日本原産で唯一のテリア種である日本テリアは数ある犬種の中でも超希少種であり、ほとんど見かけることはありません。
希少度でいえば、以前にこちらの記事で紹介したサモエド並かそれ以上に見受けられることはまずないでしょう。
国内の飼育頭数がとても少ないので、実物を見たことがある方は動画サイトやテレビなどメディア媒体以外では少ないかもしれません。
今回はそんな日本テリアの入手の仕方としつけのコツ、更には維持費まで事細かに解説して行きます。
これから飼いたいという方はぜひ参考にして頂き、素敵なペットライフにしてください。
日本テリアの基本スペック
まずは日本テリアの基本スペックをじっくり掘り下げて見て行きましょう。
基本データ
まずは日本テリアの基本データです。
・種類・・・中型犬(個体別では小型もいる)
・大きさ・・・30~33cm
・日本テリアの体重・・・2~4kg
・平均寿命・・・12~14年
・原産国・・・日本
小型犬のテリアと土着の日本犬を配合させた犬種であり、見た目が黒い顔に白い胴体というかなり珍しい見た目をしています。
その見た目故に奇異の目で見られることも少なくありませんが、これは希少種ならではの宿命でしょうか。
見た目からして少数派として生きる定めであることがカッコいいと同時にやや切なくも感じられます。
基本的な性格
性格ですが、日本テリアはその色が表すように潜在意識と顕在意識が正反対のようです。
表面的には活動的で溌剌とした明るい性格をしており、いわゆる「テリア気質」は弱い傾向にあります。
テリア犬の中では比較的穏やかですが、しかしそれは表面上の部分だけで内面はまだまだ強いテリア気質が残るのです。
潜在意識は警戒心が強く油断することが少ないため、番犬にも向いている犬種でしょう。
基本的に無駄吠えをすることはなく、人見知りする臆病者程度の性格に収まっています。
他の洋犬と比べ分かりやすい愛情表現をすることは少ないですが、飼い主には愛情深く接する犬種です。
飼い主の機嫌や雰囲気を察することのできる賢さを持っており、世渡り上手なちゃっかり者の一面もあります。
リラックスをしているときに甘えてきたり構ってもらおうとするなど、ややあざとい面もあるでしょう。
日本テリアの歴史
17~18世紀頃に日本にやってきた短毛のテリア犬と日本国内にいた小型犬の交配によって生まれたといわれています。
当時ヨーロッパで人気を博していた「スムースフォックステリア」とよく似ていますが、正確な交配の記録は残されていません。
大きなきっかけは19世紀後半芸妓遊びがとても気に入り米国から通っていた大財閥モルガン家の息子、ジョージ・モルガン氏を通してです。
彼が正妻として迎えた「お雪」の愛犬が日本テリアであったことから認知されるようになるという大きな出来事がありました。
その後昭和初期になると抱き犬として人気になり、1920年頃から繁殖されるようになます。
1930年以降には一世風靡レベルのブームが起こりましたが太平洋戦争と2度に渡る世界大戦により数が激減してしまいます。
日本原産の犬種である日本テリアは人気を回復させることができず、その頭数を増やすことはできませんでした。
FCI国際畜犬連盟には「Japanese Terrier」として登録されていますが、海外での知名度も高くはありません。
現状日本での飼育頭数も少なく、絶滅の可能性が危ぶまれている大変希少な犬種です。
ポケモンでいう所のレアポケモンのような感じで、出現率や見かける率が低い犬種といえるでしょう。
日本テリアの入手の仕方
このように、日本テリアはその歴史的背景からもわかるように入手困難な犬種であることは疑いの余地がありません。
ではその入手困難な日本テリアはどのようにして入手すればいいのでしょうか?
ブリーダーからの入手
当たり前のことですが、希少種である為にペットショップのような誰の手にも渡る所にはいません。
サモエドがそうであるように、希少種の日本テリアもまたブリーダーからの入手が必須となります。
とはいえ、日本全国で日本テリアを育成しているブリーダーは全体で見ても少ないでしょう。
2020年12月現在では少なくともネットを通じての販売がありませんから、如何に入手困難かがわかろうというものです。
もちろんこれからまた販売があるかもしれませんが、それも時の運を待たなければならないでしょう。
正に伝説のポケモンであるファイヤーやミュウツーレベルの希少種だと思った方がいいかもしれません。
手に入りはすい場所
そんな入手困難な日本テリアですが、一応入手可能な県を挙げておくと確認されているのは以下の3つです。
・宮崎県
・埼玉県
・京都府
基本的にこの3つの県が入手可能とされている場所ですが、現時点でまだ販売されていないようです。
特に宮崎や京都のような所はあまり都会の喧騒などがない穏やかな場所というのもあるでしょう。
埼玉も東京から外れた郊外の県ですから、日本テリアが住むにはいいところかも知れません。
基本的に安全かつ平和に暮らせる場所というのが共通項として挙げられます。
購入費はどれくらい?
そして気になるのが購入費ですが、サモエドがそうであるようにこちらも希少種なので値段は非常に高くなります。
上記した所だと宮崎県が1番安く18万円という破格のお値段で買えてしまうというお得な安さです。
逆に京都になると盆地ということもあってか、何と購入だけで100万円もするのだそうで、ほぼ詐欺の領域でしょう。
全国平均が40万前後だそうで、一般サラリーマンの2ヵ月分の給料がこの一回で吹き飛んでいくレベルですよね。
それくらいの買い物であることを覚悟しましょう。
日本テリアの飼い方としつけのポイント
運動量は比較的少なくしつけやすい犬種なので飼いやすい犬種ですが、希少種なので当然飼い主としては気を遣うでしょう。
温度調整などの気を付けるポイントも含め、事前に飼い方を解説しておきます。
飼育環境と特徴
日本テリアは寒さに非常に弱いので室内飼いが必須であり、外での放し飼いは厳禁です。
秋冬にはヒーターなどで防寒対策をしっかり行うようにし、日中は日向ぼっこのできる暖かい場所にいさせてあげてください。
また、寒がるときには衣服を着せることも効果的ですし、寝る時も毛布をきちんとかけてあげましょう。
子犬の頃や飼い始めてすぐの頃は環境に慣れてもらうことが大切なので、人通りの少ない静かな場所に寝床を設置してください。
大人しくしつけがしやすいので、小さなお子様のいるご家庭にもおすすめです。
小型犬で被毛も短いため最低限の運動量やお手入れで済み、シニアの方や初心者の方でも飼いやすいと言えるでしょう。
綺麗好きなので掃除は徹底する
特にトイレトレーニングにおいて気をつけていただきたいのが、トイレの直後には必ずトイレシーツを交換することです。
犬は非常に綺麗好きな生き物として有名ですが、その中でも日本テリアは潔癖症ともいうべきレベルの綺麗好きな性格をしています。
1度トイレをすると、もうその同じ場所にはトイレをしないほどであり、その性格は徹底されているのです。
そのため、使用したトイレシートはすぐに交換するようにし、お部屋の中も掃除を怠らないようにしてください。
常にクリーンな環境で快適に過ごせるように細やかな気遣い・気配り・気働きを忘れないようにしましょう。
散歩と運動量
散歩は1回30分程度で1日2回連れていくことをお勧めします。
上記したように顕在意識が活発な性格なので、ボール遊びなどの遊びを取り入れてあげると喜んでくれるはずです。
しかし、やや太りやすい傾向があるようで、肥満は様々な疾患を引き起こす可能性があります。
そうならないためにも、散歩のみならず室内での適度な運動を取り入れるようにしてください。
冬の寒い日などは散歩時間を短くするか、無理に散歩に連れて行かずに室内での遊びを増やしてあげるようにしましょう。
優しすぎず厳しすぎず
しつけは良いことと悪いことをはっきりと示しながら行うのが基本であり、甘やかさないことです。
しかし気の弱い面があるので悪いことを示すときも厳しく叱ったりはしないようにしましょう。
おもちゃ遊びをするタイミングや室内での入ってはいけない部屋などルールを明確に定めて教えてください。
賢い犬種なので一貫したしつけを継続すると基本的なことは覚えてくれます
飼い主が何を求めているのか察することができるので、命令を行動とセットで覚えることができるようです。
戒心を和らげるために、子犬の頃からいろんな人や動物と触れ合う機会を作ってあげるようにしましょう。
早い段階から社会性を身につけさせることができると、吠えることも少なくなるはずです。
その他気をつけるべきこと
しつけ以外で気になる日本テリアの細かい点を解説して行きましょう。
生涯かかる合計費用
犬の飼育にかかる生涯費用は「初期費用」+「年間費用」✕「寿命」で計算できます。
それはこちらの記事で詳細に解説していますので、細かい原理は書きません。
日本テリアの飼育にかかる初期費用は上記の購入費と様々な初期費用を合わせた約30〜130万円です。
小型犬の医療費は年間3万円ほどなので、年間費用は約12万円になります。
日本テリアの平均寿命は13年ほどなので、生涯費用は30(〜130)万円+12万円×13年=196〜296万円ほどになる計算です。
まだまだ飼育頭数が少なく病気に関する情報も少ないので、いざというときのために「ペット保険」への加入もしてください。
とにかく小型犬の中でもかなり維持費が膨大にかかる犬種であることは間違いありません。
肘関節形成不全
日本テリアが抱える病気の中で特に注意すべき病気の1つが股関節形成不全です。
前腕部と上腕部を連結している肘の関節に異常が生じ、かみ合わせが悪くなる病気になります。
大型犬によく見られると言われていますが、日本テリアは華奢な体をしているため関節に負担がかかりやすい犬種です。
遺伝性の場合もありますが、骨の成長期に過度な運動をしたり、体重の急激な増加によってストレスが掛かったりすると発症します。
予防策として日頃より肥満にならないよう体重管理をしっかり行い、食事量や栄養バランスに気を付けるようにしてください。
また、老犬になったら過度な運動はさせないようにし、落ち着いて遊んでもらえる環境を作りましょう。
水晶体脱臼
股関節形成不全と並んでもう1つ注意すべき病気が水晶体脱臼という目の病気で、普段は聞き慣れない単語でしょう。
水晶体を眼球の中で支えているチン氏帯という組織が断裂することで、水晶体が正常な位置から外れてしまう状態を水晶体脱臼と呼びます。
遺伝性の病気としてテリア種全般でよく見られるので、日本テリアも発症の恐れがあり細心の注意を払ってください。
これらの目の病気が続発してしまうと、激しい目の痛みや充血が見られたり視力が低下して失明したりすることもあります。
早期発見によって緑内障などの続発を防ぐことができますので、健康診断時など定期的に目のチェックをしてもらいましょう。
日頃のチェックでは、ワンちゃんの目の色や開き方、見えにくそうにしていないかどうかを見るようにしてください。
希少種だからこそ万全の準備を
日本テリアは希少種ですが、だからこそ万全の態勢で余裕を持った育成をしたいししてほしいものです。
決して邪険に扱わず、きちんと大切にして慈しむように育ててあげてください。
基本的な情報やスキル以上に大切なのが愛犬に対する思いでありマインドです。
どれだけ素晴らしい経済力やしつけのテクニックがあっても、心がそれに比例しないと意味がありません。
是非惜しみない愛情を持って育てましょう。
まとめ
いかがでしたか?
今回は希少種の日本テリアについて、改めて真正面から論じて参りました。
サモエド辺りと並ぶ絶滅危惧種にすら指定されている日本テリアは大切な犬種です。
決して粗末に扱うことなく、素敵なマインドを持って育ててあげてください。
最高のペットライフになることを心より望んでいます。