずつ距離と時間を伸ばしてください。
目安として体重が10kgであれば、散歩の距離は10km、時間は1日に合計1時間程度が理想で、1回30分の散歩を2回に分けるといいでしょう。
柴犬がかかりやすい病気
柴犬は強いイメージがありますが、かかりやすい病気がいくつかあることも知られています。
一つ目が皮膚病、特にアレルギー性皮膚炎などを発症する柴犬が少なくありません。
鼻の先、足先などを痒がって掻いたりなめたりしているのを見つけたら、早期に獣医師に相談してください。
また、膝蓋骨脱臼(パテラ)にかかる柴犬も多く、簡単に言えば膝のお皿がはずれてしまう病気です。
片脚を少し上げながら跳ねるように歩いたり、膝蓋骨が脱臼した瞬間に「キャン」などと悲鳴をあげて痛がったり。
放置しておくと、筋肉や骨の発育に悪影響をおよぼし、悪化して痛みが継続する危険性があります。
生後半年以降、触診やレントゲンなどで膝の状態をこまめにチェックしてもらい早期発見に努めましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
柴犬は表面上のイメージとは正反対にプライドが高く、傷つきやすい繊細な内面を持つ犬です。
日本的な武士道精神に満ち溢れているので、余り初心者向きの犬とは言えません。
飼うなら徹底的にじっくり向き合い、尚且つ適度な距離感を取って付き合うことが大事です。
初期のしつけさえきちんと行えば確実にしっかり者の味方になってくれます。
是非しっかりしつけて格好いい愛犬へと育てて下さい。