前回の記事で犬のしつけの基礎基本の部分については概ねご理解・ご了承頂けたかと思います。
今回取り上げるのは「吠える」ことに関するしつけの仕方で、これはしつけの中でも特に大事な部分です。
一体どのようにしつけていけばいいのかを具体的に掘り下げていきます。
なぜ犬は吠えるのか?
「負け犬の遠吠え」「弱い犬ほどよく吠える」ということわざがある位「吠える」は犬の代名詞といえるでしょう。
犬=吠えるという図式・認識は万人共通ですが、その意味や理由を深く考えた人は意外と少ないのではないでしょうか。
まず犬が吠える理由や状況などについて解説していきます。
要求
まず一つ目が飼い主に対して犬が吠える状況ですが、この場合大半は「要求」として吠えているのです。
吠えるタイミングは「食事(ないしおやつ)が欲しい時」「飼い主に構ってほしい時」「寝起き前後」辺りが挙げられます。
犬は基本群生の生き物でその家庭のルールに沿って動こうとする「郷に入っては郷に従え」の意識が強い生き物です。
なので食事のタイミングや就寝・起床のタイミングもなるべくその家庭に合わせようとして吠えます。
吠え方としてはまるで甘えるように高めかつやや上目遣いで要求を満たしてほしそうなニュアンスで叫ぶのです。
飼い主が犬を飼い始めた時最初にぶち当たる壁がこの要求吠えではないでしょうか。
警戒
二つ目が一番人や他の動物に迷惑がかかる「警戒」の吠え方で、警察犬はこの特性を生かして訓練させています。
具体的には二つあり、一つ目が散歩中に人や他の動物に「こっちに来るな!」という意味の「威嚇吠え」です。
特に社会化期の未発達な子犬に多く見受けられますが、成犬が散歩中に威嚇することも少なくありません。
二つ目が家に来客ないし通行人が傍を通りかかっただけで吠える「怯え吠え」で、一番迷惑なのはこのパターンでしょう。
小屋に入っている犬の場合特に家を一つの「縄張り」と認識し、そこに入ってくる見知らぬ人を追い出そうとします。
たった一回の来客のみなら兎も角友達やお得意様を家に招く時には特に迷惑ですので、早めの内に対策をしておきたいものです。
興奮
三つめが警戒とは逆に感情が昂った状態で我を見失って吠えまくるという「興奮吠え」と呼ばれるものです。
具体的な状況としては飼い主が帰ってきた時と、家庭内外を問わず周囲が騒がしい時につられて吠えるパターンがあります。
特に前者の場合犬が構ってくれる為相手しがちですし、後者の場合も犬を宥め落ち着かせようと声をかけたくなるものです。
しかし、そうした行為は余計に犬の興奮を刺激することになり逆効果ですので、やらない方がいいでしょう。
始めのうちは可愛いかもしれませんが、それが常態化すると飼い主と犬の双方にかなりの負担がかかります。
体調不良
これはどちらかといえば成犬になって年老いてからの方が強くなる「体調不良」で吠えることです。
大きな病気の場合は特にぐったりと横たえながら吠えるので、動物病院での検査が必要となります。
また保護された犬や捨て犬の場合飼い主と離れるだけで不安になり叫ぶ「分離不安症」もあるのです。
分離不安症に関しては犬だけでなく猫にも見られるパターンで、ペットが常に抱えるストレスの原因となります。
この時は決してあしらったり無視したりせず、早めにサインを嗅ぎ取って早急の対策を立てましょう。
吠えさせない為のしつけ
いかがでしょうか?こうして見ていくと、人間には無駄吠えでも犬には無駄吠えなど一つもありません。
上記してきた「吠える」は特に対策をしっかりしておかないとお互いの信頼関係に罅が入ります。
ではどのようにすればこれらの「吠える」行為をやめさせることができるのでしょうか?
要求吠えの場合
要求吠えの場合はまず初期の段階で応じる要求のルールをしっかり取り決めして教えておきましょう。
ご飯を要求してきた時は特に相手にすることなく姿を消して吠えても無意味だと自覚させることが大事です。
ここで下手に構ったり、無視しても傍に居続けると毒気に中てられて根負けしてしまい逆効果となります。
人間の子供と同じように、兎に角「我慢」をしっかり覚えさせていくことです。
可愛いからと甘やかしていると将来ろくな成犬に育たず飼い主のみならず周囲にも迷惑がかかります。
警戒吠えの場合
警戒吠えの場合は大体来客ないし散歩中に出会う人が見知らぬ人という不安をなくすことです。
対策としては待ち合わせを近くの公園やコンビニに指定し、飼い犬を散歩という名目で連れていきましょう。
この時に犬と来客を会わせて馴染ませることで「この人は怖くない人である」と慣れさせることができます。
また宅配便なども届け先を近くのコンビニや郵便局での受け取りにすることで警戒吠えを減らせるのです。
大事なのは兎に角来客ややってくる人への苦手意識・警戒心を抱かせる状況を作らないことにあります。
興奮吠えの場合
興奮吠えが生じた場合はその興奮を満たしたいという欲求があるのであえて無視して焦らしましょう。
また、遊ぶ際も決して満足させるまで遊ぶのではなく、物足りないと思う所でさっと切り上げることです。
腹八分目位がちょうどいいのと同じで、やや物足りないと思わせるくらいが丁度いい塩梅となります。
兎に角大事なのはリードウォークと同じように犬の要求を下手に満たそうとせず距離を取ることです。
飼い主と犬は決して「友達」ではなく飼い主が上位の「仲間」であることを忘れないでください。
体調不良吠えの場合
体調不良吠えの場合は兎に角真っ先に動物病院に連れていき獣医に診てもらって対策を取りましょう。
また、分離不安症などの場合は警戒吠えと同じで犬との距離を取って孤独に慣れさせることです。
在宅ワークや動物飼い系YouTuberの方を除けば飼い主の殆どは仕事や外出で家を空ける時間が長くなります。
なのでそういう時は犬に何も言わず出かけ何も言わず帰宅することで外出を日常茶飯事として定着できるのです。
いずれにしても、集団主義の傾向が強い犬に「孤独≠悪いこと」のイメージを植え付けて原因を取り除きましょう。
まとめ
ここまで具体的な無駄吠え対策を論じてきましたが、あくまでも大事なのは飼い主と犬の信頼関係です。
最近では吠える対策用の首輪やハーネス、またはアプリなどが販売されていて対策も楽になりました。
ですが、それらはあくまでも道具であり手段でしかなく、飼い主と犬の信頼関係があってこそ役立ちます。
逆に言いますと、無駄吠えの多い犬は飼い主との信頼関係がきちんと構築されていない証です。
無駄吠えを減らし、どこに出しても恥ずかしくない犬へと育てましょう。