コロナ禍により外に出られなくなったことで自粛の空気が強くなりました。
そんな中で空前のペットブームが巻き起こり、犬や猫を飼う人が増えたのです。
しかし、蓋を開けてみればその結果起こったことは飼育放棄の急増でした。
この問題は本ブログで以前より訴えてきたペット産業の致命的欠陥を露呈させています。
今までの総まとめも兼ねてこの急増する飼育放棄からペット産業の闇を暴きましょう。
飼育放棄はコロナ禍が原因ではない
まず伝えておくべきことはこの飼育放棄はコロナ禍が原因ではないということです。
犬の飼育放棄に関しては新型コロナウイルスが世界中に蔓延する前からありました。
日本だけではなく海外でもこの飼い主の飼育放棄は社会問題となっています。
殺処分がどんなに努力してもゼロにならない事実がこの現状を物語っているでしょう。
確かにコロナ禍によってペットを飼い始める人も、飼育放棄する人も急増しました。
しかし、それは元々ペット産業が孕んでいた問題点がコロナによって表面化したに過ぎません。
まだ完治されていない傷口がコロナという毒により更に悪化したという形です。
大量生産・大量消費という現代文化が生み出した負の遺産といえるのではないでしょうか。
ペット産業の致命的欠陥
まずは現代のペット産業における致命的欠陥を明らかにしなければなりません。
果たしてペット産業はどのような問題を孕んでいるのでしょうか?
お金がかかる
真っ先に挙げられるのは「お金」がかかるということです。
犬や猫を飼うには十分な経済力が必要であることは言うまでもありません。
購入費だけでも20万円以上から希少種になると50万〜100万はかかります。
更に餌代やペット用品代・治療費・保険料等々の維持費もかなりかかるのです。
生涯費用はどんなに安く見積もっても200万、高ければ500万位は下らないでしょう。
それだけのお金があるならビジネスなど有意義なことに投資する方がいいと思いませんか?
ペットを安易に飼ってしまい安易に捨ててしまう原因の8割は詰まる所「お金」です。
誰でもが安易に飼えてしまう
日本だと特に顕著な傾向ですが、誰でもが安易に犬や猫を飼えてしまうのも問題です。
犬の歴史を調べると元々犬はペットではなく狩猟用で飼われていた仕事上の相棒でした。
ペットとして飼っていたのは元々資産家や皇族など高貴な身分の方々だったのです。
それがいつしか、恐らくは20世紀の戦後社会から一般層でも飼えるようになっています。
すなわち犬を飼う心構えや覚悟ができていなくても簡単にペットショップで買えてしまうのです。
ましてや日本は海外と違ってペット産業に関してきちんとした仕組みができていません。
要するに無法地帯で法整備がされていないからこういう問題が目立つのです。
大量生産・大量消費社会
そしてこれが1番の問題ですが、大量生産・大量消費社会というモノ消費社会の構造にあります。
なんでもその場で買ってその場で消費してしまう取っ替え引っ替えの構造です。
犬も同じことであり、飼い主が飽きたからとか疲れたからとかで簡単に捨てられてしまいます。
そう、まるでスーパーで買った安物の商品を使い終えたらあっさり捨ててしまうような感覚で。
この現代社会に生きる人々が持っていた無意識の残酷さがペットにも向けられています。
それがこのコロナによってついに言い逃れできない現実として表面化したと言うことでしょう。
コロナ禍で表面化したペット産業の問題
そしてまた上記の問題に加えてここ数年で明らかになってきた問題もまたあります。
今回は新たな視点としてこの部分に突っ込んで解説していきましょう。
SNSやテレビの影響
まず1つ目にSNSやテレビなどの影響による部分が大きいのではないでしょうか。
友達が飼い始めて楽しそうだからとかバラエティー番組で宣伝してたからとかがあるのです。
今やこうしたメディアの力は無視できず一大勢力となっており、その影響力を無視できません。
しかし、ここで見落としてはならないのはあくまで「良い面」しか見せていないことです。
表面上輝いて見えるペットライフもいざ飼うとなれば綺麗事では済まされない現実があります。
理想と現実は違うものですが、なぜかペットに関してはその問題が無視されてしまっているのです。
本来は無視されてはならない問題の筈なのに、その部分が無視されているから本質が伝わりません。
インフルエンサーマーケティング
上記のSNSやテレビの影響が極まった形として挙げられるのがインフルエンサーマーケティングです。
ここ数年で台頭してきているYouTuber・V Tube・Tiktoker・Instagrammerなどがそうでしょう。
個人チャンネルの発信が大きな影響力を持った結果ビジネスとしてチャンネルが収益化されています。
一度収益化されてしまえばアマもプロも関係なくペット系インフルエンサーとしてビジネスができてしまうのです。
しかし、そのペット系インフルエンサーが裏で数多くの試行錯誤や失敗談を重ねていることに多くの視聴者は気づきません。
あの人たちが見せているペットとの日常もあくまで視聴者にお見せできる表面的な良い部分だけです。
本当は匂いや家具破壊・月の餌代や病気・懐いてくれないなど綺麗事では済まない現実も沢山あります。
だから、ペット系インフルエンサーを見て安易にペットを飼おうと考えてる方はその時点で間違いです。
その方達が表に出すことのできない様々な問題点をきちんと想像しペットのメリットとデメリットの双方を見ましょう。
「ハレ」と「ケ」
これらの問題をまとめると本質的には「ハレ」と「ケ」の問題にあると気付かされます。
「ハレ」は非日常の晴れ姿の舞台、「ケ」は表に語られない日常の風景です。
ペット系インフルエンサーがSNSで流しているのはあくまで「ケ」ではなく「ハレ」ではないでしょうか。
よくYouTuberは芸能界と違って個人の日常風景を発信していると言いますが、それは正確ではありません。
YouTuberが発信しているのはあくまで「視聴者にお届けできる範囲の」日常風景という意味です。
つまり「ケ」ではなく「ケのように見せかけているだけのハレ」であることを理解してください。
あくまでその切り取られた動画は非日常を発信しているだけだということに気づきましょう。
戦略の一部として動画を流しているということに気づかなければいつまでも本質は掴めないままです。
「風」の時代に予想されるペット産業の今後
「風」の時代に向けて予想されるペット産業の今後について見ていきましょう。
ペット産業のメジャー化
まず日本のみならず世界中でペット産業自体がメジャー化していくことが予想されます。
これはもう良し悪しではなくビジネスの流れとしてそういう仕組みになっているのです。
今はまだニッチな市場ですが確実に伸びており、上記のペット系インフルエンサーによる影響力もあります。
そういう人たちの影響力をもってすれば、間違いなくペット市場はメジャー化していくでしょう。
しかし、メジャー化していくと法規制や飼う時の審査なども厳しくなることが予想されます。
これはどのビジネスにおいても同じことであり、ペット産業も避けられない筈です。
ペットシェアリング
2つ目にカーシェアリングやハウスシェアリングと同じようにペットシェアリングも起きるでしょう。
車も家もかつては上流階級や一部の特権者にだけ買うことが許されたものでした。
それが現在に至っては車も民家もレンタルで貸し出しや宿泊が簡単にできる時代です。
つまり川上から川下へどんどん情報は流れていき、最終的に一般層に定着します。
ペット産業も最初は貴族や上流階級の特権だったものが一般層に普及してきました。
ここまで行けばあとはもうペット自体もレンタルされるようになるというわけです。
いわゆる猫カフェや犬カフェなどペット系のカフェなどはペットシェアリングの先駆けと言えます。
上記の問題を孕みながらも最終的には「所有」から「共有」へ変わって行くのは世の流れです。
「ペット学(仮)」の台頭と一般化
そして世間に一般化したものは最終的に娯楽から学問の領域へ発展していくことでしょう。
今はまだ畜産学や獣医学というマイナーな分野ですが、ここが今後はメジャー化していくと予想されます。
そうなると畜産学・獣医学はより発展していき最終的に「ペット学」とでも呼ぶべき学問ができるでしょう。
どんな学問も発展していくと細分化されていき、独立していくようになるのです。
ペット産業も例外ではなく、貴族の娯楽から庶民の娯楽に変化するという流れをたどっています。
そうなると娯楽から学問に発展していき一ジャンルとして独立するのではないでしょうか。
何れにしても、まだまだニッチな市場である分今後益々の発展が予想されます。
どんなものも試行錯誤があってこそ発展する
このように見ていくと、確かにペット産業には数々の問題があるでしょう。
しかしどんな娯楽・産業・学問も常に歴史の中で実験と検証を繰り返して発展してきたのです。
それはペットにおいても同じことであり、今はまだ今後発展していく前の実験段階なのかもしれません。
確かにコロナ禍に伴うペットブームと飼育放棄はペット産業の闇を世間に知らしめる形となりました。
短期的に見ればそれは悲しいことのように思われますが、長期で見れば決して無意味ではありません。
この失敗から教訓を学び反省することでペット産業もいい方向に発展していくのではないでしょうか。
大事なことはこの出来事を単なる悲しい事件で終わらせず様々なことを感じて学び取ることです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回はホットな最新のコロナ禍に伴って発生した犬の飼育放棄から様々な事柄を論じてきました。
ペット産業は現状ニッチではありますが、まだまだ発展の余地がある市場に間違いありません。
今は無法地帯で整備もできていませんが、将来的にその部分はしっかり発展していくのではないでしょうか。
現代は「風」の時代と言われ、かつて猛威を振るったものがどんどん旧式化していきます。
逆にいうと、今までニッチだったものが今後主流になっていく可能性があるということです。
そのようなことに目を向けつつペット産業の今後を見守っていこうではありませんか。