これまで中型犬・大型犬の紹介が続いてきましたが、今回紹介するのは久方ぶりの小型犬です。
その小型犬とはペキニーズなのですが、何と巷ではペキニーズは犬らしくない犬種だといわれています。
それにもかかわらず高い人気を誇っており、そのイメージと実態がまるで乖離しているという不思議な状況です。
これまでの記事でも見た目と中身のギャップがある犬種や世間のイメージと実態がまるで違う犬種もいました。
果たしてペキニーズはどのような犬種なのか、その魅力を今回は徹底的に掘り下げて解説していきます。
入手から維持費まで飼い主になろうという方もそうでない方も是非ご覧下さい。
ペキニーズの基本スペック
まずはペキニーズの基本スペックについてじっくり掘り下げていきましょう。
ペキニーズの基本データ
まずはペキニーズの基本データです。
・種類・・・小型犬
・大きさ・・・20~30cm
・体重・・・5-6kg(成犬)
・平均寿命・・・12~15年
・原産国・・・中国
ペキニーズは名前からも分かるように原産国である中国の北京(ペキン)から取ってつけられています。
前回までの中型犬・大型犬に比べると大きさや体重などから見て典型的な小型犬らしい小型犬でしょう。
寿命も12年〜15年と長く、小型犬の中でも非常に長生きしやすい部類に入る犬種ではないでしょうか。
見た目が非常に可愛らしく顔だけでいえば間違いなくアイドルクラスだといえますが、見た目だけでは判断できません。
ペキニーズの基本的な性格
ペキニーズが「犬らしくない犬」といわれる所以は何といってもその性格にあります。
見た目の可愛らしさに反して中身はとても反骨精神が強く、基本的にはマイペースな性格で愛嬌を振りまきません。
飼い主だからといって媚びることはなくベタベタした依存のような関係性を嫌い、抱っこなんて大嫌いです。
その癖飼い主に構って欲しい時は甘えてくるのですから、何とも都合主義というか可愛げのない性格をしています。
まさに巷でいわれる「ツンデレで気まぐれな猫」という表現がしっくりくる犬らしくない犬ではないでしょうか。
いわゆる「孤独を好む」という点では柴犬などもそうなのですが、彼らが孤独を好むのは芯の強さから来るものです。
ペキニーズの場合は芯が強いのではなく単純に一人っきりになりたいという個人的なわがままから来ています。
そのため飼い主であっても基本は放置しておいた方が関係性としては上手く行くのではないでしょうか。
ペキニーズの歴史
ペキニーズという犬種の歴史はサルーキに次いで大変古く、8世紀頃――唐の時代には絵画で存在が確認できます。
宗や元の時代の飼育記録も残っていることから記録だけでも1000年以上の歴史が確認できる犬種です。
しかしこれは記録上確認できる証拠というだけで、実際にはそれ以上昔から存在していたのではないかと推測されています。
ペキニーズの元となったのはチベットの僧侶が飼育していたチベタンスパニエルという説が濃厚です。
そのチベタンスパニエルを理想の獅子の姿に近づけるため改良をして生み出されたのが、現在のペキニーズといわれています。
そんなペキニーズは、皇帝への貢物として献上され、宮廷でのみ飼育を許されていました。
こうして世界的に広がっていったペキニーズですが日本にはいつ頃渡ってきたのかは定かではありません。
現在日本では3,000頭を超えるペキニーズが飼育されており、かなりの大人気を誇っているようです。
ペキニーズの入手の仕方
このような歴史と性格を持つペキニーズですが、果たしてどのように入手すればいいのでしょうか?
ペットショップよりもブリーダーがお勧め
ペキニーズ自体は日本でも飼育数が多いので比較的購入しやすく、ペットショップでの一般購入も可能です。
しかしペキニーズの子犬は飼育が大変難しいので、専門的な環境の整っていないペットショップでの購入はおすすめできません。
ペットショップ店員でペキニーズの育成に気を遣ってる方はあまりいらっしゃらないので、ペットショップでの購入は避けてください。
そうなると、やはりペキニーズもブリーダーによる紹介制で購入する方が安全ではないでしょうか。
事前にしつけに関するアドバイスを沢山いただけるので、ブリーダーからの購入が最善かつ最短ルートといえます。
特殊な愛護団体
実はペキニーズに関してはペットショップやブリーダーとは異なる入手ルートがあり、それが「里親制度」です。
ペキニーズには何と個別の里親制度を目的とする団体「ペキニーズレスキュー」という愛護団体が存在します。
そこでは「収容犬」「迷い犬」は勿論「飼い主の放棄」「繁殖リタイア」など様々な事情を持つペキニーズが居るのです。
非営利団体として活動する中で里親となる飼い主さん探しも行っている程に力を入れています。
ブリーダーと同じように信頼が置ける団体ではあるので、興味のある方は調べてみるとよいでしょう。
購入費は具体的にどれくらい?
買う時には気になる価格ですが、ペキニーズの迎え入れにかかる費用はそんなに高くなく約25万円です。
両親がチャンピオンタイトルを所持していたり毛量が多く毛艶の良い子だったりすると30万円を超えることもあります。
カラーも影響し白一色の「ホワイト」や白地に1・2色の班が左右対称で体に入る「パーティーカラー」の子犬なども高くなるるのです。
とはいえ、希少種というわけではないので販売価格自体はそんなに馬鹿高いわけではありません。
ブリーダーの監修の元だとやや高くなりますが、子犬なので初期投資としてはかなり安い方です。
ペキニーズの特徴
そんなクソ生意気ツンデレの犬の皮被った猫であるペキニーズですが、上記の特徴を掘り下げてみます。
ここではめんどくさいペキニーズの特徴について改めて解説していきましょう。
打ち解けるまでが大変
基本的にはクソ生意気ツンデレなペキニーズですが、打ち解けることが出来れば飼い主に甘えてくれます。
猫だって打ち解けた飼い主相手には甘えてくれるようにペキニーズも飼い主には時折甘えて来るのです。
しかし、そうなるまでは結構大変で下手にこっちから構おうものなら毛嫌いされます。
それなのに時折構ってちゃんになるのですから打ち解けてもその世話を焼くのは楽ではありません。
なので、基本的には向こうからやって来るのを構ってあげる程度のスタンスでいましょう。
付かず離れずの適度な距離感の方がお互いにとって楽な関係性でいられます。
逆にいえばややドライに突き放していれば寂しい時には向こうからやって来るということです。
温厚だがプライドが高く頑固な一面がある
ペキニーズは基本的に温厚で気性が荒い犬ではありませんが、プライドが高く自分の考えを曲げない頑固さも持っています。
飼い主の言うことを無視して自分の希望を貫く面があり、ペキニーズは自分のペースで行動する犬です。
その頑固さがエスカレートするとしつけは少々大変になりますが聡明で賢いので、しつけの物覚えは自体は良い犬でしょう。
ですから、あまり外への散歩も行きたがらず室内で一人で遊ぶのを好みます。
また、決して社交的な性格ではないので、飼い主以外の人たちや他の犬に対しては一見さんお断りです。
嫉妬深く多頭飼い向きの性格ではない
また、そういう生意気ツンデレな性格の割には・・・いや、それ故にこそ嫉妬深い性格でもあるのです。
飼い主が他の犬と一緒に遊んでいたり他の犬の匂いがついていたりするとそれだけで不機嫌になります。
ツンデレ特有の面倒臭い部分で、普段サバサバしてる癖に精神面に余裕がなく飼い主への独占欲が強いのです。
ですから、飼い主と認めた人以外を許すつもりはなく多頭飼いなどは絶対に避けてください。
どんなに平等に愛着を注いでも後住犬に対して見えないところでいじめることが目に見えています。
そういう性格なのでとにかく癖が強く、余程の手練れでない限りうまく扱うことはできないでしょう。
飼い主となる方はそうした面倒臭さを重々承知の上で付き合っていく必要があります。
しつけのコツ
それでは改めてペキニーズのしつけのコツについて解説していきましょう。
このクソ生意気ツンデレ犬をどのようにして一人前に育ててやればいいのでしょうか?
メリハリをつける
基本的には放置でいいのですが、あまりにも聞き分けが悪い場合はきちんと叱りつけましょう。
跳ね返りの強い性格とはいえ、それは好き勝手させていいということにはなりません。
野放しにしておくと周りに迷惑をかけてしまうので、絶対に度が過ぎるイタズラはさせないことです。
しつけの場合はトイレトレーニングをはじめとしてしっかりメリハリをつけてください。
放置したままだと最悪の場合ワガママな犬に育ちかねないので注意しておきましょう。
過剰な運動は控えめに
基本的に小型犬ということもあって、あまり運動好きではありません。
その為散歩や遊びの時間はそんなに多くなくても大丈夫であり、その辺が楽ではあります。
逆に激しい運動をさせると飼い主を嫌いになりかねないので注意してください。
また、体毛が分厚いので冬に強いものの夏に弱く、散歩させる時間帯も注意が必要となります。
真夏の場合は猛暑がきついお昼の時間帯を避けて暑さが緩和される夕方〜夜の時間帯を選びましょう。
逆に冬の散歩には最も暖かくなる昼の時間帯を選んで30分以内の運動にしてください。
あくまでも小型犬なので省エネの感覚でしつけてあげるといいでしょう。
抜け毛に注意
ペキニーズは特にアンダーコート(下毛)の量が多くなっていて毛が生え変わる時期には大量の毛が抜けます。
そのため皮膚の健康を保つために毎日のブラッシングが必要不可欠です。
ブラッシングをしないと毛玉がフェルト状になって手入れがしづらくなってしまいます。
また、ペキニーズは顔にシワがあるため顔回りも清潔に保つ必要があるのです。
シワは汚れがたまって菌が繁殖しやすくなり、放っておくと皮膚病になる可能性もあるので注意してください。
そのため必ず毎月1回以上は必ずトリミングに連れて行き、また週1でブラッシングをしてあげましょう。
ペキニーズにかかる生涯の費用
さて、最後にペキニーズの生涯にかかる維持費ですが小型犬の中ではやや高めとなります。
初期費用は「迎え入れ費用約25万円」と「飼育グッズ費用6万円」を足して約31万円ほどかかります。
年間費用は「食事代10万円」と「その他費用6万円」を足して、約16万円ほどと概算できます。
ペキニーズの平均寿命は約13年なので、生涯費用を計算すると31万+16万×13年=239万円ほどになる計算です。
小型犬の中では200万超えとかなり高いので飼う際には精神的にも経済的にも余裕が必要です。
医療の進歩により生まれてからの生存率は高まっているとはいえ、普段からのケアを怠らないようにしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
こうして解説していくと、確かにペキニーズは見かけに反して扱いの大変な犬だといえます。
可愛いからとその見た目に騙されて近づこうとすると思わぬ反撃を食らうという典型ですね。
前回の記事で紹介したブルドッグとはそこが違い、根っこが非常に面倒くさく育てにくいでしょう。
そういう意味では多頭飼いに不向きという面も含めて上級者向きであり、誰にでも飼える犬種ではありません。
費用もかかりますし、気をつけるべき点が多いことは他の犬種と同じです。
飼い主になる方は是非このツンデレさをうまく受け止めてあげて素敵なペットライフにしてください。