今回の記事は久々に基本中の基本であるしつけ・トレーニングに戻ります。
前回までで犬を飼う際に大切な心構えや覚悟・経済力などを説いてまいりました。
そのハードルをクリアしたら今度は犬をどのようにしつけ育てるのか?です。
頭では分かっていてもいざ実践するとなると割と難しいという方も多いのではないでしょうか。
今回はコロナ禍の中でも飼い主になりたいという方のために最適なトレーニング法を紹介します。
今日ここにあることをしっかりマスターし実行すれば1日で素敵な飼い主になれるかもしれません。
飼い主自身が気をつけるべきこと
まず本格的なトレーニング法を教える前に飼い主自身が気をつけるべきことがございます。
ここではまずそれを2点ほど解説いたしますので是非参考にしてください。
飼い主が全てを教えなければならない
最初に気をつけるべきことは飼い主が全てを教え仕込まなければならないということです。
人間と違い犬には小学校のような義務教育施設がなく、飼い主が全てを教えなければなりません。
そのため、飼い主さんやそのご家族が犬に生きるためのイロハを教えてあげる必要が出てきます。
要するに飼い主が「親」であると同時に「先生」でもあるというわけです。
私たち人間は、多くの人から「トレーニング(教育)」を受けて立派な大人に成長します。
犬も同じであり、社会で生きていくためのルールを根幹から教えなければなりません。
この覚悟と決意をしっかり持たなければならないことを忘れないでください。
飼い主になるための基礎訓練が必要
そしてこれが最も大切なことですが、飼い主もまた飼い主になるための基礎訓練が必要です。
例えば保育士や小学校教師は短大・大学で基礎基本を学び教育実習に行きますよね?
教育課程をクリアし教員試験に合格して初めて学校の先生になることができるのです。
ところが犬の場合、飼い主はそのような飼い主になるための資格取得が必要ありません。
しつけ教室などはありますが、行かなくても飼い主になることが出来てしまうのです。
本当に立派な飼い主になろうと思ったらまず飼い主になる為の努力が欠かせないでしょう。
そこをクリアして初めて飼い主になる為の資格を手にすることが出来るのではないでしょうか。
素敵な飼い主になる為の3つのステップ
まずは素敵な飼い主になる為の3つのステップを紹介します。
今回はブリーダーからの紹介で犬を飼うという前提です。
犬を飼う前にまず用意しておくべき大切なものを参考にしてください。
ブリーダーからノウハウを聞いておこう
まずブリーダーからノウハウをきちんと聞いて吸収しておいてください。
しつけ教室に行くのは犬を飼うと決めた後でも大丈夫ですからまずブリーダーです。
ブリーダーは飼い主の人間性を総合的に見てこの犬を譲渡してもいいかどうかを決めます。
その為粗相がないよう丁寧な対応を行い、犬を勧めてもらえるようにしましょう。
大事なことはしつけのことや犬のことで気になることを積極的に聞くことです。
素晴らしい飼い主になりたいと思うのであれば受け身ではなく能動的に聞いてください。
ブリーダーも積極的に興味を持って聞いてくれる人には色んなことを教えてくれます。
しつけ教室よりも実践的なノウハウを得ることもできるため、勉強するには最適です。
動物病院でしつけ教室を推薦してもらう
犬を飼うと決まったら次は最寄りの動物病院に行きしつけ教室を推薦してもらってください。
特に最初のうちはパピークラスという理想的な環境がオススメです。
もしご家族がいらっしゃる場合は全員で参加できるような環境のしつけ教室がいいでしょう。
学ぶべきなのは体系的なしつけの基礎・基本であり、ここを蔑ろにしないことです。
上記のブリーダーから教わることはあくまで応用的なしつけの話や知識になります。
そしてそれらの知識はあくまでもしつけ教室で学ぶ基礎基本の上にこそ成立するものです。
だからこそ全員でしっかり基礎基本を学んだ上しつけを行うとよりスムーズに進むでしょう。
トレーニングのスケジュールをしっかり組む
そしてしつけ教室が終わったら早速トレーニングのスケジュールを組んでみてください。
大事なことは飼い主が仕事で忙しかったとしても面倒を見る人を作っておくことです。
そしてしつけ・トレーニングを行う時のルールなども統一しておきましょう。
また子供と犬が遊ぶときには怪我に発展しないよう親がきちんと見張っておくことが大事です。
ここで親が少しでも目を離すと中型犬・大型犬だった場合に怪我をしかねません。
事前にしっかり準備を行うことによってロスを最小限に防ぐことが出来ます。
初期トレーニングで教えるべきこと
それでは飼い主は初期トレーニングで何を犬に教えたらいいのでしょうか?
ここでは初期トレーニングで教えるべき基本的な項目を紹介します。
尚「トイレトレーニング」に関しては既に初期の記事で書いているのでそちらをご覧ください。
基本は「コイ」「スワレ」「マテ」「フセ」の4つ
まず絶対にマストで覚えさせないといけないのは「コイ」「スワレ」「マテ」「フセ」の4つです。
この4つを教えることで何を身につけさせるのかというと「我慢」「自制心」「根気」になります。
子育てでいえば、最初に箸の持ち方や食事の仕方・挨拶などを徹底して教え込みますよね?
それによって子供は人間的な基礎基本をしっかり学ぶことができるのではないでしょうか。
犬のトレーニングもそれと同じであり、元々は狼としての本能を遺伝子として強く持つ動物です。
それを野放しにしておいたら突然人に吠えたり噛みついたりする存在として迷惑がかかります。
そうならないよう人間社会の中でも生きていける社会性の基礎をこの段階で教えるのです。
1つ1つのしつけにはきちんと意味があってそこに存在していることを肝に銘じてください。
散歩前の「歩く」トレーニング
散歩前にまず「歩く」トレーニングを徹底することを心がけましょう。
犬が飼い主の横で大人しく歩いてくれれば、外出は楽しくなります。
まず最初のうちはレッスンを短時間で切り上げる努力をしてください。
数歩だけ前に進むとか数秒だけ歩かせるとかいったところから始めましょう。
大事なことはいきなり長い距離を歩かせようとせず、少しずつ歩かせることです。
リード付きで少しずつ歩かせて、慣れたら徐々に距離と時間を長くしていきます。
そうすることで大人しく散歩をしてくれる犬へと成長するのではないでしょうか。
トラブルシューティング
これまでの記事で紹介してきましたが、犬だって決して完璧な存在ではありません。
無駄吠えや噛み癖はもちろんつまみ食いやコンセントの破壊、床や壁の引っかきがあります。
動物ですから、時として破壊衝動を抑えられない時だってあるのです。
しかしだからといってそれを許していてはそれこそ飼育放棄の原因にもなりかねません。
犬が噛みつきそうなものやトラブルの原因となり得る要素は全て避けるようにしてください。
そのように動いていくことでトラブルを回避することができるのではないでしょうか。
万が一犬が問題行動を起こしてしまった場合も決して感情的になってはいけません。
常に感情はニュートラルな状態にして、根気強く冷静沈着に教えることが大切です。
飼い主がトレーニングに際してチェックすべきこと
現在のあなたと愛犬を想像して、何が出来ているのかチェックしてみましょう。
以下列挙してみます。
犬の体をどこでも触れるか?
大前提として、犬の体中のどこでも触れるかどうかをしっかり確かめてください。
リードの付け外し・足ふき・ナデナデなど日常のあらゆる瞬間で飼い主の手を使います。
また飼い主だけではなく他の人が触れて大丈夫なのかどうかもきちんと調べましょう。
医療行為や健康管理のためには他の人の手に触られることも必要になってきます。
触られることが好きになるように、トレーニングを行ってください。
ペットを飼うということはその動物との触れ合いができなければ意味がありません。
この触れ合いの精神を大切に出来る人こそが真の飼い主への第一歩ではないでしょうか。
愛犬の好き嫌いや性格などは把握しているか?
2つ目に飼い主自身がきちんと愛犬の好き嫌いや性格などを把握しているかどうかです。
自信がないという方はブリーダーや獣医・トレーナーなどに見てもらいましょう。
専門家のプロファイリングなどによって犬のことを知るのは大事です。
ここを怠ってしまうと決して飼い主が思う通りのいい犬に育つことはありません。
このプロファイリングを徹底すればこそ、飼い主の思う良質な犬に育ちます。
また病気のサインなどはしっかり見抜くように気をつけてください。
子育てと同じであり、わずかなサインを見抜けるかどうかもまた大切です。
しつけを焦っていないか?
そしてこれが最も大切ですが、しつけを焦っていないでしょうか?
飼い主としてはその犬に何とか育って欲しいと思ってはいるはずです。
だから最初のうちは言うことを聞かない犬に焦ることもあるのではないでしょうか。
しかし、ここで焦って犬に怒鳴り散らしたり暴力を振るったりしてはいけません。
人間の子供だって小さい頃に暴力を振るわれたら一生心の傷として残りますよね?
犬もそれと同じであり、飼い主から向けられた敵意や暴力は絶対忘れません。
だからこそ何があっても手を上げたり怒鳴ったりしてはいけないのです。
常に愛情と思いやりの心を忘れずに愛犬と接するようにしてください。
しつけが上手くいかない原因は飼い主にある
犬のしつけ・トレーニングは昔に比べてはるかに難しいものになっています。
コロナ禍もあり部屋から出られない生活が続いていることも大きく影響しているでしょう。
しかし1番はやはり近所迷惑を考慮して室内飼いが増えていることが原因です。
だからこそ今から犬を飼う人はハードルが高いことに挑戦するものだと思ってください。
その中でもし上手くいかないことがあるならば、その原因は犬ではなく飼い主にあります。
勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなしとはよく言ったものです。
物事がうまくいかないときは大体どこかしらに原因があるからです。
そんな時は、ドッグトレーナーや獣医・ブリーダーなどのドッグプロに相談しましょう。
1人で悩まずにしっかり話し合って決めるということが大切です。
犬のしつけに王道なし
いかがでしたか?
「1日であなたも素敵な飼い主に」とありますが、真の飼い主への道のりはそう簡単ではありません。
学問に王道なしと言う言葉があるように、犬のしつけにもまた王道と呼べるものはないのです。
だからこそ常に手探りで犬や専門家たちと共に歩む姿勢を忘れてはなりません。
人間関係も愛犬と飼い主の信頼関係も全く同じことが言えるのではないでしょうか。
大切なのは毎日の積み重ねであり、愛犬にとって嫌なことを無理強いしないでください。
そんなストレスフルな日々であれば、愛犬との信頼関係は壊れていってしまうでしょう。
大事なことはそこで決して尻込みせずに果敢に物事を教えて攻めることです。
素敵なトレーニングを行える飼い主になるための手助けになってくれればこれほど嬉しいことはありません。