前回の記事では多頭飼いに置いて必ず先住犬と後住犬の喧嘩が付き物であると解説しました。
そして、その中で多頭飼いに向く犬種と向かない犬種が居るというお話も少ししています。
今回はまさしくその多頭飼いに向く犬種とそうではない犬種の話をしましょう。
犬は群生の生き物といえど、やはり一匹狼のようにスタンドアロンが向くタイプもいるわけです。
逆に群れをなさないと不安で仕方ないという寂しがり屋の犬だって沢山います。
同時にそういう犬種の違いを知ることによって、結果的に多頭飼いによる崩壊も避けられることでしょう。
多頭飼いを決意する前に考えるべきこと
まず多頭飼いを決意する前に、飼い主になる人は絶対に考えなければならないことがあります。
それをここでは解説していき、多頭飼いに際しての心構えとしてください。
そもそも何故多頭飼いにするのか?
まず一番に把握しておくべきことはそもそも何故犬を多頭飼いにする必要があるのか?ということです。
経済的事情を言えば、多頭飼いはメリットよりもデメリットの方が大きいことは間違いありません。
しかし、それを上回るメリットが大きくあるのもまた事実であり、それが「犬同士のコミュニティ」なのです。
これには大きな意味があり、1点目が飼い主不在でも犬同士のコミュニティがあるから寂しくないということ。
2点目がその犬同士のコミュニティの中で先住犬が後住犬を躾てくれたり、ルールなどを教えてくれたりするからです。
多頭飼いかどうかは最初に決めない方がいい
多頭飼いにはこうしたメリットがありますが、だ最初から多頭飼いにするか一匹にするかは最初に決めない方がいいでしょう。
何故ならば、ペットはあくまでも飼い主の経済力が根本にあるから成り立つのであって、長期で見なければなりません。
ましてや今の時代働き方改革が叫ばれているとはいえコロナ禍によって実に多くの人々が職を失うことを余儀無くされています。
そのような状況において犬を飼うことはいつ暗礁に乗り上げてもおかしくない泥船にずっと乗り続けるようなものです。
だからこそ、まず最初の飼い犬をきちんと育て上げ、自分の生活も飼い犬の生活も安定するまでは多頭飼いにしない方がいいでしょう。
専門家の意見を事前に聞く
そしてこれが一番手っ取り早い手段ですが、事前に専門家である獣医やドッグトレーナーなどの話をよく聞きましょう。
知識ゼロの状態で犬を飼うのはただでさえリスクを伴いますから、多頭飼いとなれば尚更のことです。
費用の相場は勿論多頭飼いに向く犬種と向かない犬種の違いなどをきちんと教えてくださいます。
逆に言うと、多頭飼いで躓く飼い主の多くはこうした基本をきちんと行っていないから失敗するのです。
安易な判断で行わず徹底した事前準備こそが何よりも多頭飼いを決意する前に大事なことではないでしょうか。
多頭飼いに向く犬種
多頭飼いを決意する前になすべきことが判明したら、次は多頭飼いに向く犬種を考えていきましょう。
大型犬の場合
大型犬ならばレトリーバー系は多頭飼い向きの犬種です。
ラブラドール・レトリバーの社交性は非常に高く、どんな犬とでも仲良くなれることで知られています。
特に若い頃はエネルギーが豊富で、他の犬とレスリングしたり追いかけっこするのが大好きです。
また、ゴールデン・レトリバーも人を喜ばせるのが大好きな犬種として知られています。
しかも、ゴールデン・レトリバーが好きなのは飼い主さんの笑顔だけではありません。
他の犬を笑顔にするのも大好きで、小さなことにこだわらない大きなハートの持ち主です。
中型犬の場合
中型犬でいえば、ボーダーコリーやシェットランド・シープドッグも社交的な性格です。
どちらも多頭飼いに向いており、他の犬とすぐに仲良くなろうとします。
ボーダーコリーは特にどの犬種とも仲良く出来る中型犬のハブ空港みたいな存在でしょう。
シープドッグもまた人懐こく社交的な性格なのですぐに他の犬と仲良くなることが出来ます。
攻撃的な面も少ないので平和で穏やかな多頭飼いが可能になりますので是非実践してみてください。
小型犬の場合
小型犬の場合はトイプードルやミニチュアダックスフンド辺りが多頭飼い向きです。
トイプードルに関してはこちらの記事でも説明していますが、とにかく人懐こく柔らかい性格が売りでしょう。
散歩に連れて行っても余程攻撃的な犬種でない限りは即座に打ち解けて仲良くなることが出来ます。
ミニチュアダックスフンドも見た目こそやや厳ついですが、攻撃的な麺は殆どありません。
多頭飼いには打って付けの犬種であり、人気の秘訣の一つは多頭飼い向きという性質にあります。
多頭飼い向きではない犬種
では今度は逆に多頭飼い向きではない犬種を考えていきましょう。
柴犬などの日本犬
日本犬はこちらの記事でも大々的に解決しましたが、基本的に古風な侍っぽい性格の犬種が多いです。
柴犬をはじめとした日本犬はあまり多頭飼いには向いていないといわれています。
もちろん他の犬と仲良くなることがないわけではなく、気が合う犬となら打ち解けることもあります。
しかし、そこに至るまでのハードルは物凄く高く、余程気を許した犬しか仲良くする気はありません。
飼うのであれば、余程きちんとした性格の犬種でなければ多頭飼いは無理ではないでしょうか。
ミニチュアシュナウザー
ミニチュアシュナウザーは従順な性格なので、飼い主が主導権さえしっかり握っていれば比較的飼いやすい犬種です。
しかし飼い主に対する忠誠心と社交的な性格かどうかは全くの別物であり、余所者に対しては基本容赦しません。
頑固で警戒心が強いのでほかの犬と打ち解けるのは苦手であり、そこをきちんとしなければいけないのです。
そのため、飼い主への愛情の強さと反比例するほかの犬への警戒心から、あまり多頭飼いには向かない犬種と言われています。
飼うのであれば、余程ベテランの経験値を積んでいる人でもなければ無理ではないでしょうか。
ミニチュアピンシャー
警戒心が強く人見知りをする性格なので、持ち前の勇敢さと合わせて番犬に向いている反面多頭飼い向きではありません。
家族に対して非常に愛情深いので、一旦飼い主として認められればひたすら甘えてくれます。
しかし、他の犬同様に飼い主への忠誠心が激しい反面独占欲もまたそれだけ強い犬種です。
警戒心の強さと飼い主に依存しかねない甘えん坊な性格から他の犬と一緒に暮らすのは難しいかもしれません。
この性格を把握せずに多頭飼いを始めると最悪の場合大惨事に発展することもあるでしょう。
多頭飼い崩壊を起さないコツ
こうして見ていくと、多頭飼いに向く犬種と向かない犬種の傾向の違いなどがわかってきたことでしょう。
それを踏まえて、ここでは多頭飼い崩壊を起こさないコツをしっかり解説していきます。
十分な資金力
やはり犬の性格云々以前にまず犬を複数養えるだけの経済力・資金力は大事です。
今の時代気を抜いていると簡単に人が職を失うことが起こり得る不安定な時代となりました。
副業と並行しなければもう経済的に生きていける手段がないという厳しい状態でしょう。
ですから、まずはどんな形でもいいので複数の犬を養えるだけの十分な資金力を作っておいてください。
何をするにも元手資金は必要であり、ペットという贅沢な買い物をするのであればそれは尚更のことでしょう。
去勢手術を事前に行っておく
多頭飼いを行いたいのであれば、絶対に欠かせないのが先住犬および後住犬の去勢手術を済ませておくことです。
ここを済ませていないから次々と犬の頭数が増え、結果として面倒を見きれなくなって崩壊してしまうのです。
去勢手術を行っておけばその最悪のケースは免れられ、またオスは闘争本能を抑えることが出来ます。
実際犬・猫を問わず多頭飼いを行っている人の多くは崩壊を避けるために去勢手術をきちんと行っている場合が多いです。
最悪のケースを回避する為にも、きちんと去勢手術を済ませて他の犬種を産んだりしないようにしましょう。
最初の犬をしっかり躾てから飼う
また、最初からまとめて飼うのではなく最初の先住犬となる犬をきちんと育て上げてから飼うようにしましょう。
どんな理由や事情があれど、先住犬にとって飼い主との関係性は絶対であり、後住犬は本来余所者なのです。
だからこそまずは基礎基本のしつけも含めてきちんと一人前に育て上げ、余裕が出来てから2匹目を迎えましょう。
この順番を間違えてしまうと、まだ基礎も出来上がってない段階で犬同士の喧嘩で崩壊しかねません。
楽しくなるはずの多頭飼いがぶち壊しになってしまっては勿体無いのできちんと先住犬をしつけてください。
年齢差は3〜4歳差がベスト
多頭飼いをする場合あまり年齢が離れすぎていると、運動量が大きく異なるため犬がストレスを感じてしまいます。
そのため、新しく迎える犬と先住犬の年齢差は3~4歳がベストと言われています。
その一方で子犬の頃からずっと一緒にいると、互いに依存心が強くなりすぎるので注意が必要です。
また、片方が病気をしたり亡くなったりすると、残された子もストレスから体調を崩してしまいます。
ある程度の年齢差はあった方が良いものの、生まれが近すぎるとまた別の問題が生じてしまう可能性があります。
だからこそ余計に最初の一匹がきちんと自立できるまでは新しい犬を迎え入れないほうがいいのだと書きました。
性別を変える
これは絶対条件ではありませんが、やはり性別はなるべく変えたほうがいいのではないでしょうか。
最初の一匹がオスなら新しい犬はメス、逆に最初がメスなら次はオスという風に性別は変えてください。
性別が同じだとメスはともかくオス同士だと性格がやんちゃ故に喧嘩に発展しかねません。
一方オスとメスだと喧嘩する意味があまりないので、うまくなついてくれます。
ですから、なるべく違った性別にした方が上手くバランスの取れた多頭飼いができることでしょう。
徹底したネガティブシミュレーション
これらを見ていただければわかると思いますが、多頭飼いにおいて大事なのはとにかく徹底したネガティブシミュレーションです。
最初の1匹でさえ育てるのが大変なのに、それが2匹目となると余計にそうではないでしょうか。
もちろん前向きな気持ちで楽しく飼うことは大事ですが、それを成り立たせるには想定される最悪のケースを避けることです。
多頭飼いに向く犬種と向かない犬種などが分かっていれば、きちんとそれに向き合うことが出来ます。
思考はポジティブに、しかしシミュレーションはネガティブに行い多頭飼い崩壊を避けましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今愛犬との生活を楽しんでいる飼い主の中には自然と多頭飼いが頭の中に浮かんできた方もいることでしょう。
犬に囲まれた暮らしに憧れるのは理解できますが、それを成り立たせるのは決して簡単なことではありません。
ペットライフだって大人の事情で全てが成り立っており、経済力がある1つのビジネスです。
どんな子が多頭飼いに向いているのか、新しい犬を迎えるための準備はきちんとしておいてください。
それが出来てこそ、初めて快適な多頭飼いを実現することが出来ます。