犬の鳴き声の記事も今回で3回目となりますが、今回は犬の鳴き声の「大きさ」について検証していきましょう。
最初の記事で犬の鳴き声の大きさは90dB(デジベル)、すなわち近所迷惑に発展しても不思議ではない大きさだと論じました。
しかし、犬単体で見てもその大きさが果たしてどれ程のものかというのは意外と分かりにくいのではないでしょうか。
ここでは他の動物の猫なども交えて鳴き声と大きさの相関性をじっくり検証していきます。
飼い主は勿論他の動物をペットとして飼いたいという方も一度は参考にしてみてください。
日常生活における音の大きさ
まずは動物云々ではなく、日常生活の中で聞こえてくる音の大きさについて詳しく説明していきましょう。
以前にこちらの記事でも用いられているdB(デジベル)という言葉について定義を述べておきます。
dB(デジベル)
音の大きさを表す単位。「dB」と短縮して用いられ、主に騒音の測定単位として使われている。引用元:https://kotobank.jp/word/デジベル-6335
とはいえ、この説明だけだと抽象的すぎるので具体化してみました。
大きさ 感覚 場面
120dB 苦痛を感じる 電車等のガード下
110dB 苦痛を感じる 騒々しい工場内
100dB 極めてうるさい 〃
90dB 極めてうるさい 新幹線、飛行場周辺
80dB うるさい 街頭騒音、交差点
70dB うるさい 騒々しい街中
60dB うるさい デパートの中
50dB 普通 静かな事務所内
40dB 普通 静かな公園
30dB 静か 深夜の郊外
こうしてみると犬は「極めてうるさい」「新幹線、飛行場周辺」というレベルになります。
これは迷惑防止条例違反が出てもおかしくないレベルの騒音になるのも納得ではないでしょうか。
動物達の鳴き声の大きさ
音の大きさの具体性と範囲がわかったところで、次は犬以外の動物達の鳴き声の大きさをデジベルで測っていきましょう。
全部の動物を出しているときりがないので、ペットや日常生活で会う機会のある動物たちを見ていきます。
猫
猫の鳴き声は、約75dB、上の表で言うとうるさい部類の「デパートの中」と「騒々しい街中」の中間に位置します。
もちろん、個体差や鳴き方によるボリュームもあるでしょうが、寝ている人間を起こすくらいの鳴き声であれば「うるさい」ゾーンに入るでしょう。
掃除機や地下鉄の車内の音くらいのレベルに到達しており、マンションで室内飼いをする時はやはりご近所に配慮した防音対策をしてください。
とはいえ、猫は犬と違って普段からそんなにけたたましく叫ぶ生き物ではないので、留守番中などを除けばあまり騒ぐことはありません。
余程でもない限り、あまり意識的な対策をする必要はなく、そう言う意味では犬よりも飼いやすいと言えるのではないでしょうか。
カエル
年がら年中というわけではなく、春から初夏の梅雨の時期にかけて聞こえてくるのがカエルの鳴き声です。
よく春になると田んぼからカエルの鳴き声の大合唱が聞こえてきますが、都会の郊外や田舎町では普通に聞こえてきますよね。
そんなカエルの鳴き声はアマガエルだと50dBくらいであり、決してそんなにけたたましく近所迷惑になるレベルの騒音ではありません。
しかし、例外はありハワイなどに生息している「コキーコヤスガエル」という種類のカエルの鳴き声は100dB近くにもなるそうです。
犬の鳴き声と同じくらいだなんて、相当な大きさですが、まず日本に住んでいれば聞こえてくることはないので心配する必要はないでしょう。
ニワトリ
田舎の農園が発達している地域、特に宮崎や北海道のような畜産業が充実している所では養鶏場などを目にする機会もあるでしょう。
そんな鶏ですが、威勢の良い「コケコッコー!」の鳴き声はなんと約100dBもあり、これは犬よりもけたたましくやかましいレベルです。
よくドラマなどでは朝目覚める時に鶏の声を使うことがありますが、それは鶏がそれだけ大きい声を出しているからに他なりません。
余談ですが、オンドリは鳴く時に自分の耳が塞がるような構造になっているので、大声で鳴いていても自分にはさほどうるさく聞こえていないのです。
だから鶏は基本的に街中や住宅街から隔離された田舎の田園地帯のような人気がないところにしか集まらないのではないでしょうか。
ライオン
百獣の王であるライオンは我々の日常生活では動物園に行くか、アフリカなどにでも行かない限り目にすることはまずありません。
そんな百獣の王の鳴き声は数値で言うと115デシベルあり、サバンナでは約8kmも先まで到達するのだそうです。
人間が聞こえる範囲で言えば、間違いなく最強のレベルであり、あの咆哮を目の前で食らえば一溜まりもないでしょう。
しかし、そこまでしてライオンの咆哮を聞きたがる人は余程の命知らずだと思われるので、日常ではそうそう目にすることはありません。
なので、そこまで気にしなくて大丈夫です。
住宅街における犬の鳴き声の許容範囲
以上を踏まえて、今度は住宅街における犬の鳴き声の許容範囲を見ていきましょう。
具体的にどこまでなら許されて、どこからが近所迷惑となってしまうのかをここでは解説していきます。
音の範囲は地域別で異なる
まず音の範囲は地域によっても異なりますし、マンション・アパートなどの場合もそれぞれ異なってきます。
具体的な範囲は公開されていませんが、マンションの場合だとだいたいは50〜60dBまでとされているのです。
また、ペット可マンションの場合は事前に防音対策がなされているところが多いので、そこまで気にする必要はありません。
とはいえ、鳴き声はなるべく小さいに越したことはないので、早め早めの対策はきちんとしておきましょう。
たまに90dBレベルが出るのは構いませんが、日常茶飯事レベルで出てしまうと、その鳴き声が辛くなります。
基準値はあるが具体的な罰則はない
しかし、これらもあくまで基準を作っているのが人間である以上限界はありますので万全のものではありません。
この基準値を定めているのは環境省ですが、騒音による具体的な罰則は設けられておらず、手を拱いているのが現状です。
以前紹介した2015年の迷惑防止条例違反による38万の損害賠償もあくまで民事の範囲を超えるものではありません。
鳴き声自体は決して犯罪ではない以上、刑事が介入する余地がなく、事件にすることができない状況にあります。
だから、犬の鳴き声に関してはどうしても対応が緩いものになってしまうというジレンマを常に抱えているのです。
有名無実化している動物愛護法
実際のところ令和元年6月をもって改正されても、動物愛護法は有名無実化しており、実質アナーキーと化しています。
いわゆる動物虐待や多頭飼い崩壊などは刑事問題なので明確な罰則がありますが、こう言う民事問題はまだまだガイドラインができていません。
まあ日本の場合海外に比べてペット産業・畜産業が遅れているので、法整備などが遅れていても仕方ないのですが・・・。
現状は飼い主一人一人が迷惑をかけないようにしっかりと自覚を持って犬の鳴き声が酷くならない環境を作るしかありません。
そもそも犬と人間という利害の一致しない者同士が一緒に住むわけですから、このような問題が生じないわけがないでしょう。
犬の鳴き声に関する対策
これまで説明してきたように、犬を飼う際に注意や配慮を怠ればトラブルのもととなってしまいます。
飼い主は単に住宅地の規約を守っていればいいということではなく、近隣住民に対する常識の範囲内の配慮も必要です。
そこで、以下の注意事項をしっかりと把握しておきましょう。
犬種や頭数に注意
まず一般的に一軒家並びに“ペット可”とされているマンションであれば、犬を飼うことは問題ありません。
しかし、マンションによっては“共用部分を抱っこして歩ける小型犬に限る”“◯頭まで”などと定めているケースがあります。
ペット可だから犬であればどんな種類でも何頭でも飼えると考えるのではなく、規約を確認した上で決めるようにしましょう。
また多頭飼いとなるとどうしても犬同士の喧嘩に発展しやすく、それだけ近所迷惑がかかりることも増えます。
そうなった時のネガティブシミュレーションは今からしておくのが大事です。
マンションの場合、費用が高額になる恐れがある
賃貸物件の場合、一軒家と違って退去時に原状回復義務、すなわち経年劣化を除き、契約前と同じ状況にして返還するという義務のことです。
いわゆる「立つ鳥跡を濁さず」であり、マンションで犬を飼っていれば、においや傷などがついてしまうこともあるでしょう。
そうした場合は、原状回復義務が発生してしまうため、修繕費が高額になる可能性があ理、日頃からにおいや傷がつかないように注意を払う必要があります。
具体的な対策としてはクロスの上に剥がせる壁紙を張ったり、床にコルクマットやラグを敷いたりなどの方法があるでしょう。
また、においのもととなる糞尿はトイレトレーニングをきっちり行い、まめにシャンプーするなどの防臭対策をとるようにしてください。
近隣の方々へ挨拶に回る
一軒家にしろ賃貸物件にしろ、近隣の方々へ挨拶に回ることを徹底して行ってください。
この段取り・根回しを意外にも怠る方が多く、近所迷惑で訴えられる場合大体がこの事前対策をしっかりしていないことが原因です。
だから、きちんと近隣の方々への挨拶回りは行い、どんな犬を飼いどういう時に鳴き声をするのかなどを伝えておきましょう。
そうすれば、多少なり騒いだとしてもクレームを立てられることは少なくなり、平和に過ごしやすくなることは間違いありません。
何事も段取り八分、事前準備がどれだけしっかりできているかが鍵となってくるのです。
最良の手段は人里離れた場所に住むこと
上記を解決するために一番まともな手段は人里離れた別荘のような所にペットを連れて行って住むことでしょう。
近所迷惑になりたくないようにするなら、いっそのこと人里離れた所に居を構えれば何の問題もないのです。
お金持ちや資産家などの超富裕層はそのようにしてペットが起こす近所迷惑を避けています。
他者にああだこうだすることを求めるよりは自分自身が解決していくのが一番の近道となるでしょう。
こうしてみると、結局はお金持ちの贅沢品がペットなのであるという認識をさせられますね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は犬をはじめとして、動物たちの鳴き声の大きさとそれによる近所迷惑についてより具体的に述べてきました。
犬好きな方にとって、犬はペットという概念にとどまらず、家族同然で共に暮らすことは幸せでとても楽しいことでしょう。
しかし、マンションにしろ一軒家にしろ規約があり周囲の目がある中で飼うことを忘れてはいけません。
そのネガティブシミュレーションを行った上できちんと安全な生活が出来るかどうかこそがペットライフの分かれ目となるのです。