先日、こちらの記事でコロナ禍に伴いペットブームと飼育放棄が起こっている記事を書きました。
こうした現実を目の当たりにして、改めて犬のいる暮らしを実現する為に必要なことを考えましょう。
2021年からは「風の時代」と言われるようになり、世界はコロナウイルスを境に大きく変化しています。
働き方や食生活、さらには人々の意識までまさに200年に1度と言うべき変革が起こっているのです。
そうなると、当然人間とペットの関係も大きく変化していくのではないでしょうか。
今この時だからこそ改めて犬との暮らしの現状とこれからに向けた分析・予測を立ててみる必要があります。
これから犬を飼おうとか飼い主になりたいとかいう考えの方は是非ご覧ください。
犬との暮らしが上手く行かない理由
まず犬との暮らしを考えるには現在起こっている飼育放棄の問題と向き合う必要があります。
犬との暮らしを成功へ導きたいのであれば失敗要素を学ぶのが最短ルートです。
ここではその理由について総まとめも兼ねて述べましょう。
十分に育てられる経済力がない
拙ブログでは何度も主張していることですが、1番大きな理由は経済力です。
犬1頭を育てるのにかかる生涯費用はどんなに安くても200万程度はかかります。
希少種や良血統の犬は購入費だけでも50万以上するのです。
更にそこから月々の食費に医療費・ペット用品など月々最低3〜5万はかかります。
だから最初のうちは余裕があっても長期目線で見た時に月の維持費を出せなくなるのです。
ましてや今コロナで多く業界が深刻な人手不足に陥り、コロナ失業もあるとなれば尚更でしょう。
ペット育成の知識と心構えが不足している
2つ目にペット育成の知識と心構えが不足していることにあります。
コロナ禍で発生したペットブームに便乗して飼い、そのまま飼育放棄した人はこれが原因です。
そう、日本では特にこのペットを飼う際の心構えを教えてくれるところがありません。
もちろんしつけ教室やブリーダーなどきちんと心構えやテクニックを教えてくれるところはあります。
しかし、残念ながら義務教育ではなく任意によるものなので教わらなくても飼えてしまうのです。
このような飼い主としての心構えの教育が義務化されていないこともまた大きな問題でしょう。
「誰でも始められる」ことがかえって悪い方向に出ているのがペット産業の現実です。
プライベートを犬に費やすことになる
そして3つ目に飼い主のプライベートに費やす時間のほとんどが犬だからです。
少なくともひとり暮らしの場合は空いた時間の多くを犬に費やすことになります。
家族と同居しているのであれば留守番でも他の人が面倒を見てくれるでしょう。
ひとり暮らしだと愛犬をきちんとしつけられるのが飼い主しかいないという状況なのです。
そうなると、最初は犬と一緒でも長い時間経つとそれが重荷に感じられるようになります。
もっと犬以外のことに時間を使えるようにしたいという思いがどうしても芽生えるのです。
お金は稼げば無限に手に入りますが、心構えや時間は有限ですから無駄遣いはしたくないでしょう。
そういう思いが生じた時にどうしても犬を捨ててしまうことが増えるのではないでしょうか。
犬との暮らしを実現する為に必要なこと
こうして見ると、犬との暮らしは決して簡単ではない現実があることを思い知らされます。
しかし、現状を分析し失敗要因を突き止めればそこからの改善案もまた浮かぶでしょう。
ここでは犬との暮らしを実現するのにはどうすればいいのかを解説します。
十分な軍資金を確保しておく
まずは犬を飼育するために必要な軍資金を十分に確保しておく必要があります。
犬であれば500万程度あれば大丈夫ですが、念のため1000万程度はあるといいでしょう。
それが無理だという方はどうぞ悪いことは言いませんから、飼うのは諦めてください。
何でも欲しいものを手にするのにはそれ相応の対価が必要になります。
犬だって決して安い存在ではなくその命は500万円でも足りない位です。
犬のためにお金を投資して育てようという気がない人が飼うべきではありません。
厳しいようですが世の中何でもやろうと思ったらお金はかかるものです。
良質のブリーダーに師事する
飼い主として必要な知識・心構えを学ぶ為ブリーダーに師事してください。
しつけ教室でも基本は教えてくれますが、ブリーダーの方がより良質の教育を受けられます。
ブリーダーは実際に自分で犬種を育てていますから、知識や心構えが具体的かつ新鮮です。
しつけ教室で教わるのはあくまで一般化された2次情報ですから鮮度はやや薄いでしょう。
ブリーダーは学校で言う先生、ビジネスの世界におけるメンターのような存在です。
その人からしっかり考え方から飼う時のコツまで全てを吸収してください。
買い始めた後も良き相談相手・アドバイザーとなってくれますのでどんどん頼りましょう。
何故その犬を飼うのかを根拠づけする
そしてこれが最も大切ですが、何故その犬を飼うのかを自分の中で根拠づけしてください。
多くの飼い主が失敗してしまうのはこの「何故?」の部分まで突き詰めて考えないからです。
奥の奥まで深く深く考えて飼うからそ意味のある良質なペットライフになります。
ペットは本来人間の生活にいなくてもいいどころかいない方が良いものです。
ペットライフを仕事にする場合を除けばペットは基本損失の方が大きいでしょう。
そこに投資することで自分の生活がどう変わるかを言語化してください。
そうして自分の中で明確な答えが出せた時に初めて犬を飼う理由が分かるのではないでしょうか。
犬選びの基準
上記の3ステップを踏まえて、それでは具体的な犬選びの基準について解説しましょう。
子犬か成犬か
まず最初に子犬を飼うのか成犬を飼うのかをしっかり決めておいてください。
子犬の場合は飼い主の言うことを素直に聞いて育つので問題行動は少ないでしょう。
しかし、子犬期はなかなか躾が上手くいかず夜中に鳴き出すことが何度もあります。
対して成犬の場合は躾が殆ど完了し飼い主の言うことを素直に聞くよう出来ているのです。
必要な維持費が支払済みの場合も多いですが、大体は前の飼い主の手垢がついています。
その為飼い主の性格や言動が気に入らない場合言うことを聞かない成犬もいるでしょう。
双方にメリット・デメリットがありますのでしっかり比較・検討の上で決めてください。
小型・中型・大型
次に小型・中型・大型のなかでどの犬種を飼うのかを決めましょう。
ひとり暮らしや室内飼いをするのであれば小型犬がおすすめであり、コスパもそんなにかかりません。
対して中型犬・大型犬は家族ぐるみで一軒家の広さがなければ飼うのは難しいでしょう。
また犬の大きさに応じて与える食事量やペット用品のサイズも大きく異なります。
コスパの良さで言えば断然小型犬ですが、大型犬は番犬として飼い主の留守を守ってくれるでしょう。
放し飼いにして置いておくだけで侵入者を撃退することもできます。
どの大きさの犬種を飼うかによって育て方もお金のかけ方も変わるので注意してください。
純血種かミックス犬か
そして3つ目に純血種かミックス犬にするかという問題が発生します。
純血種の場合購入費こそかかりますが、最終的な体格と性格が分かりやすく育てやすいのが長所です。
しかし特定の遺伝性疾患のリスクも高まるのが短所であり、こちらは注意してください。
ミックス犬は雑種強勢という大きな利点があり、純血種よりスペックの高い子犬が生まれます。
人間で言えば日本人と外国人のハーフみたいなものだと思っていただければ分かるでしょう。
欠点は成犬になったときの大きさや性格がどうなるのか予測がつけにくいことです。
その為ミックス犬を飼う時は成犬ではなく子犬からしっかり育てることをお勧めします。
ブリーダー選びの基準
どの犬を選ぶか決まったら、次はブリーダーを選ぶ時の基準を紹介します。
基本的な5つの基準
ブリーダー選びはビジネスで言うならメンターへの弟子入り・自己投資です。
その為きちんと良質なブリーダーかどうかを見極めて購入してください。
まずブリーダーを選ぶ際には次の5つのポイントを重視しましょう。
-
- 実績(きちんと飼い主としての実績を出すことが出来ているか)
- 実力(しつけやトレーニングに関して独自のノウハウをお持ちの方か)
- 経歴(他の飼い主からの信頼・人望が厚いか)
- 性格(ペットライフの長所と短所を両方教えてくれる人か)
- 相性(ブリーダーの考えや教えが自分の望むものと一致するか)
これらの5つの基準を総合評価してブリーダーへの師事を決めましょう。
ブリーダーは大きく分けると職人タイプと商人タイプの2種類居ますが、職人タイプがベストです。
きちんと愛情を持って1頭1頭への面倒を見ているかどうかを見極めてください。
悪質なブリーダーには要注意
ブリーダーの中には広告やキャッチコピーを出して「犬譲ります」と宣伝する者も居ます。
これが上記した商人タイプのブリーダーであり、注意してください。
商人タイプのブリーダーはポジショントークや売上を出すことが目的化した人たちです。
すなわち雌犬を子犬製造機としか思わず、子犬を売ること以外に興味がありません。
そういうブリーダーに限って外面はニコニコしているので、騙されないようにしましょう。
本当に良質のブリーダーであればそのようなことをせずとも固定の顧客がいます。
世の中にはこの手の悪質なブリーダーが沢山いますので引っかからないようにしてください。
保護センターにも注意
ブリーダーに会えなくて保護センターの里親制度に行く人もいるかもしれません。
悪質なブリーダーよりはマシですが、保護センターには良質な子犬が居ないのが現実です。
いわゆる孤児院などと同じで前の飼い主に捨てられたことから心に傷を負っています。
そのため飼おうとしてもなかなか懐かなくて警戒されることも少なからずあるのです。
そういう子犬の場合きちんとした里親かどうか何度も通って検討してください。
そこで上手いこと結果が出なければ縁がなかったと思って諦めましょう。
風の時代における犬との共存
ここまで解説してきたことを踏まえて、これからの犬との付き合い方を考えましょう。
風の時代と呼ばれる先が見えない未来の中でのようなことを意識すればいいのでしょうか?
「所有」ではなく「共生」の感覚を持つ
まず愛犬を「所有」ではなく「共生」の生き物として丁寧に扱ってください。
犬は人間にとって都合のいいしもべではなくあくまで対等な存在です。
これまでは地の時代と呼ばれ、飼い主と犬の関係は完全あ主従によるものでした。
このベースがこれからきっと崩れていきより対等に近い存在になるのではないでしょうか。
逆にいえば「所有」という感覚を手放すことで犬への執着・独占欲も無くなります。
完璧な飼い主である必要はなく、犬とともに成長していくと肯定的に捉えましょう。
他の飼い主や動物とのシェアリング
これは以前のコロナ禍の記事でも書きましたが、他の飼い主や動物とシェアリングしましょう。
犬はとても優しく人懐っこい動物ですが、反面警戒心が強いという一面もありました。
しかしそれは地の時代という「所有」が大きな意味を持つ上意下達のピラミッド社会が影響しています。
そのピラミッドや既存の権威はどんどん崩れて、これから新しい価値観が出てくるでしょう。
そしてそれは人間と犬の関係も同じであり、犬の警戒心やテリトリーも少しずつなくなると予測されます。
犬の歴史は常に人間社会とともに発展してきたわけであり、ペットも人間社会の中で生まれたものです。
ならばこれから新しくなっていくのではないでしょうか。
インターネットでの情報発信
そしてこれが最も大切ですが、個人の体験談で得た犬の飼育情報はどんどん発信していきましょう。
ペット産業はまだまだ絶対的なサンプル数の少ないニッチな産業ですが、着実に伸びて居ます。
今後ますます個人の物語が価値を持つ時代であり、犬との暮らしも1つの大きな資産となるのです。
YouTuberのようなインフルエンサーはもちろんブログなどの情報発信もどんどん行ってください。
ネット社会が本格化してきた昨今ペット産業の需要は大きく伸びてくるのではないでしょうか。
上意下達から横並びの関係へ
このように見ていくと上意下達から横並びの関係性になることが今後予測されます。
主従関係ではなく「寄り添うパートナー」として共に歩んでいく姿勢が大切です。
今や組織の力よりも個人の力が大きくなり従来の価値観との逆転が起きています。
そこでは従来のペット産業のあり方は通用しなくなるでしょう。
だからこそこれから犬を飼う人にはもう1度犬との暮らしを真剣に考えてみてください。
まとめ
いかがでしたか?
今回はこれからに向けた犬との暮らしを実現する考え方やこれからについて述べました。
とにかく大事なことはなぜ自分がその犬を飼うのかをきちんと考えることです。
あとはそれを形にしていくための経済力・犬選び・ブリーダー選びを徹底しましょう。
ここをしっかり一貫性を持って行うことで素敵な犬との暮らしが実現するのではないでしょうか。
簡単ではありませんが、決して不可能なことではないので真剣に向き合ってみてください。