前回までの記事でかなり大型犬の凄い犬ばかりを紹介して参りましたが、今回は久々の中型犬です。
日本ではソースメーカーやカクテルの名前、あるいはジャニーズの楽曲名でも知られる「ブルドッグ」。
その見た目が凄く特徴的なこともあり、名前を聞いただけでその姿がイメージされるのではないでしょうか。
見た目だと凄く怖そうな犬ですが、飼う側になれば話は別であり、実はとてもお茶目なギャップのある犬種です。
そのような実態も含めて世間で知られているようで実はあまり知られていないブルドッグの魅力を徹底的に解説します。
入手から維持費まで、これから買おうという方は是非参考にしてください。
ブルドッグの基本スペック
まずはブルドッグの基本スペックについてじっくり掘り下げていきましょう。
基本データ
まずはブルドッグの基本データです。
・種類・・・中型犬〜大型犬
・大きさ・・・30-61cm
・体重・・・23–25kg(成犬)
・平均寿命・・・8~12年
・原産国・・・イギリス
ブルドッグはあらゆる犬種の中でも個体による体格差・スペックの差が非常に出やすい犬種です。
基本的にはイングリッシュ・アメリカン・フレンチの3種類に分かれますが本稿ではイングリッシュを扱います。
イングリッシュ・ブルドッグは中型犬に分類されるので大きさも31〜36cmであり、寿命もやや長めです。
顔つきこそやや厳つく取っ付きにくそうですが、体格が大きくないため愛玩用としては何ともお茶目でしょう。
基本的な性格
ブルドッグといえば、その特徴は強面で厳ついイメージの顔と筋肉質のマッチョな肉体です。
一見したところ「怖そう」「取っ付きにくい」という印象を与えますし、創作物ではそういうキャラとして描かれています。
しかし、実際の性格は穏やかで優しい個体が多く、決してむやみやたらと人や他の犬を傷つけることはありません。
また一度飼い主と認めた相手に対しては、ブルドッグの方から深い愛情と忠誠心を示してくれます。
べったりと甘えてくることもあるので、初めてブルドッグを飼う人は見た目とのギャップに驚かされてしまうかもしれません。
もし他の犬やペットと一緒に飼うなら、愛情をしっかり注いであげないとやきもちを焼いてしまうことでしょう。
同じブルドッグなどでない限り、多頭飼いはお勧めしません。
ブルドッグの歴史
ブルドッグの起源は「ブルベイティング(牛いじめ)」という競技のために、マスティフ系の犬種を改良したのが始まりとされています。
3世紀にイギリスから始まった見世物で、杭につながれた牛に対して犬を数頭放ち鼻に噛みつくという残酷な競技です。
牛を倒した犬の持ち主に高額な賞金を支払う大会で、貴族から庶民まで大変な人気を誇った競技でした。
牛に噛みついても呼吸ができるような力強い体と牛の攻撃によるダメージを最小限にするために体格をコンパクトにしたのです。
当時のブルドッグは体重が60㎏近くもあり、性格も獰猛かつ攻撃的だったといわれています。
1835年、動物愛護の観点から「ブルベイティング」が禁止され、一時期は絶滅危惧種となっていたのです。
しかし、一部の愛好家たちがブルドッグの存続のために立ちあがり、時代に合った大きさ、性格の犬へと改良していきました。
生まれ変わったブルドッグはイギリスを象徴する国犬となり、現在も変わらず愛され続けています。
その為闘牛犬としての側面は今はほとんど無きに等しいでしょう。
ブルドッグの入手の仕方
このような歴史を持つブルドッグですが、果たしてどのように入手すればいいのでしょうか?
ペットショップよりもブリーダーがお勧め
ブルドッグ自体は比較的購入しやすく、ペットショップでの一般購入も可能です。
しかし、ブルドッグの子犬は繁殖も飼育も難しいので、専門的な環境の整っていないペットショップでの購入はおすすめできません。
ペットショップ店員でブルドッグの育成に気を遣ってる方はあまりいらっしゃらないので、ペットショップ購入は避けてください。
そうなると、やはりブルドッグもブリーダーによる紹介制で購入する方が安全ではないでしょうか。
事前にしつけに関するアドバイスを沢山いただけるので、ブリーダーからの購入が最善かつ最短ルートといえます。
購入費は具体的にどれくらい?
買う時には気になる価格ですが、繁殖自体が難しい犬種なので最低でも30万円以上はしましう。
ブリーダーから購入する時は子犬の交配にかかった値段とそれまでのフード代なども含まれます。
本当に高いものになると50万〜100万円以上はよくあることなので、経済的に余裕のある人でなければ購入は出来ません。
個体にもよりますが、アメリカンのように大型犬となると購入だけでも相当にハードルが高いです。
日本で育成しているブリーダーの数自体は多いのですが、値段の高さを覚悟して投資しましょう。
餌代自体は購入費と比べて安い
ブルドッグの場合、購入費の高さに反して年間の餌代自体は相対比較ではありますが安い方です。
ブルドッグにおすすめのモグワで計算すると、月に22000円ほどかかります。
しつけに使うおやつ代と合わせて月約27000円ほどなので、年間で32万円かかる計算です。
ブルドッグの寿命は9年ほどなので、生涯かかる餌代は約290万円程になるでしょうか。
中型犬の場合もう少しかかるかと思いますが、それでも他の大型犬と比べたら安い方です。
最初の購入費のハードルさえクリアしてしまえば、そんなにはかかりません。
ブルドッグの特徴
闘牛犬として優秀な成績を誇ったブルドッグですが、現在では殆ど飾りのようなものです。
ここではそんな愛玩犬と化したブルドッグの特徴について改めて解説していきましょう。
運動能力と戦闘意欲は低め
サルーキやワイマラナーとは対象的にブルドッグは運動能力と戦闘意欲が低めの犬種です。
かつて闘牛犬としての強さを誇った時は確かに強かったですし、性格も非常に獰猛でした。
しかし、上記した歴史の変化に伴いそのような野蛮な部分は鳴りを潜めるように品種改良されています。
創作物ではその闘牛犬としての側面が無きにしも非ずですが、現実ではそのような猛々しさはほとんどありません。
散歩などで外に出ても攻撃的な側面はほとんど見られず、非常に友好的に人や他の犬種と接します。
もし、噛みついたり吠えたりすることがあればそれは飼い主のしつけに問題があると見ていいでしょう。
こういう性格もあって大凡番犬には向いていない穏やかで平和な性格をしています。
アメリカンは昔の種類に近い
そんなブルドッグですが、攻撃的でなくなったとはいえ当然例外だってあり、それがアメリカン・ブルドッグです。
イングリッシュやフレンチは体格も大きくなく、性格も非常に温和な親しみやすさを醸し出しています。
しかし、アメリカンは自由の国というアメリカの風土もあって、非常にマッシブなガタイのいい大型犬になるのです。
育て方次第では昔の闘牛犬に近い獰猛さがあるタイプもいるので、アメリカンと遭遇した場合は注意しましょう。
場合によっては怪我を負いかねないかもしれないので、その辺りを慎重に見極めてください。
ブルドッグも全てが全て大人しい種類ばかりではないことは肝に命じて育てましょう。
頑固で強情な一面も
ブルドッグは素直な性格をしていますが、気に入らないことや納得できないことがあると頑固になります。
1度でも頑固モードに入ると、大好きな飼い主の声すら聞き入れようとしません。
ブルドッグを初めて飼う方はこの強情さに驚いてしまうかもしれませんが、気長に付き合ってあげましょう。
どんなに優しく穏やかな性格のブルドッグであったとしても、その優しさには我慢の限界があります。
ブルドッグのしつけを行う際は頑固な性格に負けず、一貫性を持って根気よくしつけることが大切です。
内側に愛情を注ぐ分外来者に対しては排他的で警戒心の強い一面が見受けられます。
そういう犬種ですので、案外飼いやすい性格をしているわけではないことが挙げられるでしょう。
しつけのコツ
それでは改めてサルーキのしつけのコツについて解説していきましょう。
基本的には室内飼い
まず飼育環境ですが、体脂肪が厚い分気温の変化や暑さに弱いので、室内で飼ってあげましょう。
短足なので段差等に気をつければ骨折はありませんが、場合によっては胃捻転などがあります。
夏場は必ずエアコンや扇風機で熱中症にならないよう万全の対策を立ててください。
性格的に考えてもなるべく飼い主や家族が寝る時以外はそばにいてあげる方が安全ではないでしょうか。
しかし、過保護は決して良くないので適度に距離を保ちながら接してください。
過剰な運動は控えめに
大型犬のサルーキやワイマラナーとは逆にブルドッグは運動嫌いの個体が多いです。
その為散歩や運動の時間はそんなに多くなくても大丈夫であり、その辺が楽ではあります。
逆に激しい運動をさせると、鼻の構造上呼吸がしづらい状態になってしまうので注意してください。
また、気温の変化に弱いので散歩させる時間帯も注意が必要となります。
真夏の場合は猛暑がきついお昼の時間帯を避けて暑さが緩和される夕方〜夜の時間帯を選びましょう。
逆に冬の散歩には最も暖かくなる昼の時間帯を選んで30分以内の運動にしてください。
中型犬とはいえ、全てが運動好きの犬種ばかりではないことを自覚することが大切です。
抜け毛に注意
ブルドッグは毛が短いため抜け毛が少ないと思われがちですが、実際は大量の抜け毛が発生します。
特に換毛期の「春」と「秋」には驚くほど多くの毛が抜けますので、こまめなブラッシングが必須です。
毛が短いにも関わらず抜け毛が多い理由はブルドッグが「ダブルコート」の持ち主だかに他なりません。
ダブルコートはオーバーコート(上毛)とアンダーコート(下毛)の2つで構成されている被毛のことです。
一般的にダブルコートの犬種は抜け毛が多いことで知られており1年を通して毛が抜けます。
なのでブラッシングやトリミングは欠かさず行いましょう。
ブルドッグにかかる生涯の費用
さて、最後にブルドッグの生涯にかかる維持費ですが、購入費と合わせると非常に高くなります。
ブルドッグは中型犬ですが、生涯の維持費に関しては中型犬の中でも割と高い方です。
医療費は年間4万円と仮定すると、年間費用は32万円と概算できます。
ブルドッグの平均寿命は8~10年が一般的なので、生涯費用は50万+32万×(8~10)年=306~370万円ほどになる計算です。
とにかく購入費が高いので年間の維持費も3分の1くらいはそれに押されているかと思われます。
医療の進歩により生まれてからの生存率は高まっているとはいえ、普段からのケアを怠らないことが重要になります。
飼育にあたって費用は出し惜しみしないくらいの経済的余裕が必要といえます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
こうして解説していくと、ブルドッグも決して一筋縄ではいかない犬種だと分かるでしょう。
闘牛犬としての歴史から現在に至るまで、実に紆余曲折あった犬種であることが伺えます。
見た目の猛々しさに反して、すごく穏やかで優しい犬種というギャップもまた魅力的です。
しかし、繁殖に向いていないのも事実であり、誰にでも飼える犬種ではありません。
費用もかかりますし、気をつけるべき点が多いことは他の犬種と同じです。
是非とも頑張って素敵なペットライフにして行きましょう。