犬の尻尾の役割は何?「しっぽを振る」以外の全体の役割を徹底考察!

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尻尾

さて、ここまでの記事で犬の尻尾の役割について、徐々にではありますがご理解頂けたかと存じます。

しかし、尻尾を上げたり下げたり振ったりといろんな働きをしますが、そもそも尻尾は何の為にあるのでしょうか?

その原理原則を理解せずして、個別の具体例だけを掴んでもあまり適切な犬のしつけには繋がりません。

犬の尻尾のメカニズムについて、今回は復習も兼ねて徹底的に考察して行きましょう。

飼い主は勿論のことブリーダーや獣医などを目指す方にとっても質のいい情報がてんこ盛りです。

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犬の尻尾は感情表現のためのみにあらず

飼い主は勿論ブリーダー、トリマー、訓練士など犬の仕事に精通していらっしゃる方でしたら一度は「犬の尻尾の役割とは何か?」と聞かれ、また勉強したことがあるでしょう。

しかし、これまでの記事からもわかるように、我々一般人が知っていることは精々『尻尾を振って感情を表現する』くらいのことで、深い造詣はありません。

もっとも、日本ではペット産業が基本ニッチ(隙間)である為に、このことまで正確に把握しているのが少ないのは仕方ないのではないでしょうか。

犬の尻尾は感情表現以外にも重要な役割を幾つも持っており、尻尾の役割を知ることで飼育に役立つ場合もありますので、ぜひ覚えておいてください。

猫同様動物の尻尾は非常に奥深い役割と魅力を持つものなので、決して軽んずることなく役割を果たすことが大事です。

尻尾の役割

犬は尻尾を上下や左右に振ったり、あるいは小刻みに動かしたりと実に器用に動かす事が出来、その動かし方次第で意味や役割が異なります。

尻尾の役割は犬にとってとても重要なことなのですが、ではその尻尾には果たしてどのような役割があるのかを以下見ていきましょう。

バランスコントロール・舵取り

犬は尻尾を上手に動かしてバランスを取り、走っている最中や急に曲がる時や方向転換する際には「舵取り」の役目もします。

また狭い場所を歩く時などは転ばない様に尻尾でバランスコントロールを行い、自身の立ち位置を常に中立的に保っているのです。

人間意はない犬ならではの特徴であり、人間には理解できない部分であるのではないでしょうか。

人間は昔は猿であり、まだ尾骶骨といいう尻尾の名残はありますが、進化した人間には尻尾というものがありません。

なので、こうした役割があることに対して無自覚であるのは仕方のない部分も多少なりあるでしょう。

コミュニケーション

犬は尻尾を振って感情表現したり上下関係を示したりしますが、これには意思疎通の意味合いがきちんと含まれているのです。

これは犬の先祖とされている狼の名残であると見られ、群れで生活するための重要な役割を果たしています。

また、犬同士が挨拶してコミュニケーションを取る際、お互い尻尾を上げてお尻の匂いを嗅ぐなどという奇妙な行いをするのです。

それは決してアンダーグラウンドなことではなく、肛門のやや下部の左右に「肛門腺」という袋があって、大事な個体情報が凝縮された液体が入っています。

犬達はその肛門腺から出るニオイを嗅ぎ合って情報交換し、どちらが上でしたかを判断しているのでしょう。

虫などを追い払う

犬も牛や馬と一緒で、目障りな虫やハエなどを尻尾で追い払うという鞭のような役割を果たしており、これもまた狼時代からの名残です。

犬だって人間に飼われるようになったとはいっても、あくまでもルーツは狼なので闘争本能の強い生き物であることに疑問の余地はありません。

だから、人間の保護がなくても一人で生きていけるように常に闘争本能を研ぎ澄ませているわけであり、それがここに現れているのです。

逆に言えば、犬のそういう部分に気づかない辺り我々人間がいかに犬を一面的に可愛いペットという部分でしか見ていないかが丸わかりでしょう。

その部分に目が向けられるようになった時、初めて人は犬のペットならざる野生の部分に具体性をもって気づくことができるのです。

呼吸器を保護

この特徴は冬や夏に見受けられる傾向であり、熱い空気や冷たい空気などの寒暖差によって呼吸器が疲れないようにしているのです。

犬の中には夏に強いものと冬に強いもの、そしてその両方に強いものと両方に弱いものとに分類されます。

例えば寒い時は丸くなって寝るのですが、その時に尻尾を鼻の上に乗せ、冷たい空気が鼻から直接侵入しない様に呼吸器を保護しています。

まがそれは暑い時も同様で、口の中が乾燥しないように尻尾を鼻の上に乗せて乾燥しないように常に湿度を保っているのです。

これによって真夏の暑さや真冬の寒さから身を守る事も出来ますので、犬にとって尻尾は便利なアイテムの一つと言えるでしょう。

尻尾が表現しているもの

さて、犬の尻尾には上述した4つの役割が本能的なものとして備わっていることがわかっていただけたのではないでしょうか。

それを踏まえて、今度はその尻尾が表現しているものを具体的な動きから考察していきますので、以下挙げていきます。

尻尾の高さ=優位性

動きに目が行きがちなしっぽですが、それが上がっているか下がっているかというのは感情とは別の「優位性」という意味もあります。

犬が尻尾を高い位置でピンと伸ばすのにはポジティブで自信に満ちている状態であるという堂々とした心持ちであることが読み取れるのです。

のびのびと走っているときや、遊んでいるとき楽しくて仕方がないときによく見られ、ある意味では無敵スターマリオみたいな状態でしょう。

同時に「自分についてこい」「自分の方が立場が上だ」などという相手への威嚇や警戒心、攻撃性を示すサインにもつながります。

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一方で尻尾を低く下げるのは自分に自信がなく、恐れや服従といったネガティブな気持ちの表れを表しているのです。

苦手な犬に会ったときや嫌いな病院の診察のとき、何かに驚いたときに低くなりますので、後ろ脚の間にしっぽを入れるほど下がっている時は強い恐怖やストレスを抱えていると捉えてください。

尻尾が水平=観察

犬の尻尾が水平な時は高くもなく低くもなく、犬のしっぽが水平になるのを見たことがある飼い主さんも多いのではないでしょうか。

尻尾が水平になっているときは目の前で発生している状況が何なのか見極めようとしている状態です。

よく遠くに何かが見えたときや物音がした時などによく見られ、状況判断を客観視して冷静沈着に行っています

まさに感情をニュートラルに保っている状態であり、こういう時が実は一番簡単に犬との接触を図ることができるのです。

冷静ではない状態では建設的な犬とのコミュニケーションは図ることができず、最悪の場合関係悪化も想定されます。

そういう時に尻尾が水平な状態であると見守ったらすかさずコミュニケーションを図って行くようにしてください。

尻尾を振るスピード=興奮の度合い

犬が尻尾を振るスピードは興奮の度合いと比例しており、これは誰しもが簡単にわかることではないでしょうか。

嬉しい時や楽しい時にはよく見られますが、警戒や不安で攻撃的になっている時も素早く振る傾向があります。

しかし、一方で犬が穏やかな気持ちの時はゆったりと振る傾向にあり、これを歓喜の象徴だと見做してしまうのは浅はかな解釈だと言わざるを得ません。

犬がしっぽを早くぶんぶんと振っていると「喜んでいるのかな?」と思いがちですが、決して友好的なときだけではないため注意が必要です。

尻尾を振るスピードはもちろんのこと、周囲の状況なども総合的に加味して判断していくようにすると、間違いを起こす確率は圧倒的に減るでしょう。

尻尾を左右どちらに振るかで分かる感情

そしてもう1つ、以前の尻尾を振る記事での補足となりますが、犬が尻尾を左右どちらに振るかで全く違う感情になることを忘れてはいけません。

イタリアの研究チームが犬の感情表現について発表した論文によるとその辺が非常にくっきりと分かれているので、ここではそれを見ていきましょう、

犬の左脳と右脳

まずは犬の感情を理解するために、犬の脳のメカニズムを正確に理解して左脳と右脳の違いを理解しておく必要があります。

犬の脳は左右に分かれていて、左脳はポジティブな感情右脳はネガティブな感情を司っていることが研究で分かっているのです。

これは人間の脳とは全く違うもので、人間だと左脳が理性=ネガティブ、右脳が感情=ポジティブと捉えがちですが違います。

そして何よりも大事なことは脳の左右と体の左右は人間と同じように逆に作用するように出来ているのです。

このポイントを押さえておかないと、犬の体のメカニズムを完璧に理解したことにはなりませんので気をつけてください。

右に振る=好きという感情

もし犬が尻尾を右に振った場合、それは歓喜や飼い主に対する「好き」という気持ちの現れだということに気づいてください。

左脳のポジティブな感情の現れが体との動きという顕在意識としては右側に現れる仕組みになっているのです。

なので、もし犬が飼い主に対して右寄りに尻尾を振っていたとすれば、飼い主としては嬉しいサインとなります。

ここで初めて飼い主は喜ぶ権利を得られたと言えるのではないでしょうか。

左右に振っているから嬉しいのではなく、右寄りに振っていると分かって初めて好意を得られていると自覚してください。

左に振る=嫌いという感情

逆に、犬が左に尻尾を振った場合、それは右寄りとは逆に「嫌い」という気持ちの現れであることに気づいてください。

この状態が飼い主にとっては一番きつく「お前など嫌いだ」「飼い主とは認めない」と言われているも同然なのです。

また、他の犬に警戒心を抱いているときなどもこの感情が現れるので、もし左側に振っていたとしたらそれは警戒や不安を抱いていると気づきましょう。

当然飼い主にとっては決して喜ばしい感情ではないので、こういう状態にならないよう普段から好感を持たれるようにしておくことが大切です。

犬が尻尾を振らなくなる理由

さて、最後に犬が尻尾を振っているのに突然振らなくなる瞬間がありますが、こうなると飼い主としては心配ではないでしょうか。

もし犬が尻尾を振らなくなったとしたら、大体挙げられるのは老化・怪我・病気のいずれかが挙げられ、決して良いものではありません。

愛犬がしっぽを振らないと気づいたら、なぜ振らないのか、振ることができないのかを観察することが先決です。

痛がったり触れられるのを嫌がるようであれば、脱臼や骨折などケガをしている可能性は勿論、前回の記事で紹介した病気の可能性もあるので早めの診察を受けるようにしてください。

老犬の場合も老化によって振らなくなる可能性がありますが、その場合は特に心配は要りません。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は改めて犬の尻尾の役割を全体的な視点から捉え直し、なおかつ尻尾を振る行為にまつわる知識の補足・考察を行いました。

犬はちょっとした尻尾の動きで私たちにいろいろなメッセージを送ってくれていることを見逃さないでください。

愛犬のしっぽの振り方を観察して感情を読み取り、接し方を変えるとより深いコミュニケーションが図れるようになります。

そこまでできるようになった時、飼い主としてのレベルはかなり上がったものと見て間違いないでしょう。

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