皆さんは目やにというと、人間だけが抱えるものだと思っていないでしょうか?
実は他の動物・ペットも目やには出るものであり、犬も例外ではありません。
しかし、どうやら犬の目やにが実は病気のサインとなりうるそうなのですが、これが意外と侮れません。
少量の目やにであれば問題はないそうですが、余りにも量が多かったり色がおかしかったりする場合があります。
そうなった時は深刻な病気が疑われるとのことであり、改めて犬の目やにの意味について解説していきましょう。
また、目やにが重症化した時の適切な対処法に関しても詳しくご紹介いたします。
もし突然の犬の目やに困惑しましたら、本記事が少しでもその手助けとなれば幸いです。
目やにのメカニズム
まずは犬の目やにのメカニズムから正しく理解していきましょう。
人間にもできる目やにですが、どのようにしてこの目やには出来るのでしょうか?
正式名称は眼脂(がんし)
目やにの正規名称は眼脂(がんし)であり、耳垢や鼻くそと同じような老廃物です。
新陳代謝によって剥がれ落ちた細胞が空気中のゴミなどと混ざって老廃物になって出て来ます。
人間がそうであるように、犬の目やにもそれが形成されるのは朝起きた時です。
昼間になり瞬きから出る涙によって洗い流されるように出来ており、普段意識することはありません。
人間の場合は自分で目を触って目やにを取り除きますが、犬はそのようなそぶりを見せません。
だから結果として飼い主が犬の目やにを見落とすことが多くなるという図式です。
正常な生理現象としての目やに
そういうわけなので、目やに自体は決して悪いものではない普通の生理現象なのです。
犬が寝ている時はまばたきをしないので起きたときに目やにが残ることがあります。
これはあくまで生理現象の範囲内であり少量の目やにであれば気にする必要はありません。
人間ですらもあるのですからこの程度のことで一々神経過敏になっても仕方ないでしょう。
大体はお昼間に涙と瞬きで落ちるように出来ていますので構わなくても大丈夫です。
必要以上に気にしすぎるとあまり良くないので週一で見るくらいでちょうどいいかと思われます。
シニア犬の目やに
犬は新陳代謝が衰えてくると目やにが増えることが多くなり老廃物として溜まってしまうのです。
これは年齢と共に涙の量が減るため目の老廃物を流し出せずに目やにが増えます。
これは一見病気のようですが決してそうではないので優しくガーゼで拭き取ってあげましょう。
老化現象に関しては特に人間の意識から遠のけられがちなので、普段からの注意が大切です。
目やにのみならず運動不足や病気など様々な面でガタが来ることは決して珍しくありません。
そのようなことにならないよう、最後まできちんと面倒を見てあげてくださいね。
正常な目やにと異常な目やにの見分け方
目やにの種類によっては病気が潜んでいることがありますから注意が必要です。
ここでは正常な目やにと異常な目やにの見分け方のコツを解説します。
目やにの色
一般的な犬の目やにの色は「茶色」「黒色」「グレー」「白色」辺りで、このどれかであれば許容範囲です。
かつこういう目やにの場合は除去すれば次に出てくるまでに結構な間がありますので心配は要りません。
しかし「黄色」「緑色」など明らかにおかしな色の目やにが出ている場合は注意しましょう。
その場合は犬が感染症を引き起こしている可能性がありますので、専門家に相談してください。
とにかく大事なことは早期発見とそこからの対策をしっかり打つことです。
人間同様犬も生きていれば何らかの病気を発症することはありますが、目は注意が中々向きません。
そこにきちんと意識を向けられるかどうかが飼い主の真価を問われるところです。
量と時間の間隔
目やにの色だけではなく量と時間の間隔もまた危険な目やにとそうではない目やにの見分け方の基準です。
一度目やにを取っても1〜2時間後にはまた目やにが付いていたりいつもより量が多いなと思ったら注意しましょう。
子犬期・成犬期の段階で目やにがやたらと多いのは目に炎症が起きている兆候です。
動物病院へ行く時にはなるべく目やにを拭き取らずに目の状態がわかる様にしておくと良いでしょう。
もしくはその目の状態をきちんと写真に収めておくと分かりやすいかもしれません。
人間でも眼精疲労になると目やにが溜まることはありますが、犬は眼精疲労が溜まりやすい環境があまりないのです。
そのため目やにが短時間で大量に溜まることはよほどのことがない限りはまずありません。
飼い主として気をつけるべきはそういう異変にきちんと気づくことが出来るかどうかです。
新陳代謝の低下
そして上記していますがシニア犬になったことに伴う新陳代謝の低下もまた挙げられます。
しかしこの場合は単純に老化が原因なので心配する必要はありませんが、何もしなくていいわけではありません。
まず目やに自体はきちんと取り除いて清潔に暮らせるよう綺麗にしてあげましょう。
また、目やにの色や量に異常な部分がないかもきちんと調べることが大事です。
新陳代謝が低下すると目だけではなく様々な部分が劣化してくるものであり、体調不良を自分で治せません。
運動不足にもなるので様々な病害に陥りやすくなことを想定して犬のしつけを行ってあげてください。
犬の目やにから考えられる病気
上記の説明で犬の目やにには正常なものと異常なものがあることが分かりました。
ここでは犬の目やにから考えられる様々な病気について解説します。
アレルギー
犬のアレルギーの主な症状は皮膚炎で強いかゆみを伴いますが、それだけではありません。
目の周りの皮膚に炎症が起こると目の周りが赤くなったり目をしきりにこすったりすることがあります。
その結果結膜炎を引き起こして目やにや涙が出るなどの症状が現れるのです。
こうした結膜炎は特に次のような犬種によく見られます。
・柴犬
・コッカー・スパニエル
・ウエスト・ハイランド
・ホワイト・テリア
結膜炎の治療はアレルゲンを取り除いたりかゆみを抑えるためにステロイド剤や抗ヒスタミン剤などです。
また。抗生物質や抗炎症剤の目薬を使うなどによって総合的に治療していく方式になっています。
角膜炎
角膜炎は注意すべき病気の1つで、主に細菌・ウイルスなどの感染やドライアイによって引き起こされます。
目やにの他にも目を気にしてこすったり結膜が充血したり痛みで目が開かなかったり涙を流したりするのです。
そのような重度の症状の場合には角膜が白く濁って見えますので注意してください。
角膜炎の場合は軽度の場合であれば適切な抗生物質を含んだ目薬などを用いて治すことができます。
しかし重度の場合は手術が必要になることがありますので早期発見が必須でしょう。
短頭種となれば特に目に傷がつきやすいため角膜炎にかかりやすくなります。
角膜潰瘍
角膜潰瘍は角膜に傷がついた状態のことを指しますが、角膜炎が更に悪化したものです。
軽度の場合は抗生物質や角膜保護成分が入った目薬による治療を行います。
重度の場合は手術が必要になることがありますので早期発見を行うようにしてください。
角膜穿孔(角膜に穴が開いた状態)にまで進行すると眼球摘出をしなければならないケースもあります。
こうなると手遅れの状態となりますので、未然に防ぐ努力をしましょうね。
流涙症
いわゆる「涙やけ」のことであり、これまた注意すべき病気です。
具体的には涙の量が通常よりも多くなったり、鼻水が詰まってより涙が出やすくなってしまいます。
目やにが出るだけでなく、目の周りの毛が茶色っぽく変色することもある怖い病気です。
これらは主に次の犬種に特によく見られます。
・シー・ズー
・トイ・プードル
・パグ
流涙症は抗生物質や消炎剤などの目薬による治療を行いますので軽度の場合であればこれで済みます。
重度の場合手術が必要になりますので、ご注意の上で然るべき処置を取ってください。
犬の目やにが多くなった場合の対処法
犬の目やにが重症化した場合の対処法についてここでは説明していきます。
なるべく未然に防げるのがベストですが、ここでは予防策や重症化した対策などについても解説しましょう。
水やぬるま湯を用いたウェットタオルで拭き取る
犬の目やにを取ろうとするときつい乾燥したティッシュを使ってしまいがちですが、これは避けてください。
なぜならば目の表面を傷つけてしまうおそれがあるため犬がトラウマになってしまうからです。
まずは水やぬるま湯をつけたウェットタオルで目の周りを丁寧に拭いてあげるところから始めましょう。
なぜ乾いたものがダメなのかというと目の周りのデリケートな場所となっていますので神経がむき出しになっています。
目の周りは特に繊細な神経がすごく集まったところなので飼い主は絶対に注意して慎重に拭かなければなりません。
犬の目の周りは非常にデリケートな部分なのできちんと慎重に扱ってあげなければ拒絶反応を起こすのです。
そのようなことのないよう慎重に優しく扱ってあげることこそが何よりも大切ではないでしょうか。
なるべく外で散歩をさせない
他の犬との接触や木の枝のような尖ったものといった外傷の原因になるものが目に刺さらないように気をつけてください。
また春の時期は風が強く吹き花粉や砂塵によって目を怪我する恐れがありますので散歩は避けるようにしましょう。
その辺りを気を付けたりすることで犬が目を怪我したり目やにで重症になったりすり確率は大きく減らすことができます。
しかし、これが遺伝的な病気で引き起こされる場合は予防することが難しいケースがほとんどです。
外的な要因によるものか内的な要因によるものかは判断がつかないので、その時は動物病院で受診させてください。
飼い主の気配り一つで避けられるものはどんどん避けていって失敗要素を省くようにしましょう。
定期的にトリミングやシャンプーをする
毛量が多い犬種の場合はこまめな毛のブラッシングやトリミングなどによって清潔に保つのも予防になります。
目の周りの毛が伸びてしまうと毛が目に入って傷が付いてしまう可能性があるので注意が必要です。
目の周りの毛が目にかからないようにするためにも、伸びてしまったらこまめにカットする様にしましょう。
とはいえ、素人感覚でやってしまうとかえって傷つける可能性がありますのでトリミングが無難です。
毛の周りにはダニやノミなどの害虫が付いて回っている可能性もあるので対策は売っておきましょう。
とにかく犬の状態を観察すること
これまで述べてきたことをまとめるならば、毎日目の周りを観察しましょう。
普段から目の周りを細かくチェックすることにより目の病気の早期発見ができます。
前足で目をこすったり瞬きの回数が多かったりと普段と違う様子があれば要注意です。
通常の目やになら特に心配することはありませんが、普段より多かったり色が違ったりしたらそれはサインとなります。
目という場所は他と比べても非常にデリケートなところであり、普段触は触れないところです。
しかし、だからこそいざ重病となった時に厄介なことに発展しやすくもなるので注意しましょう。
どれだけ丁寧に犬の観察と何かあった時の早期発見と適切な処置が出来るかが飼い主の力量を問われます。
まとめ
いかがでしたか?
目やにには問題のない目やにと治療が必要な目やにがありなかなか判断が難しいかもしれません。
しかしだからと言って病気に気づかず放置してしまうと重症化してしまうこともあるのです。
なかなか飼い主の注意が向きにくいところだからこそ慎重に扱わなければなりません。
普段からの徹底した予防と重症になった時の早期発見・適切な治療といった判断力が問われます。
たかが目やに、されど目やにということを自覚して犬のしつけを行いましょう。